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子どもに1歩先の提案をしてもつまらないだけ。0.5歩先を一緒に進もう。

自然体験をしていると、指導者が提案する内容に子ども全員がアンチな態度、空気感などで教えてくれることがあります。これは完全に指導者のミスです。僕もよく失敗したこの事例を紐解いてみます。

1歩先は誰目線の1歩先なのか?

家庭でいうと、こんなようなことがよくあると思います。とあるアニメが大好きな子どもがいて、いつも楽しそうにそのアニメの話をして、オープニングソングを、親自身も気付くと口ずさんでしまうくらい歌っています。
親としては、「これはなかなかやる気になれないピアノの習い事にいかそう!」と思い、楽譜を買ってきて「これをピアノで弾けるようになろう!」と提案をします。
子どもは、見るからに嫌そうな顔をして「やだ!」とか「やりたくない!」と訴えてきます。これがまさしく1歩先。しかも大人目線の1歩先です。
大人からすれば大好きなものを次のステップに繋げてあげようと思っているので、「せっかくこの子のためにいいチャンスだと思ったのに!」となるわけですが、子どもからしたら迷惑きわまりない提案なわけです。

自然体験でも”あるある”です。例えば木で遊んでいる子ども達がいて、木登りをしたり、生き物探しをしたりと、子ども達がそれぞれ楽しそうに自由に展開していたとします。
そこで、指導者は「生き物に興味を持っている!嬉しい!じゃあ、あそこの水辺の生き物も見せてあげよう!きっと驚くし、喜ぶだろうな!」と思い立ち、子ども達に「あそこの池の生き物をみんなで見に行こう!」とワクワクしながら提案をします。
子どもは当然「え〜やだ〜」という返答をするわけです。これも大人目線の1歩先の提案をしているのです。子どもは今まさに木で色々な方法で遊ぶのが楽しいのに、そこでいきなり池に行こうと言われても、行きたくなるわけがありません。

0.5歩先を提案してみよう

そこで大切なのが0.5歩です。0.5歩先に歩幅を狭めて提案をすれば、子どもの熱量が今そこで一番高まっているというその場にホットな状態でない限り、きっと一緒に次を楽しんでくれると思います。
先ほどのアニメの例でいうと、子どもが今そのアニメに関係して何をしたいと思っているのか?が大切になります。考え方でいうと…。

・アニメをもっと観たい
・アニメの歌の歌詞を全部覚えたい
・アニメに出てくる衣装を着たい
・アニメの原作マンガを読みたい
・アニメの歌を演奏したい

などなど、色々な選択があるはずです。子どもの熱量が今どの方向に行きたいと思っているかをキャッチして、まずは大好きなアニメをとことん堪能することをメインに起きつつちょっとずつステップを踏んでいくのがオススメです。たとえば

・アニメの歌の歌詞を全部覚えたい
 行動:歌詞カードをつくる、渡す
 活用:国語→ひらがなや漢字の読み書き、文字を読む癖ができる…など

・アニメに出てくる衣装を着たい
 行動:衣装をつくってみる、描いてみる
 =図画工作:創意工夫、創作意欲が湧いてくる…など

といった感じです。色々な角度で考えると、大人が思いついた「こうしてあげよう!」よりも幅広く学びの種は落ちていますし、大好きなアニメを子どもの優先順位で楽しんでいると、3番目、4番目、もしくは5番目くらいに「ピアノで演奏してみたい!」となるかもしれません。

これは自然体験でもまったく同じです。図にするとこんな感じです。

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図の中心にある、いきなり水辺に誘うのはNGです。状況にもよりますが、図の①〜④のステップを追っていくといいと思います。
まずは目の前の木を様々な角度で思う存分堪能します。そして次の「水辺」に行くための心と目線と楽しみ方がイメージしやすい体験の準備ができた後であれば子ども自身が提案を聞いて、きっと「水辺に行きたい!」となってくれます。

0.5歩先、家庭でも、自然体験でも、”今”の子どもの心の熱量を感じながら実践してみてください。

スタッフが毎回僕の著書「ネイチャーエデュケーション」に書いたポイントを簡単にまとめてSNSにアップしてくれています。
気軽に読めて実践して頂けると思いますので是非見てみてください。

この元となった本は、ネイチャーエデュケーションです。こちらもよろしければ是非読んでみてください。


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