それは黒船か?Instagram地図検索で変わるお店選びの未来
Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)のトレンドを届けるマガジン『これからのGoogleマイビジネスの話をしよう』の第16回です。
2021年6月17日、Instagramが「地図検索機能」をリリースし、いままでGoogleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)が主だったローカル検索が大きく変わりそうです。
今回は、前半は「Instagram地図検索の基本」と「Googleマップとの違い」、後半では株式会社ホットリンクの朝山 高至さんに「Instagramでの店選び体験とアルゴリズム、店舗運用の可能性」を取材しました。
※11/7時点:「Googleマイビジネス」の名称変更に伴い、Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)の表記に変更している箇所があります。
Instagram地図検索とは
Instagram地図検索は「近隣の人気スポットを検索できる機能」です。
発見タブの地図アイコンをタップすると、カフェやレストラン、観光名所などのスポットが地図上に表示され、近隣の人気スポットが位置情報付きのフィード投稿と一緒に表示されています。
また、ハッシュタグの一部でも地図が表示され、関連する近隣のスポットも表示されています。
“例えば「テイクアウト」を検索すると、そのハッシュタグをつけてシェアされた投稿の上に地図が表示され、地図をタップすると関連するスポットが表示されます”
参照:https://twitter.com/FBBusinessJP/status/1405430881871822851/photo/1
位置情報とInstagramアカウントが紐づいている場合には公式アカウントが表示され、地図検索機能からの店舗の発見→発見からの予約がシームレスに繋がります。
表示スポットやランキングのアルゴリズムは公開されていません。
しかし、位置情報付きの投稿が多いスポットは表示されやすく、上位表示も多い傾向があります(単純な件数順ではありません)。
また、ユーザーによって表示されるスポットは変わります。Instagramの利用動向に応じて、利用者ごとに最適化された店舗が表示されるようです。
地図検索は、2021年3月からテストされてきた機能
Instagram地図検索機能は、日本のプロダクト開発チーム主導の機能で、日本で先行導入されました。国内ユーザーのハッシュタグ検索の件数が世界平均の数倍だったことが背景にあるようです。
“テストを目的に21年3月から、日本と台湾の一部の利用者に提供し始めた新たな検索機能だ”
そして、2021年5月に地図検索機能のβ版が実装。「すごい」「この機能が欲しかった」「求めていた」という待望の声が多く寄せられました。
店舗ビジネスでのInstagramの活用が重要になり、UGC(ユーザーによる投稿)を集めることが、集客にダイレクトに繋がることが予想されます。
Instagram地図とGoogleマップの主な違い
GoogleマップとInstagram地図検索の違いを簡単にまとめてみました。
違い①マップデータ・ルート検索機能
違い②星評価
違い③検索結果の表示方法・アルゴリズム
違い④ビジネス情報の種類
違い⑤ユーザー層・利用意図
違い①マップデータ・ルート検索機能
Instagramは、自社のマップデータ・ルート検索機能を持っていません。ビジネス情報はApple Mapsを参照し、ルートを知りたいユーザーにはApple MapsもしくはGoogleマップを案内しています。
違い②星評価
Instagram地図検索は、ユーザーの投稿を位置情報でまとめているだけなので、星評価はありません。
定量的な評価で選ぶ場合はGoogleマップ、定性的な評価で選ぶ場合はInstagram地図検索という使い分けが増えそうです。
違い③検索結果の表示方法・アルゴリズム
Instagram地図検索が「いま見ている地図内」での結果を表示するのに対して、Googleマップは検索キーワードに応じた情報を表示します。
遠い場所にあるビジネスでも、Googleのアルゴリズムに基づいて、近くのビジネスより検索内容に合致していると判断された場合は、上位に表示される場合があります。
(例えば錦糸町付近では、Instagram地図検索で「人形町グルメ」を調べても何も表示されないが、Googleマップ検索では人形町付近の地図と検索結果が表示される)
検索キーワードとマッチする地点情報を表示するのが「Googleマップ」、ユーザーにマッチする地点情報や投稿を最適化して表示するのが「Instagram地図検索」であると考えられます。
