私のレタスドッグは146番だったのにな
昨日は仕事を終えて、家に向かったがどうにもお腹がすいて、ドトールに入った。
私はコーヒーチェーン店の中でドトールが一番好きだ。コーヒーの味が慣れ親しんだ雰囲気で、日替わりのコーヒーは時々、おっと思うぐらい美味しい時がある。
店内の雰囲気もキメキメ過ぎなくて、適度にありきたりなのもしっくりくる。
なんと言ってもフードが美味しい。ただのパンなのに小麦の味がふわっとして、外はパリッと中はもっちりしてて好きだ。なので、レタスドッグをよく頼む。
私はソーセージが好きなので、レストランで出てきたソーセージが美味しかったら、店員さんに質問して商品名を教えてもらってお取り寄せするくらい好きだ。市販のものならシャウエッセンが好きだ。ドトールのホットドッグ系に使われているソーセージはめちゃくちゃ好みだ。香ばしく、風味が豊かでジューシーだ。パンの甘みや食感ともちょうどよく一体化している。マスタードの味もパンとソーセージの旨味とマッチしていて完璧だと思う。
期待に胸膨らませながら、レジでレタスドッグを注文し、146番のレシートを受け取り席に着く。
しかし、ここで事件が起きた。
「146番のレタスドッグのお客様!」店員が口に出したのとほぼ同時にサラリーマンの男性がレタスドッグを持ち去って行ったではないか。
あれ?
私、146番だったよね。
間違い無いよね?手元のレシートを見る。
店の奥に目をやるとさっきのサラリーマンがレタスドッグにかぶりついている。
可哀想な私のレタスドッグよ。
見知らぬリーマンにかっさらわれてしまったね。
と、悲しくなったが、ちょっと考え方を変えてみる事にした。
彼は昨日の夜から空腹だった。仕事が忙しすぎて深夜近い時間に帰宅して、夕飯も食べずに寝てしまった。疲れが溜まっていたのか、朝は寝坊して遅刻ギリギリで出社。当然に朝食を食べる暇もない。出社すると、会社ではトラブルが待ち構えていた。トラブルの処理に追われる彼、流石にお腹が空いてきた。課長の顔が唐揚げに見えてくる。次長の顔は餃子に見える。ランチをとる暇もないまま、書類作成に追われる彼。ようやく取引先への謝罪も終わり。空腹でフラフラしながら道を歩く。赤信号はハンバーグに、黄色信号はメンチカツに、青信号はメロンアイスに見えてきた。するとそこに、黄色い屋根のドトールが見えた。彼は一目散に店に吸い込まれる。給料前なので、お腹は空いているがリーズナブルなレタスドッグを注文する。もう、お腹の空いた野犬のように空腹と戦う彼。目の前に出来上がったレタスドッグが現れた。周りの声は聞こえない。ようやく手に入れたご馳走にかぶりつく彼。
と、想像した。
すると、ま、それならしょうがないか。と思った。
最近は無駄なストレスを感じなくする方法を色々と試している。ポジティブ妄想はなかなか有効そうだ。そんなことを考えながら、ようやく手元にきたレタスドッグを静かに味わった。コーヒーをひと口。やっぱ、これなんだよなと私の心の中は穏やかになった。(おわり)
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