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人を集めようとするのではなく、人が集まるのが「集客」という話について

皆さま、おつかれさまです。
後継経営者のお悩み解決に【徹底伴走】するコンサルタントの長谷川です。

今回は何をテーマに記事を書こうかと考えていたのですが、思い切って「集客」について書いてみようと思います。
私は集客のプロではなく、集客に対して試行錯誤、日々悩んでいます。
そんな私が見聞きしたこと、実際にやってみてどうだったかということをお伝えしますので、皆さまにとってケーススタディになりましたら幸いです。

私が理解している「集客」とは

先日、「集客」をテーマにした研修に参加しました。そこで聞いた話に私は衝撃を受けました。当たり前だけど、すごく的を得ていたからです。

例えば、花火大会やお祭りを想像してください。
楽しく遊んでいると、自然とお腹がすきます。何か食べたいと思う人がいるので、屋台のたこ焼きや焼きそば、りんご飴に人は集まります。
また、もっと楽しく過ごしたいという人がいるから、金魚すくいや射的などのエンタメ要素のある屋台に人は集まります。

仮に、花火大会の会場で「本」を売ろうとしても、本を読みたい! 面白い本を探している! という人はどのくらいいるでしょうか?
基本的には皆さん花火を観にきているので、苦戦することが予想されます。
(実際に、長岡の花火大会で花火に関する本を売ろうとして10冊売った人を知っています……!)

この話を踏まえて、ドラッカーの話をします。
マーケティングについて、理想は販売を不要にすること、と彼は述べています。また、続けて興味深いことを述べています。それは、

マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。

P.F.ドラッカー『マネジメント【エッセンシャル版】』 ダイヤモンド社、2001年

これは先ほどお話しした話そのものです。
つまるところ、顧客のニーズを満たすものがそこにあれば、人は集まってくるということです。

私は「集客」のポイントは3つあると考えています。
それは、
①十分に顧客のニーズを把握すること(顧客理解)
②そのニーズに応えられる、差別化されている商品やサービスを持っていること(顧客体験)
③ニーズを持つ顧客とニーズを満たす商品やサービスと繋ぐこと

です。今回は特に①について考えてみました。

ターゲットは顧客? それともファン?

商品やサービスのターゲットは誰? という話については、よくSTP分析が用いられます。S(セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の3点で対象となる顧客像を整理するという分析手法です。これにより顧客像が具体的になります。
しかし、私は集客において、顧客を集めるのではなくファンを集めることを意識した方が良いと考えています。

その理由をお話しします。まず、顧客とファンの違いについてから。

顧客:商品やサービスを買う人。商品やサービスに信頼感を持つ。
ファン:商品やサービスの提供者の理念を支持してくれる人。提供者に信頼を持つ。

顧客とファンの違いについては、iPhoneの事例がよく用いられます。
顧客はスマートフォンの選択肢の一つとしてiPhoneを購入し、愛用しています。一方、ファンはiPhoneを提供しているAppleに対して信頼感を持ち、Appleの提案する世界観を好んでいます。
そのため、より良いスマートフォンが発売されると顧客の場合はiPhoneから別のメーカーへの機種変更は容易に行われますが、ファンはAppleの提案する機種を好んでいるのでiPhoneからの乗り換えはほとんど発生しません。

顧客からファンになるためには顧客体験を何度も経ることで信頼感が商品から提供者へと移っていきます。このことから、ファンをつくるためには一朝一夕では難しいということが分かります。

それでは、どうして「集客において、顧客を集めるのではなくファンを集めることを意識した方が良い」と私は考えているのでしょうか。
それは、商品やサービスを買って欲しいがために顧客を集めてしまうと、その価値が分からない人に売ってしまう可能性があるからです。

最近、ある方のツイートがバズっていました。
それは「経営を14年やってきて、これ本当に大切だなぁとおもうのは「売上をあげる」よりも「売らない人を決める」でした。」という話です。

価値が分からない人に売ってしまうと、値下げが発生し経営が安定しなくなる、ということを話されています。また、他の方の話では、クレームも発生し、それにより社員が疲弊する、なども伝えられています。

キチンと価値が分かる人に、適正価格で提供する。これは弊社社長塾でもお伝えしている「池クジラ戦略」とも通じる話です。したがって、価値が分かる人=理念に共感している人に対して、しっかり商品やサービスを提供した方が時間はかかるかもしれないけれども結果的には良い。つまり、はじめからファンを集めるようにした方が良い、という考えに至ったわけです。

集客に魔法はない

少し③についても、触れておきます。前職の化粧品会社に勤めていた時の話になります。

私は、新規店の集客のためにポスティングをしていた時期があります。他にもFacebook広告やらDMやらも試していましたが、これらはさっぱりだったにも関わらず、先のポスティングの方が上手く集客が出来ていました。ポスティング先はお店のあるショッピングセンターの近所に絞っていましたので、お店は知らなくても場所のことは知っているので多少なりとも安心感はあったようです。
「飛び道具を使うよりも、足で稼いだ方がコスパ良いのか……」
と思った記憶があります。

しかし、それ以上に良かったのがショッピングセンター内でのイベント開催でした。直接お客様と接点を持ったうえで、次の接点に繋げることが出来るので安心感が違います。また、お客様のニーズを知ったうえで、次の提案に繋げることが出来ていました。単純接触効果も発揮されやすい状況でもありました。

その時の経験から、私は「集客に魔法はない」とも考えています。
地道に、コツコツと積み重ねていった行動の結果として、人を集めることが出来ます。多くの選択肢であふれている中で、いきなりは人は集まってくれません。仮に集まったとしても一時的な集客となってしまいます(その時だけ買ってくれた顧客)。

そうならないためにも、私は「ファンを創ること」を意識して、丁寧に「集客」を頑張った方が良いと考えるようにしています。

これからも色々と取り組んでいる中で気づいたことがありましたら、お話ししていこうと思います。同じく「集客」に取り組んでいらっしゃる方々の何かしらの参考になっておりましたら幸いです。

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