Googleマップの検索順位は、主に「検索キーワードとの関連性」、「検索ユーザーと地点の距離」、「地点の知名度(視認性の高さ・ローカル検索結果のランキングやクチコミ投稿数やスコア)」などの要素の組み合わせで決まります。
それに対して、Instagram地図検索はハッシュタグをフィルターとしていますが、検索結果や順位は、「ユーザーと地点との関連性」や「地点の知名度(投稿数)」を重視していると考えられます。これはInstagramのサービス特性とも合致します。
検索&発見においてもアルゴリズムはまず投稿をランク付けし、ユーザーが興味関心を抱くであろうコンテンツを分類します。具体的には、過去の「いいね」や「保存」、あるいは過去にコメントを寄せた投稿などからユーザーの趣味嗜好を調べるわけです。
違い④ビジネス情報の種類・量
現時点では、Instagram地図検索のスポットのビジネス情報は多くても、住所・カテゴリ・営業時間・サイト・電話番号・価格帯などの数種類です。住所・電話番号・カテゴリだけの店舗も少なくありません。
「Instagramで店を認知して、より具体的な営業時間や行き方をGoogleマップで調べる」という横断的な検索行動が増えるかもしれません。
ちなみに、Instagram地図検索が参照しているApple Mapsのビジネス情報は、ユーザーが書き換えることはできません。
Googleマップのように、プラットフォームやユーザーからの編集提案で閉店になったり、営業時間が変わったりするケースは、ほとんどないと思われます。
また、ビジネスオーナーがビジネス情報を登録・管理するには、Apple MapsのMaps Connectから申請する必要があります。
違い⑤ユーザー層・利用意図の違い
GoogleマップとInstagramのユーザーは異なります。Instagramと相性が良いジャンルや若年層が多い店舗や地域は、あわせて取り組むべきでしょう。
Instagramの主な情報源は画像や動画であり、コミュニケーションツールの側面も強いです。公式情報以上に、そこを利用したユーザーの情報が重要視されています。
一方、Googleマップはインフラ情報的であり、マップユーザーの利用意図には「店への行き方や営業情報を調べる」ことが多く含まれます。
認知や知名度(視認性の高さ)を高めるのに強いのがInstagram地図検索、利用の最後の背中を押すのに強いのがGoogleマップという位置付けになっていきそうです。
Instagram地図検索とGoogleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)の活用の共通点は「ユーザー投稿」
一方で、GoogleマップとInstagram地図検索で共通するのは「ユーザー投稿(レビュー)が重要」ということです。
店舗がユーザーに発見され利用されるかは、ユーザーの店舗体験の感想に委ねられる部分が大きくなります。ますます「投稿したくなる体験をいかに作るか」が鍵になってきます。
Instagram地図検索のアルゴリズムや利用シーンは、まだまだ未知数です。しかし、ユニークユーザーは多く、いまからUGCの獲得に取り組めば、新たな集客の可能性は小さくありません。
ちょうど同じタイミングで、より具体的に検証しているワタラさんのnoteが公開されていたので、こちらも合わせてご覧になってみてください。
「地図検索」機能を集客につなげる5つのポイント
①スポットのサムネイル画像を最適化すること
②まとめ表示内で1位を取ること
③適切なカテゴリで表示されるようにすること
④お店のウリを絞り込んでUGCを生み出すこと
⑤検索〜予約までの体験をスムーズに設計すること
そして、Instagramでの投稿が増えることはGoogleローカル検索の掲載順位の要素の一つ「知名度(視認性の高さ)」の獲得にも繋がります。
近視眼的に「Instagram」「Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)」の攻略を意識するのではなく、店舗の体験を最適化し、シェアするユーザー心理の理解が重要になります。
エキスパートに聞く、Instagramでのお店選び事情
ここから、株式会社ホットリンクの朝山 高至さんに「Instagramユーザーのお店選び、Instagram地図検索機能の狙いやアルゴリズム、店舗ビジネスのInstagramの活用方法」を伺っていきます。
株式会社ホットリンク
マーケティング部リーダー兼 ホットリンク総研研究員
朝山 高至さん
ソーシャルメディアマーケティングの研究機関「ホットリンク総研」の研究員としてInstagramマーケティングのメソッド開発に従事。最近では、書籍『ゼロからわかるビジネスInstagram』を出されました。
https://twitter.com/taasayan
Instagramを検索行動に多く使う日本ユーザー
ーなぜ日本でInstagram地図検索機能が先行導入されたのでしょうか?
