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『バンオウ-盤王-』第64話「挑戦」感想 AIの想像を超える限界のその先へ挑め!!一方お兄ちゃんは迷子になっていた


◆完結まで残り5話

5月10日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第64話が配信された。

さて先週5月3日(金)配信された完結直前記念対談にて、完結まで残り5話と告知された。今週更新分含めて残り5話である。つまるところ全68話の構成。
残り数話なのは以前の感想でも予想していたのだが、いざ公式で告知されるとマジで終わるのかあ…という喪失感に浸れる。同じ金曜配信の『スケルトンダブル』も残り数話とカウントダウンされていたが、短期でも長期でもない連載でもこういう猶予を与えられるのはいいことだ。
しかし残り5話まで本当に描き切れるのだろうか?後日談は単行本描き下ろしではないのか?と思わせて、最終回超大増40ページなんてケースも想定できる。いやそれは個人的な勝手な期待なんだけど、良いじゃん期待させてくれるのって。

ところで対談で川島さんが言及されていたバンオウ=バンパイアの王という発想はぼくの中でありそでなかった。たぶん、月山さんに「吸血鬼の王」ってイメージがないからなんだと思う。外見は気さくな兄ちゃんで王の要素なんてないもんな。そもそも将棋教室を救うスケールの小ささが当初の目的だったからな。
お兄ちゃんが「元ェ!!お前は盤上の王にしてバンパイアの王!!そうだ『バンオウ』になれ!!」ってシャウトしそうな絵面は余裕で脳内生成されたけど。

◆急げ!奔れ!

これが主人公を助けるお兄ちゃんの姿…なのか!?
『ダンダダン』に友情出演してもおかしくないくらい疾風怒濤のなにかとして、電車を追い越すくらいのスピードで急ぐお兄ちゃんどう見ても妖怪そのものだよ!元より吸血鬼だからこんだけ鬼やべえスペック放っているのは分かってたけど、予想以上のヤバさだったよ!
電車に乗っている貴婦人はSNSでお兄ちゃんの写真を投稿している可能性が高そうだし、お兄ちゃんが新堂竜王の素顔以上にツチノコ扱いされるヴィジョンしか見えなくなってきた。

そんなラディガル・グッドスピード出せるなら最初からタクシーに乗らなくてもいいのでは…と最初は思ったが、お兄ちゃんはこれまで同様人間たちに紛れて生き続けるつもりだったのだろう。だがあまりにも間に合わなくなったのなら、自分がどうなろうがリスクを冒してまで友人を助けに行くのだと考えるとぶ熱いじゃねえか。やっていることは一見ギャグだけど、アツい自己犠牲展開ですよ。大方まじめにそう捉えたいですよ。

で、迷子になってました役に立たねえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!1111111111111111111111111111111111111111

これはこれで爆笑したし、恐らく前フリとして次回以降機能させてくるのだろうと考えられる。これ以上ないくらいガチに月山さんが追い詰められて作中へ没頭している最中、ボロボロのお兄ちゃんがやってくるのだろう。それはそれでコイツ何しに来たの?って感じでしかないけど。

◆AIと人間の違い

今週地味に興味深いシーン。AIは人間より強くなりすぎたが心理戦までは再現できない。別に心理戦はあって当然とは言わない。が、勝負そのものの面白さを加味させる刺激としてもちろんあったほうがいい。そのうちAI棋士も人間のように感情を獲得していくのかもしれないが、それでも真の人間になり得るのだろうか…
バンオウ2があったらラスボスがAIになるのかなあ。

和島さんホンマヒロインなんやなあって…!
今回素敵なのはAIそのものを否定せず、対人という原点ならではの魅力の再認識に至らせることだった。当たり前を超えた当たり前かもしれないが、本作は数百年生き続けてきた月山さんの存在がデカすぎるからなあ。それが説得力となり、数百年培ってきた将棋の魅力は不朽だと訴えてくれるわけだ。

ていうかですよ!
みんなからひっそりと月山さんを人間扱いされているのがなにより嬉しいわけですよ!いや観戦者からすれば別に普通だろ、人間じゃないなら何よ将棋の惑星の将棋星人かよとツッコめられそうですけど、読者のぼくからすれば月山さんが救われてほんと感無量なわけですよ!吸血鬼バレしてもハッピーハッピーエンド目指せるやんケ!バッドエンドシバクヤンケ!ウオオオ人間最高!!人間最高!!

ああうん…
真相を知っているアンナさんが他の人々の熱気に加えられないのはちょっと切ない。しかもこの後月山さんがガメラみたいに進化しているのが見えていた謎シーンがありましたからね。アンナさんの考える吸血鬼っていったいなんなんだ。

◆しっかりしてくれAI先生

新堂竜王のゲージが52%から72%へ一気に急上昇。ううんどういうことだ。AIすべてに囚われるべきではないとはいえ、AI先生の判断を鈍らせるなにかがあったのではという根拠になっている気がする。

町野四段めっちゃプレッシャーやばそう。
今週初登場のコマなんか明らか目が死んでいたもんな!でも逆に考えるんだ。これまで地味だった彼がこの最終決戦解説で一気に華を咲かせて評価爆上げなダークホース枠だと考えるんだ。謙虚なキャラしているから終戦後は名解説できたのかどうか、夢なのか現実なのか判断に困っていそうな気もするけど。

だからAIに囚われるんじゃあない!!と言いたいが、流石のぼくでも危機感が迫られる。やっぱり数の脅威って頭から離れないものだからなあ。「ハハッ、そんなわけねえっしょ」と軽く流せるのは寧ろ酷だろう。

天草先生それは本当か!?本当に本当なのか!?

たぶん多くの読者が共感したであろうシーン。
ゲージが上がったと思ったら今度は下がったりとこちらを焦らしてくれるの勘弁してくれよってなるよね!ぶっちゃけ数自体はその気になれば上下できるのでシチュ的なツールだと思っているのだが、こういうツッコミがあるおかげで大分読んでて気持ちが変わるな。

◆限界を超えろ

AIですら観測が困難。
だから、ゲージが上下する必要があったんですね。たぶん中の人は「あれこれ竜王が有利でいいのかな…?いや違う…?ううんどういうことだ」と困惑していたのだろう。「もはや人間じゃねえぞ!!」というリアクションに「正解」と後方理解者ツラしてるアンナさんはふざけているのかどうかも観測が困難なんだが。たぶん、良いことだと思いたい。

一気に盛り上がってまいりました。
迷子のお兄ちゃん、町野四段名解説フラグ、AIを超えた人間同士の心理戦。もう十分役者をそろえてきた実感ありますよ!お兄ちゃんはまだ到着していないけど!

残り4話。正直来週で決着を迎えてもおかしくないくらいの熱量である。


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