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朝の電車

毎朝、乗り換えで待つ駅のホーム。 早すぎる出勤時間を調整したくて、1つ電車を見送る。 6分程度の待ち時間に時々座るベンチ。 今日は座ったベンチの隣に、制服の中学生が座った。 かわいいな、中学1年生だろうか。 あどけなさが残るこれからぐんと伸びるであろう前の低身長の男の子。 そんな事を考えていると、 大きなリュックサックから何かがポトっと落ちた。 見てみると、手のひらに乗る小さな焼きシャケが落ちている。 ん??シャケ?本物? え?え?お弁当のシャケ? とありえない想

    • こびりついたシール

      ふと見ると、窓にシールが貼ってある。 子どもが以前遊んで貼ったシールだろう。 もう色あせて剥がれかけている。 それが気になって、全部剥がして窓を綺麗にしようとした。 だいたいが簡単にはがせたのだが、最後の大きな一枚だけがどう頑張ってもはがせない。 爪の間に刺さって痛くなりそうなくらい、はがせないのだ。 時間が経って、のりがこびりついてしまったのだろう。それでも最後の一枚が気になってしょうがない。 綺麗さっぱり取り除きたいのに。 カツカツ、カツカツ。 爪を立てながらシール

      • 通りすがりの喫茶店

        仕事終わりの夕暮れ時、お気に入りの喫茶店により1杯だけ珈琲を飲む時間。 カウンターから見える、開けっぱなしになった入り口。そこから見える人通りがなんだか懐かしくて、寂しい心を満たしてくれる。 カウンターの中ではカチャカチャと手際よく食器を拭く音がする。素敵な年配のマスターらしき人と店員がコーヒーの入れ方の話をしている。 外を見ると、当たり前だが私とは関係のない見知らぬ人たちが歩いている。 でも、 そんな自分と関係のない人たちでさえ、 外を通る人たちは独り身の私をあた

        • 私の秘密の扉

          日常、同じオフィスで繰り返される仕事、 業務、人間関係、ちょっとしたストレス。 それでも収入を得て、自分の城で自由に暮らす。 そんな毎日に充実感はあれど、慣れてくると物足りなさや、このままで良いのかと言うモヤモヤした気持ちになる。 そんな時、訪れる場所がある。 私の秘密の扉だ。 その扉を押すときは、何だかいつもドキドキするのだ。初めての場所に飛び込むみたいに。 その扉は町の中心部の路地に入っていった先にある、お酒と紅茶のお店だ。 昼間はティールームになり、夕方日が暮