朝山さん:日本ユーザーに多い「検索意欲」に応えるためだと考えています。日本ユーザーは、他の国よりも飲食店や観光スポットを探すためにInstagramを使っています。グローバル平均と比較して5倍のハッシュタグ検索をしているそうです。
2019年の調査でも、グルメ情報をInstagramで調べる人が多いのも分かっています。
2019年の調査なので、今はさらに増えているはずです。特に若年層は検索エンジンとしても利用している傾向があります。
朝山さん:Instagramの前身は『Burbn(バーブン)』というチェックインアプリでした。2016年くらいまで、Instagramでも過去にチェックインした地点が、地図上で見られるフォトマップ機能がありました。
今回のマップ機能は、以前消したマップ機能の再来とも言えるかもしれませんが、以前とは違いがあります。
以前は自分の過去の訪問場所の思い出を振り返ったり、友だちの訪問場所を参考にする用途でしたが、今回は現在地やハッシュタグに基づくお店のレコメンドをしてくれるマップ機能となっています。
Instagramで飲食店を探す探索行動の3つのパターン
ー日本ユーザーに多い「Instagramでの検索行動」とは、どんな行動なのでしょうか?
朝山さん:例えば、Instagramで飲食店を探す探索行動には、3つのパターンがあります。
A:行きたいお店が決まっている探索行動
B:場所から探す探索行動
C:何も探していない状態での偶発的発見
朝山さん:まず「行きたいお店が決まっている探索行動」は、お店の情報を深掘りする行動です。
店舗名でアカウント検索や、ハッシュタグ検索、位置情報検索をして公式の投稿や一般ユーザーの投稿を見たりしています。
投稿をメニュー代わりにして、「みんな、何を食べてる?」「この天ぷらうどんおいしそう」「どのメニューが一番美しく見える?」「どう撮っている写真が多い?」などをチェックしています。
営業中か分かりづらいコロナ禍の今は、「最近」タブから「今日空いてる?いま混んでいる?」というリアルタイム情報をチェックするユーザーも少なくありません。投稿の頻度が高いInstagramには新鮮な情報が多いからです。
朝山さん:2つ目のお店選びのパターンは「場所から探す探索行動」です。
例えば、「軽井沢にいくので、この辺りで良いお店ないかな?」という意図で「#軽井沢グルメ」などを検索し、お店を探します。
気になるお店が見つかれば、ここからAの検索行動にも繋がります。まず広くエリアで探してから、より狭く、具体的な探索行動に移っていくんですね。
ーGoogleマップでも場所起点でのお店探しありますが、どんな違いがありますか?
朝山さん:Googleマップの強みは「特定の場所や行き方からお店を見つけやすいUI」だと思います。ルートや時間などの情報を得やすいですよね。
Instagramにはルート機能がありませんが、ヴィジュアル中心の検索がしやすいため「撮影に値する、思い出になるインパクトのあるスポット」を探すのに向いています。
朝山さん:3つ目の「何も探していない状態での探索行動」は、Instagram特有の探索行動だと思います。
Instagramは、「なんとなく開いて、レコメンドや友達の投稿をだらだらと楽しむ」時間が多いです。偶発的に発見したお店が気になれば、「保存」して、思い出した時にまた見て、AやBの探索行動に繋がります。
ー認知から情報収集、比較までが、Instagram内だけで起きるのですね…!
Instagramマップはインタレストグラフとソーシャルグラフ両方でレコメンドができる
ーInstagramの地図検索ですが、どんなスポットがどんな意図で表示されていくのでしょうか?
朝山さん:Instagramマップの場合、「インタレストグラフ」と「ソーシャルグラフ」の2つを用いて、お店のレコメンドができる可能性があります。
※「インタレストグラフ」は趣味や関心軸のデータ、「ソーシャルグラフ」はそのユーザーと他ユーザーとの人間関係軸のデータ
朝山さん:Instagramは、ユーザーが「どんなトピックに興味関心があるのか」を、フィードやストーリーズ・発見タブ・Reelsなどへの反応から把握しています。
例えば、ラーメンの投稿をじっくり見たり保存しているユーザーなら、優先的にラーメン屋を表示させていくことができます。
そして、「誰と相互の関係性が強いか」「誰に関心があるか」も把握しています。同じクラスタの友人が直近でチェックインしたお店や、憧れのクリエイターがチェックインした場所を優先的におすすめするということも考えられます。
その上で、スポットが地図に表示されるには、3つのロジックが推測できます。
1:お店自体の評価:
位置情報の投稿数・投稿に対するエンゲージメント・公式アカウントの信頼度(位置情報が紐付いている場合)によるお店自体の評価。
2:状況(時間や位置情報)との相性:
季節や時間帯・日時(例えば、お昼に閲覧したときはカフェ、金曜日の夜だったら居酒屋、紅葉シーズンなら紅葉スポット)や、位置情報(例えば、地元の人が近場で探すケースと、東京の人が観光目的で探すケース)など、状況で評価項目の重み付けが変わる可能性がある。
3:閲覧者との相性:
インタレストグラフとソーシャルグラフによる評価。インタレストグラフからの推測(過去の閲覧行動や検索行動などから興味関心を持つお店のカテゴリを推測して優先度を変える)、ソーシャルグラフからの推測(閲覧者の親しい人やお気に入りのクリエイターなどの反応や、直近でチェックインや投稿をしているお店)で優先的にレコメンドする可能性がある。
朝山さん:推測に過ぎませんが、これらの要素の組み合わせで地図に出てくるスポットや投稿が決まる可能性があります。
特に、GoogleマップにないInstagramの強みがソーシャルグラフの活用です。Googleとは違うレコメンドとして、「お気に入りのクリエイターが直近でチェックインした」「親密度の高い友達がよく通っている店」などが実現される可能性があります。
店舗ビジネスは、InstagramとInstagram地図検索をどう活用したらいいのか?
