見出し画像

友人の来春   8月25日

お店をやっていると、思わぬ再会やはるばる遠方からのご来店など、さまざまな出会いがある。お知り合いのお客様同士が店頭でバッタリなんてこともよくあること。東京でお店をやっていた頃からその光景に出くわすことが多かった。目に見えない引力のようなもの。お互いの「わぁ!」という驚きや喜びの声とともに、お店の空気が華やいだり、フワッとほぐれるようにゆるんだり。そうした瞬間が好きだったりする。

昨日も扉が開くと、友人のHちゃんがそこに立っていた。Hちゃん来春。「えっ?」「えっー⁉」Hちゃんはご夫婦で靴を作っている作家さん。普段は千葉に住んでいて、ご実家は北海道。ちょうどsnsで靴用のミシンを車に乗せて行きはひとりで北海道のご実家へ運ぶ様子を見ていたばかり。あちらに数日滞在して、今度はお母さまも一緒に千葉の家へと向かうその帰り道だという。仙台港からフェリーを降りて、高速をひた走る。確かに通り道ではあるけれど、それは地図上のこと。わざわざ一旦高速を降りて立ち寄ってくれたのだ。

心から嬉しい。
大人にはいろんな事情があるから、たとえ近くまで行っても会えないこと、時間や体力だってないときだってある。頭に思い浮かべてもらえただけでもありがたいというのに。
会えば会えていなかった時間などなかったかのようにギューッと縮まっていく。時間や土地などの実際的な距離と人との関係は、決して=ではないのかもしれないなと思わせてくれる。友人とお母さまが帰ってからは、しーんと静かな店内に。ふと今のは夢だったのかしら?と思ったり。夢ではなかった証拠にお土産で戴いた北海道産「坊ちゃんかぼちゃ」のコロンとかわいらしい姿がカウンターにある。夢ではなかったんだなぁ。

ちなみに「来春」はらいしゅんではなく、(らいはる)と読む。
三春に来ること。
福島に来ることは「来福」(らいふく)
どちらも縁起が良いような気がして気に入って使っている。

8月25日 晴れ 久しぶりにきれいな桜色の夕焼け空が広がった
最高気温33℃ 最低気温23℃