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朝の電車

毎朝、乗り換えで待つ駅のホーム。
早すぎる出勤時間を調整したくて、1つ電車を見送る。

6分程度の待ち時間に時々座るベンチ。
今日は座ったベンチの隣に、制服の中学生が座った。

かわいいな、中学1年生だろうか。
あどけなさが残るこれからぐんと伸びるであろう前の低身長の男の子。

そんな事を考えていると、
大きなリュックサックから何かがポトっと落ちた。

見てみると、手のひらに乗る小さな焼きシャケが落ちている。

ん??シャケ?本物?
え?え?お弁当のシャケ?

とありえない想像をした自分に内心笑いながら。

「ねえ、何か落ちたよ?」
と声をかける。

すると、お礼の言葉ももなく
「ああ、また落ちたー」と呟く男の子。
リアルシャケのキーホルダーだった。
隣にいる友達が「とれたの?」と問いかけながら、「またとれた」と返す男の子。

てっきり、かわいい思春期の男の子から
「ありがとう」と言われるのを期待したかの様に、私の内心は少ししょんぼりした。

要するに、私は何か普段関わりのない新鮮な年代の人との会話の展開を期待したのだ。

まあ、その子の母親世代と言われれば
そうかもしれない自分に、
「何だか、歳をとったかな」と、
しみじみ思ってしまった。

毎日同じ電車で同じ職場に向かう。
あまり変わり映えしない毎日。

そんな毎日の中で
ほんの一瞬の人との出会いや関わりで、
私は今日も頑張ろうと思える。

そんな一瞬を大事にしたい。
ほんの数ミリの変化や新鮮な気持ちを大事にしたい。

そう思いながら、今日もいつもの電車に乗り込んだ。

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