触りたいけど触りたくない。相反する気持ちを解決させる秘策は「触らせ方」にあり。
保育園で年長さんと遊び、片付けをしていたときに先生と2歳児の子ども達が輪になって激しい熱量でエキサイトしていました。子ども同士の頭と頭がぶつかるんじゃないかというくらい一塊になった子ども達を分け入り上からのぞいてみると、完全なる威嚇状態で構えているカマキリと、それを取り囲む2歳児の子ども達との戦いが繰り広げられていました。
身体のサイズではない、存在としてのサイズ感
いくら2歳児とはいえ、カマキリ基準で比べれば視覚的に15倍以上の差がある。逆視点だけど、人間が1mだとすると、カマキリが15mの大きさに見えるようなもの。このサイズ感は、大人にとって関わり方の1つの基準になることもあります。でも、2歳児とカマキリの間には、また違う基準でのサイズ感が存在しています。それは「生」というサイズです。
生き物としての質量を比べると、2歳児もカマキリも同サイズ。命1対命1でのコミュニケーションの世界なので、双方異形の生が触れあうか否かの絶妙な瞬間に立ち会うことができました。
触りたいけど触りたくないを解決する方法
「触りたいけど触りたくない」、「やりたいけどやりたくない」この相反する気持ちが同量で発生するのは子どもに限らず人には必ずあると思います。
とかく「やりたくない」に反応しがちですが、実は同量にある「やりたい」を紐解くのがポイントになってきます。そのために、やりたいをベースにやりたくないを紐解いていく作業を始めます。カマキリをベースに考えてみると想定できるのは、
・見た目が怖いから触りたくない
・カマキリのカマの部分が怖くて触りたくない
・カマキリの顔の部分が怖くて触りたくない
・お腹のムニュムニュ感が気持ち悪くて触りたくない
・まったく初めての遭遇でよく分からなすぎて怖いから触りたくない
などといったことがザックリですがあると思います。まずは「何が原因で触りたくないのか?」を丁寧に紐解く作業が必要になります。原因が明確になると、次のステップに進めるわけです。
原因が分かればそれを取り除くだけで前に進める
原因がなんなのかが明確になると、あとは簡単です。たとえば、「カマキリのカマの部分が怖くて触れない」という場合は、大人側がカマの部分を封じ込めてしまえばいいのです。
実際、カマキリの両腕を親指と人差し指で挟み、ひょいと持ち上げて見せてあげると、恐怖心よりも好奇心と冒険心が勝った子供達が、ひとり、ふたりとカマキリの背中を鉛筆の先っちょほどの小さな人差し指でなではじめました。ちょっと力が強めの子、産毛をなでるくらいの浮き具合でなでる子と、アクセス方法は様々です。距離の詰め方もまた面白い(こちらは面白いので後日トピックスとしてあげますね。)。
触りたいけど触りたくないの触りたくない理由が解決して、カマキリへの恐怖感が無くなってくると、子ども達は自分でカマキリを持ち始めます。もちろんうまく持てずにカマにやられて泣きの惨敗をしてしまう子もいるし、僕の持ち方の真似をしてお友達や先生に見せる子どもも現れ始めます。
もちろん、本当に触りたくない子どもに無理矢理触らせるのは御法度ですが、千差万別の原因を探ることで「やりたい」を実現することができるわけです。2歳児からいただいたこの学びのギフト、僕にとってはかなり深い気づきになりました。
遊び方は僕の著書にも紹介させて頂いています。
よろしければ是非!
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