【劇評168】愛之助、壱太郎の『連獅子』。勘九郎と巳之助の『棒しばり』。二本の舞踊ものがたり。
小津安二郎の映画だったろうか、それとも三島由紀夫の小説だったろうか。
歌舞伎座が下お見合いの場となる描写があったように思う。欧州のオペラ座も同様だろうけれど、国を代表する豪奢な劇場は、単に観劇の場ではなく社交の場であった。
また、消閑という役割もあって、私の父の世代は、あまり気に染まない幕は抜いて、食道でビールをゆっくり飲んでいた。
当時は、なんと不真面目なと思っていたが、今は、そんなのんびりした情景が懐かしく思い出される。
二月の千穐楽から、八月の初日まで。長