【モノローグエッセイ】涙腺ゆるゆる年末年始。後編
☆走る走る君達と、流れる汗と涙もそのままに
大磯での日々もあっという間に過ぎて、帰る日となった。
「絶対また来るから…!!」
と言わんばかりに朝サウナを最後に堪能し、
ぽかぽかの体でパッキングを済ませた。
準備を整え、家族揃ってホテルの部屋を後にすると、
廊下ですれ違うハウスキーパーの方々に
「ありがとうございました〜!」と挨拶をしながら、
エレベーターを降りた。
ホテルから徒歩数分の
駅までのバス乗り場まで歩いていくと
何やら人だかりが出来ていた。
道路には白バイが多く走っており、
スタッフと思しき目立つ色の服を着た人が
何人か散り散りになって立っていた。
そのスタッフの方の服に書いてある文字を見て
私は状況を把握した。
そう、
ちょうど宿泊先の近くが
あの箱根駅伝の走行ルートだったのである。
「もうまもなく選手が通過します。」
私達が乗る予定のバスと
同じ道路を走っていた専用車のスピーカーから
そんなアナウンスが流れだした。
偶然にも乗る予定のバスが来る前に
箱根駅伝の走る選手達に居合わせたのである。
そしてこの後、Tick,Tick,,,BOOM!や海を見た時よりも
大号泣することになるとはこの時の私は思いもしなかった。
箱根駅伝を生で見るのは小学生ぶりだった。
上空にはバリバリバリと音を立てたヘリコプターが見え
もうすぐ選手が通過することを予期させた。
すると私がいた場所よりも奥の方(選手が走ってくる方)から
パラパラと拍手の音が近づいてきた。
先頭の選手が走ってきたのである。
選手が近づくにつれ、私の周りでも多くの拍手が起こった。
まるで、聖者の行進を思わせるような光景で、
拍手の音は走る選手と共に続いていった。
先頭の選手が通過するのを皮切りに
続々と他の選手も走ってきた。
生で見て初めて気がついたのは、
選手が走るすぐ後ろには、
監督と駅伝チームが乗った車が着いてきていることだ。
そして、
走る選手の後ろに車で着いてきている監督が
ずーっとスピーカー越しに
選手に激励の言葉を送り続けていた。
「いいよいいよ、そうそう、前見て、前前前前、そう、いいぞ、この1年間ね、苦しいこともあったけれども、よく頑張ってきたな、これが第一歩だからな、お前の大学四年間の生活の第一歩だぞ、いいぞ」
「負けるわけないでしょお前は、自信持ってこ自信、いい位置戻ってきたからね、そうそう、いい?二人で、二人で行くよ、○○さん(並走していた他大学の選手)と二人で追いかけていこう。いいよいいよ、二人ともいい位置に戻ってきた、問題ない、こっから怖がらないでよ、いい?上り下り怖がらない、最後もう5キロしかないからね、君たちの箱根駅伝もあと5キロだ、しっかり、ね、いい結果出して、次に繋げるよ」
監督の本当に温かい言葉たちを
私はぼろっぼろに泣いていた。
一緒に見ていた家族に「えっ?!」ってひかれるほど
顔をぐしゃぐしゃにしながら駅伝を見ていた。
選手と監督以外にも
選手のすぐ後ろをバイクに跨りながら実況中継をしている
テレビリポーターの方の姿もアツかった。
生で見る箱根駅伝は
テレビでは見ることの出来ない場面ばかりだった。
全ての選手が通過し終わると
バスがすぐに来て足早に乗った。
駅までのバスに揺られながら、ティッシュで鼻をかみ、
顔と心を落ち着かせた。
頑張っている人の姿は
人の心をこんなにも動かすのだなと実感した。
私も頑張らなくては。
何かと涙腺がゆるゆるな
2021年末
2022年始
だった。
でも、全て気持ちのよい涙で、いい涙活になった。
おしまい
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