【劇評239】幸四郎、錦之助、歌六の『盛綱陣屋』。極限の一刻を生きる。
だれもが承知の諸般の事情で、開幕が遅れた第二部を観た。
ここまで感染状況がすすむと、だれがいつ罹患するかわからない。隼人も歌昇もさぞ辛い思いでいるだろう。本当に困難な状況を切り抜け、第二部を開けた関係者に感謝しています。
さて、『盛綱陣屋』である。
いわずとしれた時代物の重い出し物で、顔が揃わなければとても出せない。まだまだ、困難が続く今、伝承を絶やさないためにこの演目を出したのは貴重である。
よい点がいくつもある。
まず第一に幸四郎の盛綱と錦之助の秀盛のせ