ーInstagramと相性が良いのは、どんなジャンルのお店になりますか?
朝山さん:分かりやすいのは、お客様の多くが10〜20代の店舗ですね。あとは、 カフェとか美容室、ホテルなどのジャンルも向いています。
ただ、Instagramの日本ユーザーは3,300万人を突破し、40代以上のユーザーも増加傾向にあり、幅広いジャンルでの活用が有効になる可能性があります。
Instagramのマップ機能はUGC(ユーザーによる投稿)が中心になりますので、UGC活用の向き不向きを見分ける方法として「3枚おろし」をお勧めしています。
自店舗や同じジャンルで、「画像の投稿が出ているか?」「閲覧のニーズがあるのか?」をチェックすると、Instagramとの相性が見分けられますよ。
朝山さん: Instagramは、ヴィジュアルのプラットフォームです。店舗ビジネスでも、証券会社などは来店時に写真や動画撮影してInstagramに投稿したりチェックしたりしないですよね。
でもラーメン屋なら「美味かった」と投稿しますし、ヘアサロンなら「カラーした」とヴィジュアルをシェアします。
ー地図検索機能は、どう活用したらいいでしょうか?
朝山さん:まずは、「位置情報と店舗情報の紐付けがされているか」を必ずチェックして欲しいですね。位置情報が無ければ、Instagramマップの中でお店自体が存在しないことになってしまいます。
ー来店したお客様が、位置情報付きで投稿したくてもできない状況ですね。
朝山さん:「店舗情報と公式アカウントが紐づいているか」も重要です。
スポットから公式アカウント、プロフィールに飛べるかチェックしましょう。チェーン店もブランドアカウントだけでなく、店舗アカウントの存在も今までよりも重要度が増しそうですね。
※紐づいていない例(左)と紐づいている例(右)
朝山さん:そこからは、「お客様の投稿を増やし、UDSASSの循環をいかに作れるか」だと思います。
“UDSSASは、「UGC・Discover・Save・Search・Action・Share」の頭文字を取った、Instagram上の購買行動プロセス"
①UGC(ユーザーのクチコミが発生)
↓
②Discover(他のユーザーが、ハッシュタグや発見タブやフィード、ストーリーズ投稿などでお店についての投稿を発見)
↓
③Save(後から見返せるように、Instagramの保存機能やスクリーンショットで投稿を保存。店舗に一緒に行きたい友だちにDMでシェアし、DM上に保存するという行動もあります)
↓
④Search(詳細な情報を得るためにGoogleやSNS、クチコミサイトや専門メディアなどで検索)
↓
⑤Action(来店)
↓
⑥Share(購買体験や商品を写真や動画に撮り、自らもInstagramに投稿し、それが新たなUGCとなる)
↓
②のUGCに繋がり、サイクルになる
お客様からの投稿を増やす鍵は、SNS内外での取り組み
ーGoogleマイビジネスでも、お客様からのレビューが鍵となります。どうしたら投稿は増えるのでしょうか?
