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エンニュイ公演中止になっての気持ち。

どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。

公演中止についての気持ち

演劇を始めて5年。今年から本気で向き合っています。
そんな中、3月にあった「かながわ短編演劇アワード」で、最終選考に残ったのですが陽性者が出てしまい出場できないという出来事がありました。

↓その時に書いた記事です。主宰する劇団、エンニュイのことを詳しく書いてあります。

出場できないことは悔しかったのですが、バネにして前向きに頑張りました。新しいメンバーを募集したり、プロモーションやブランディングについて様々な方にアドバイスを貰いにでかけたり。

去年からやっていた12ヶ月公演という企画がありまして、その企画の最終公演が7月末にあるということで意気込んでいたのですが、結果は最終日に体調不良者が出てしまい公演中止に………。

世間では公演中止がTwitterのトレンドに毎日のように入っている中で、3日間の公演の内、2日間公演できたことが救いです。が、そうは言っても3日間の公演と変わりなく、会場代や諸々の経費はかかるわけです。(会場代は少し考慮してくださるそうです。スペースEDGE優しい。感謝です)

それでなくても、お客様が濃厚接触者やコロナ陽性になってしまい当日キャンセルが多く出てダメージが大きかったです。

今回、この記事には公演中止になった劇団の主宰として、赤字との向き合い方や、出演者へのケア、今後の公演への向き合い方などを書いて、他の演劇関係者の方との情報共有になったらなと考えていたのですが、なんとなく、それらを書くのは今じゃない気がしたのでやめておきます。

赤字をどうたらとか、みんなにギャラをとか様々な葛藤はありますが、一番はこの面白い作品と面白いメンバーを観てほしいにつきるなと思ったのです。逆に配信をたくさん観てもらえるチャンスかもしれません。そう思って告知頑張ってるのですが限界があり、まだ2日間の3公演の配信合計で26枚くらいしか売れてません……。なんなら、当初の予定より売れてない(笑)

今日打ち合わせしたら、配信チケット100枚以上売れたらギリギリ赤字逃れられるかもみたいです。現在27枚くらいです。

配信終了まであと少ししかないのですが、なんとか頑張って100枚売りたい。お金のこともそうだけど、それよりも観て面白いと思ってもらえたり、楽しんでもらうことで、出演者や関係者の無念を晴らしたい。出演者の方々全員素敵だったし、照明も良かったし、配信の映像も良いです。スタッフのみなさんの気持ちも映像から伝わったら嬉しい。たくさんの人に届いてほしい。配信っていうのは沢山の方々に届く可能性を秘めています。公演中止のツイートで気になって配信を購入してエンニュイを好きになってくれる人もいるかもしれません。

本気で100枚目指してます。赤字で可哀そうとかそういうことから入っても大丈夫です。とりあえず配信を観て面白いと思ってくれる人が1人でも増えれば嬉しいです。この時代に嘆いたって愚痴ったって仕方いと思います。そんな暇があったら全てをチャンスに変えていきたい。少しでも足を止めたら発狂しそうだから走り抜きます。

なので、ここからは今回の公演の魅力について書いていきます。

12ヶ月公演のこと

今回の公演は12ヶ月公演のラスト公演でした。
12ヶ月公演とは、お笑い芸人が賞レースの為に一年かけて1本のネタを鍛えるように同一の台本を様々な会場、色々な観客の前で12か月公演するというものでした。
今回はその集大成として、“第4回本公演”と銘打って最終公演を上演しました。


↓エンニュイのドラマトゥルクを担当している青木省二君が、今回の公演のことを書いて寄稿してくれました。これを読めばこの公演のしくなどがわかります。読んだら更に公演が楽しめると思います。僕よりもエンニュイを理解してくれています(笑)





12ヶ月公演のことはエンニュイのnoteにたくさん書いてあります。


7月公演から2月公演までの感想

7月は即興で公演をし、チームワークというかパスワークが良くなった気がします。別角度からのアプローチで作品が様々なカタチに変容して、6月を経て再構築するのに良い機会でした。

8月は、観劇三昧さん主催のポップアップ劇場という演劇界の寄席みたいなものに参加させていただき、20分という短い尺に新しく作り直し、見せ方の発見がありました。自分たちのお客さんではない方々の反応を聞けたのが良かったです。

