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本の選択問題、再び

本の選択については、われわれが読んで面白かったものと、読んでないけど読みたいものにすることまでは決まっています。
しかし、いざ選び始めるとこれいかに。「キリがない」とはまさにこのことで巨大な出版物の山から一冊ずつ抜き出す作業はいつまでやっても終わりそうもなく、第一、限りある本棚(800~1000冊程度)に収めるためには、なにか別の基準を加えなければ到底無理だと早々に気づきました。
 
大前提として、取次ぎの関係上、「買取り」で仕入れることが多くなるので(小さな書店にとっては、「返本可能」の条件で仕入れられる出版社は少なく、可能であっても利益率は低く手間もかかる)、ならば仕入れた本が売れないと永遠に棚に残り続けることを念頭に置かなければなりません。買い取り条件は定価の約7割なので、仕入れた本の7割以上は売れないと赤字になる。そのことを肝に銘じて選ばないといけません。
 
まずは、刊行から2~3年以内の単行本を中心に集めること。それ以前の書籍は古本を扱っている市場に出回っているでしょう。古い書籍を仕入れるとしたら、それは古本でも価値が下がっていないものか、よっぽど思い入れの深い愛蔵本クラスのものです。
第二に、文庫化されにくいものを選ぶこと。たとえば、大好きな小説家の新作が単行本で出版されても、2~3年後には文庫化されるわけで、すると売れずに残ってしまった単行本には割高感がつきまとってデッドストック化してしまう。それでも許せるような愛おしい単行本だけは仕入れましょう。
第三に、では利益率の低い文庫をどうするか? 古本市場でやがては100円で手に入るような文庫は? 諸事情を考えれば「文庫はなし」にするのが良策ですが、やはりここにも例外を設けて、愛蔵本クラスの文庫は仕入れましょう。自分もそうですが、「文庫になったら買う」というニーズは無視できません。
 
本選び。やはり、これは書店にとっての大問題でした。
 
 
 
 

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