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スマートホームのその先へ。

先週、うちの主力商品である、スマートリモコンNature Remo発売以来のメジャーアップデートとなる新製品Nature Remo 3を発表した。

発表直後から、TechCrunchギズモードCNET家電Watch、電気新聞等々の、たくさんのメディアにとりあげていただき、早速、多くの方から予約注文をいただいた。本当にありがたい。

また、同日、昨年末に発売したエネマネデバイスNature Remo Eシリーズ(Nature Remo EとNature Remo E lite)とNature Remoシリーズ(Nature RemoとNature Remo mini)の連携機能も公開した。

これは、IoTプロダクトを起点に電力革命を仕掛けること目指すNatureとして、主力製品のNature Remoがその一端を担えるようになったという非常に大きな一歩だった。

今回は、新製品の発売に到るまでの話とNatureとしてこれから目指す今後の展開について書きたいと思う。

3年かけて「Nature Remo 3」を発表。

Nature Remoは、2017年10月に発売して以来、今回が初めての大きなアップデートになる。

前回の2018年12月に発売したNature Remo 2は、筐体の形状は若干変わっているものの、初代Nature Remoの無駄な部分を削ぎ落としたマイナーなアップデートだった。

今回のNature Remo 3は、Nature Remo発売から3年弱もかかって満を持しての発表だった。

IoTデバイスは、ハードウェアの顔をしているが中身はほとんどソフトウェアだ。だから、発売は終わりではなく、実はそこが始まりなのだ。Nature Remoでも、発売以来数々のアップデートを繰り返して、いろんな機能をユーザーの皆さんにお届けしてきた。搭載している各種センサーを活用したオートメーション機能やスマートスピーカーとの連携など、発売当時は実装できていなかったものをソフトウェアのアップデートで実現してきた。

僕たちは、ユーザーの声を開発に反映させるために、SNSで製品の関連キーワードを含む投稿や、購入者のReview、アプリのReviewをシステムで自動的に拾って、社内の専用のSlackチャンネルに流している。また、定期的にユーザーの自宅を訪問したり、アンケートも実施してきたし、アプリのベータテストにも数百人のユーザーに参加してもらっている。

僕自身も、Slackチャンネルができるまでは、1日に何度もエゴサーチをして、ユーザーの生の声を聞くようにしていたし、これまで何十件ものユーザーの家に足を運んできた。

今回のNature Remo 3の開発においては、発表前の約1ヶ月の間に、50名弱のユーザーにモニターとしてNature Remo 3を実際に使ってもらい、毎週コメントをいただいては改善するというサイクルを繰り返した。協力いただいたユーザーの方には頭が上がらない思いだ。

だから、僕たちのチームは誰よりも、ユーザーの声に耳を傾けていると自負している。

そうして生まれた、今回のNature Remo 3は、これまでできなかったもので、ハードウェアの制約があったものを解決した製品だ(もちろん、コスト面の課題もあり、実現できていないものもある)。ソフトウェアは、これからもまだまだ改善ができるので、どんどんアップデートで便利にしていきたい。

今回のNature Remo 3の目玉は、①「Bluetooth Low Energy(BLE)を搭載したことで設定がさらに簡単になり、BLE機器との連携も可能になった」、②「センサーの精度が向上した」ことだ。

Nature RemoのReviewを見ても、設定がスムーズにできるかどうかが、評価の大きな分かれ目になっていた。そこでいちばんの課題はWiFi設定だった。そのWiFi設定がBLEを搭載することで随分と簡単になった。

また、BLEを搭載することでめざましカーテン「モーニンプラス」との連携が可能になった(注意:現段階で、BLE機器全てとの連携をサポートしているわけではない)。これまで、同製品では、ハブデバイスがないために、要望の多かったスマートスピーカーとの連携ができていなかった。

今回、Nature Remo 3と連携できるようになったことで、スマートスピーカーから声でモーニンプラス(すなわちカーテン)の操作が可能になる。更には、Nature Remo 3のオートメーション機能を使って、「暗くなったらカーテンを締める」と言う自動化も可能だ。今後、モーニンプラスのようなBLE連携機器はどんどん増やしていきたい。

Nature Remoに搭載しているような環境センサーは、簡単なようで、アナログの世界とデジタルの世界をブリッジするデバイスにおいては、とても繊細だ。ただ、これもセンサーによって難易度が全く異なる。温度センサーは扱いが比較的容易だが、湿度センサーは繊細だ。Natureでも、創業当初に湿度センサーの問題が発覚した苦い経験がある。

湿度センサー以外に人感センサーも難易度が高い。人感センサーはその名の通り、人の動きを感知するセンサーで、玄関やトイレの照明などで広く使われている。

Nature Remoでは第一世代から、この人感センサーを搭載しており、"人感センサーに30分反応がなかった"という機能までは実現できていた。しかし、"人感センサーが反応した"というイベントを即座に取って、家電を制御するというところまではできなかった。

今回は要望の多かったこの機能を実現するために、人感センサーのテストを何度も実行し、メンバー全員が自宅で使い倒してセンサーを調整して、満を持してのリリースになる。人感センサーだけでなく、Nature Remoで課題に感じていた他のセンサーの精度も今回は一段引き上げての発売になった。