そして、9月10月とお休みをして、11月公演は神奈川のマグカルシアターという企画に参加させていただけて、スタジオHIKARIをお借りすることができました。この12ヶ月公演シリーズで初のしっかりとした劇場での公演でした。


11月公演は、クリエイションメンバー5人と内容について話し合うところから始めました。始めましたといっても、いつものごとく本番2週間くらい前からの数回の稽古……僕がスケジュール立てるの下手で、更に日にちが近くならないと動かない怠惰な人間なせいです……。という酷い理由もありますが、実際の理由はこの企画が気軽にフットワーク軽く演劇をやろうというものだからです。

ディスカッションの中で、これまでの抽象的な話をもう少し具体的な場所や役、物語をつけてみようということになりました。ならば、どんな場所と設定が合うのか? 2月から5月まではかなり抽象的な空間のお話でした。群像劇のように各キャラクターが出てくるが、そのキャラクター同士は関わらない。そして、6月の公演で抽象的ではあるが、とあるコミュニティという設定でキャラクター同士は関わるようになりました。しかし、これでも役の職業やパーソナルな部分は抽象的でした。11月公演は、そこに具体性を持たせて、見やすくした時に、抽象的なキャラクターと具体性が上がったキャラクターでは観客がどちらに共感できるのか試してみた感じです。

設定は葬式が良いんじゃないかという意見が出て、場所は火葬場に決定しました。では、そこに集まる人々はどんな人間がいいのか? そこまで深くは関わっていないが、相手のことをある程度知っていて、不満も持っている関係ということでバイト仲間という関係性になりました。葬式で死んだ相手も、悲しいは悲しいが、そこまで関係性がないバイト先の店長にしました。

そこからは、遺灰を撒きたいという意見が出てきて、じゃあ死ぬと真逆な感じがするプロテインの入れ物に入れてみようとか、物語にするのは一旦忘れて好き勝手に思い付いたアイデアを出してもらいました。それを僕が持ち帰り物語にしました。冒頭の火葬場のシーンはエチュードで作りました。

そこに、店長っぽい存在役のzzzpeakerが作品に立体感をだしました。エンニュイらしい構造的な作風も少し出せたとも思います。

zzzpeakerとは、プロデュース公演で概念役として動いてもらったことがあり、今回の死者として違うレイヤーで自由に動く役は適役だと考えました。元々一緒にインプロしたり、お笑いのコンビでの公演にも出演してもらったりと、お互いの手の内を知り尽くしているからこそ信頼し合ってできる絶妙なバランスだったと思います。

↓zzzpeakerが出演してくれたプロデュース公演

12月は、11月と全く同じメンバー、同じ内容で公演しました。会場が狭くなった分、演出は変わりましたが、同じ台本をそのままやるのは初だったので、色々な発見がありました。

そして、今年の2月。12月公演のアフタートークで犬飼さんにもらった「居酒屋のシーンだけでやってみたら?」というアイデアを元にワンシチュエーション芝居を作りました。


11月12月でできた物語の骨組みを使って肉付けをしました。エンニュイでワンシチュエーションのものを作るのは意外と初で、お客さんがどんな反応になるのか不安だったのを覚えています。

zzzpeakerは出演はなかったものの、舞台美術的なものを担当してくれました。内容はリアルな会話劇なのに、zzzpeakerの美術により漫画のような空間にも見えて、エンニュイの目指すリアルなフィクションができたと思います。


結果はかなり好評で、自分でも驚きました。僕的にはもっと味が濃いものがすきなので、これくらいさっぱりなものが良いのかと勉強になりました。まあ、台本や演出以上に出演者の方の演技が良かったからだとは思いますが。

6月公演を観てくださった方々から、もっと分かりやすくてもいいのではないか?というアドバイスを何件かいただいていたので、手応え的には「こういう感じか」という。

12ヶ月使って、どんどん物語ができていき、まさか、最終的にシンプルな作風になっていくとは始めた時は思ってもみませんでした。

普通に公演していたら絶対に行きつかなかった場所です。12ヶ月、同じ作品をこねくり回したからこそ到達した場所。クリエイションメンバーがたくさんのアイデアをくれたから行きついた作品でした。