朝山さん:投稿を増やすには、SNS内外での取り組みが必要です。
1:SNS外=写真や動画を撮りたいと思わせる
2:SNS内=データフォルダからシェアしたいと思わせる
朝山さん:まず、どう「撮りたい」と思わせるかですが…そもそも写真と動画とで撮りたくなるシーンはちょっと違います。
写真は「完成された美しさや迫力」、動画は「動きがあったり、シズル感が伝わったり、完成するまでのプロセス」を撮りたくなります。
例えば、最近 Instagramで話題になった和栗専門店モンブランでは、どうしても動画で撮りたくなる面白い動きや特徴的なムーブがありました。
朝山さん:動画の投稿が増えているので、飲食店なら料理を作る・完成させるシーンを、お客様がカメラに収める機会を意図的に作ってあげるのが有効だと思います。
フルーツ大福屋さんでも、「紐で大福を切る瞬間」がSNSで話題になりしました。公式アカウントが、「動画や画像で撮りたくなるお手本」を用意して、ユーザーが真似して投稿してくれた事例です。
ー先ほどの「メニュー代わり」の話とも繋がりますね。
朝山さん:「撮った画像や動画をシェアしたい」と思わせるには、思わず投稿したくなる企画を実施したり、公式アカウントがUGCをリポスト(再投稿)して紹介するのも有効です。
ユーザーは、公式に紹介された嬉しさでもっとファンになりますし、「また投稿しよう」となります。他ユーザーも真似してくれれば、シェアする文化がどんどん作られていきます。
ー以前Twitter活用を取材した時も「公式は、バズるよりバズってもらうのが大事」と教わりました。
ローカル検索体験はどう変わる?Instagramが作ろうとする未来
ーコロナ禍ならではの活用法はありますか?Googleマイビジネスでは「いま」の検索や最新の営業情報のニーズが増えています。
朝山さん:Instagramでも同じく最新情報のニーズが強まっています。「Googleマップでは『営業中』と表示されてるけど、不安だから、Instagramの最新の投稿を見に行く」行動です。
ウェブサイトよりも投稿頻度の高い公式アカウントからの投稿や、ハッシュタグの「最近タブ」からの一般ユーザーの投稿で、直近の営業情報や混雑状況を把握する行動ですね。
ー「Instagram地図検索は、Googleマイビジネスのライバル」と挙げる人が多いです。 Instagram地図検索の普及で、ローカル検索はどう変わると思いますか?
朝山さん:これからは、シンプルに検索クエリや位置情報に最適なお店をレコメンドするだけでなく、「今、Instagram上で同じエリアの同じクラスタの人たちの間で話題になっているお店」など、人と人の繋がりを起点にしたマップ上のお店のレコメンドができるかもしれません。
また、InstagramではストーリーズからUber Eatsなどのデリバリーサービスへの遷移が可能です。「地図検索から近隣の飲食店を探して、そのままデリバリーを頼む」など、Instagram内でのデリバリー体験も拡張していきそうです。
InstagramがGoogle Mapsなどのプラットフォームと違うのは、「ユーザー同士でつながり、すべてのユーザーがコンテンツを作って投稿するクリエイターになれる場所」ということです。
今後さらに、Instagram上でユーザーが店舗のクチコミ情報を得て、「体験ユーザーによるクチコミでトレンドが生まれる」という店舗にとって重要なメディアになっていくと考えています。
ー本日は、貴重なお話をありがとうございました!
取材協力:株式会社ホットリンク マーケティング部リーダー 兼 ホットリンク総研研究員 朝山 高至さん
株式会社ホットリンク 朝山 高至さんの著書『ゼロからわかるビジネスInstagram』のお知らせ
『ゼロからわかるビジネスInstagram』
“予算や知名度に頼らず結果を出すために必要な考え方や行動を、マーケティングのプロが解説します。Instagramの使い方からフォロワーの増やし方、売上げを伸ばすカギ…といったInstagramアカウントの「中の人」が知りたいことを一冊に詰め込みました” Amazon書籍紹介より
Instagramが持つ緻密なアルゴリズムと戦略に驚かされます。具体的な事例の数々を読み、「自分でも試してみたい・新しいクリエイティブを考えてみたい」、そうワクワクしながら学べる本です。途中で紹介したUDSASSの詳細なども、ぜひご覧になってみてください。
あとがき
「これからのGoogleマイビジネスの話をしよう」第16回を読んでいただき、ありがとうございました。
店舗ビジネスに関わる人は「また、新しいツールが出た…」と思われるかもしれません。
ただ、どちらのプラットフォームでも共通するのは「体験を来店前から最適化する」「体験をシェアしたくなる仕掛けを作る」ことだと思います。
過去も取り上げてきた「いま自店舗はどう見られているのか?見られたいのか」をお客様視点で発見し、来店をイメージできるように情報発信、コロナ禍でも不安を生まないように最新情報や感染予防対策を説明する、そんなコミュニケーションの基本を続けていくのがポイントになっていきそうです。
今後も不定期で更新していくつもりなので、マガジンのフォローなどがおすすめです!
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。いつか、また!