ぜひ、簡単になった設定や進化したオートメーション機能を体験して欲しい。

声で操作の次の世界「オートメーション」。

昨今のIoT市場は、スマートスピーカーがそれを牽引することで、世界的には大きな広がりを見せている。

スマートフォンでの家電操作が2010年代頃から出始めて、スマートスピーカーはその先の体験、「手ぶらで、声だけで操作できること」を提供することで大きな感動を呼んだ。特に、声で家電を操作するという体験は、一度使うと抜け出せなくなるほど便利なもので、僕自身もこの3年間、エアコンと照明は声でしか操作していない。

ただ、人間というのは怠惰な生き物で、最初は声で操作ができることに感動していたのだが、毎日声を出しているとそれすら面倒になる。声で操作できるといういうのは、リモコンを探して操作したり、携帯からスマホを取り出して操作することと比較すると圧倒的に簡単なのに、だ。

じゃあ、その先に何があるのか?

それは「自分が何をしたいか察してくれ」という以心伝心だと思う。言い換えると、人と機械の阿吽の呼吸とでも呼べようか。例えば、エアコンや電気のような家電は、快適に生活をするために使うもので、それを利用することに特段のエンターテイメント性はない。なので、機械が自分の意図を「察して」操作してくれれば、それが最高のユーザー体験になる場合が多い。

ここで難しいのは、どこまで正確に「察してくれる」か、だ。

もし、その「察し」が勘違いだったりすると、むしろ迷惑だし、使いたくなくなる。本来であれば、機械が自分の意図を完璧に察して操作してくれるのが理想的なのだが、今の技術ではそこまでのインテリジェンスの実装は難しい。

一方で、機械にパターンを教えることで、現実的に便利に使うことはできる。その世界を追求して実現しているのが、Nature Remoの「オートメーション機能」だ。

「部屋が暗くなったら」「人が部屋に入ったら(胴体を検知したら)」「暑くなったら」「部屋が湿っぽくなったら」などのセンサーから取れるデータを使って、家電を自動で動かせるようにしたのが「オートメーション」機能だ。センサー以外にも、GPSやタイマーを使った「オートメーション」の設定も可能だ。

ここから、いかにして「察しの良い機械」に進化していくのかというのは、トライ&エラーを重ねて色々と試行錯誤していきたい。

スマートホームのその先へ。

Natureでは、創業以来、IoTプロダクトから電力革命を仕掛けることをビジョンに製品開発を行なっている。

IoTプロダクトがなぜ電力革命のきっかけになるか?

それは、太陽光パネルと電気自動車の普及により、今後電力の業界構造が激変し、大手電力会社に代わり、マイクログリッドオペレーターが一般家庭の安定供給を担う主役になる時代が来ようとしているからだ。

具体的にイメージしやすいように、100世帯しかな住んでない島を想像して欲しい。

今までのやり方では、電力会社が100世帯の人に電気を供給するために大きな発電所をたてて(注意:話をわかりやすくするために簡略化している)、発電所で作られた電気を、各家庭に届けるための送配電網を通じて供給していた。

それが、100世帯全てが、住宅の屋根に太陽光パネルを設置しており、電気自動車を持っていると、電気は日中に太陽光で発電して、それを電気自動車にためて、夜間使ったり、足りない時は島の人と互いに融通し合うことが可能になり、同時にそれを実現するための仕組みが必要になる。

そこで重要なのは、誰がどのくらい電気を作り・使い・蓄えているかというリアルタイムの情報と、その情報を元に機器を制御する仕組みだ。その制御こそがまさにマイクログリッドオペレーターの仕事であり、それを実現するためには、各家庭にインターネットにつながった機器が必要なのだ。

そう、まさにIoT機器がそれにあたり、Nature Remoは、その実現のためのIoT機器とオープンなプラットフォームをサービスとして提供することを見据えて開発されている。

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Natureでは、これまで「ホームオートメーション」に特化した、Nature Remoシリーズと、「エネルギーマネージメント」に特化したNature Remo Eシリーズを開発・販売してきたが、今回、Nature Remo EとNature Remoの連携機能をリリースした。これによって、独立していたプロダクト軍が、「IoTプロダクトで電力革命を目指す」というNatureのビジョンに向けてつながったのだ。

今はまだ、現在の電力消費量をトリガーにした家電制御に限定されているが、これからどんどん便利な連携機能をリリースしていきたい。

「自然との共生をテクノロジーでドライブする」(2021年11月より「自然との共生をドライブする」に変更)

今回、僕らが掲げるミッションを実現するための新たな一歩を踏み出すことができた。

しかし、こうしている間にも気温上昇や洪水被害など、気候危機は刻一刻と私たちの生活に迫っている。一人ひとりの電気の使い方が少し変わるだけでも、不要な化石燃料の利用を抑制し、気候危機回避に貢献することができる。

今回の取り組みにとどまらず、これからスマートホームのその先にある再生可能エネルギーへのシフトによる電力革命を牽引すべく奮闘したい。

PS. Natureでは、現在、新製品の開発メンバーを募集中!ご興味ある方は、ぜひ気軽にご連絡ください!


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