テーマも、「二極化」から「多面性」へと変貌を遂げました。

自分の課した企画にさえも縛られずに、行き当たりばったりでやってきたからこそ、できたものだと思います。同じ人間でも、考えや言っていることは変わる。一貫性を重視されるこの時代に、ノリで行き当たりばったりで作れたことは良かったと思います。そして、そんなやり方に最後までついてきてくれたメンバーには感謝です。

たくさんの方に観ていただきたいという気持

店長の葬式の日に、バイト先の居酒屋に働いていたメンバーが集まり、夜中に酔いながらぶつぶつ会話するだけのお話です。台本通りに進むのですが、言い回しや雰囲気は、その日その時間で変わります。それがエンニュイです。エンニュイはライブ感を大切にしています。その日の出演者、登場人物の呼吸を感じてください。しっかりと、そこに人間がいます。人間を見てください。

舞台上だけではなく、照明の緒方君も、配信の高畑君も、当日運営の健君も、その日その日の呼吸をしてくれました。配信は、毎公演生配信です。普通やりません。エンニュイがライブ感を大切にしているからやるんです。毎公演違うので、全部買って観ても楽しいと思います。

生きてる公演です。

こんな時代だからこそ、なにも考えずに目の前で起きる現象を楽しんでもらえたら嬉しいです。

正直、メンバーもスタッフもかなり心にダメージがあります。公演中止というのは、その公演への無念さもありますが、それぞれに今後演劇をやっていくことへの不安や恐怖を植え付けます。自宅待機や隔離になるとバイトなどにもいけなくなり更に経済的な不安を抱えます。

僕は主宰として、どうケアをしたらいいか、どう責任を負ったらいいのかわかりません。僕は器用ではないのでとにかく動くしかないのです。

生での公演は中止になりましたが配信は続いてます。徳永京子さんに褒めてもらえて嬉しかったんです。出演者全員良いって言ってもらえて嬉しかったんです。照明が良いと言われて嬉しかったんです。配信の映像が良いと言われて嬉しかったんです。映像は残っています。会場で見るのとはまた違うけど、呼吸は感じられます。たくさんの方に届いてほしい。はっきり言います。配信チケット買ってください!

本気で100枚目指してます!!


【エンニュイ 配信映像のお知らせ】
最終日中止となりましたが、3ステージ目までの配信映像が販売中!


エンニュイ第4回本公演
『無表情な日常、感情的な毎秒』

2022年7月29日〜31日 spaceEDGE

脚本・演出 長谷川優貴
脚本の断片 今まで出演してくれた全てのメンバー


【クリエイションメンバー(50音順)】
青柳美希
荒波タテオ
市川フー
小林駿
zzzpeaker
長井健一
二田絢乃
波多野伶奈
ヨシオカハルカ(actors team Re-birth)

*2週間アーカイブ付き
7/29回 8/12(金) 23:59 まで
7/30回 8/13(土) 23:59 まで

↓配信購入 ツイキャスプレミアム



公演台本&舞台美術 販売開始‼️

エンニュイのネットショップで、今回の公演の台本データやzzzpeaker制作の舞台美術が販売開始されています! この公演は絶対に台本見たほうが面白いと思います。是非チェックしてください! 

売り上げは出演者のギャラや赤字の補填にさせていただきます。

12ヶ月公演についてのインタビュー動画アップされてます

他メンバーのインタビューのエンニュイのYouTubeチャンネルにアップされています。

感想ツイートまとめ

読んで気になったら是非配信チケットのご購入を!

サポートも募集しています

この記事を読んだり、公演を観たりした方でエンニュイを応援したいという方は、このnoteかエンニュイのnoteでサポートお願いいたします。出演者のギャラや赤字の補填にさせていただきます。記事の最後にあるサポートボタンからできます。

久々にワークショップします

久々にワークショップします。役としてその場所に"いる"ということをさぐります。

8月21日(日)
会場: STUDIO MATATU

①12:30〜16:30まで
予約
https://tiget.net/events/197419


② 17:30〜21:30まで
予約
https://tiget.net/events/197420

各回
参加費:2500 定員10人
*見学のみの場合は¥1,000 定員5人

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