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俳優の放心をあえて写す。写真家、細野晋司の発見。

 蜷川幸雄がコクーンで活躍した時期を細野晋司が撮影した『Passion』が興味深く思えた。これもよいきっかけと思い、舞台から楽屋へ戻った俳優を撮影した『知らない顔』を求めてみた。

 緒形拳からはじまって吉田日出子まで。
 このなかの半数くらいの俳優は、直接お目にかかったことがある。稽古場や周辺での取材がほとんどで、楽屋で会った俳優は十人内外だろう。歌舞伎俳優は楽屋が応接間のようなものなので、勘三郎とはよく会った。
 蜷川幸雄や野田秀樹が演出したでは、終演後、楽屋を訪ねることが多かったので、大竹しのぶや堤真一、寺島しのぶらとも、何度も楽屋で会ったことがある。

 けれどもこの『知らない顔』には、まったく別の顔が写っている。ひとことでいえば、放心である。

 苛酷な舞台を勤めたあと、俳優たちは、高揚のあとの放心に包まれる。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。