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『勉タメジャンプ 2023 SPRING』感想

4月1日(土)に発売された勉タメジャンプを買った。

上記ツイートの通り、ジャンプ編集部が学習まんが誌を作ってみたというコンセプトだ。学校の図書室で見かけた人も少なくないだろう、「まんがでわかる〇〇」のソレに極めて近い。告知ページからかなりガチなつくりのようだし、結構興味深かったので即購入。
まあ一番楽しみかつ目当てだったのは、漫画本編よりもおもしれー漫画家・長谷川先生のYouTube教室なのだが。出オチみたいな笑いが出るしかなかった。

なお今回買ったのはKindle版。紙版は紙質とかどうなっているのか地味に気になっている。
フルカラーで約180ページ。ジャンプコミックスと同じくらいのサイズだな。これで880円(電子だと836円だった)は流石にお高いのは否めないが、漫画だけでなく読み物のページも読みごたえがあるので割とオススメ。好きな作家がひとりでもいたら、氏が描く新たな漫画表現を刮目できるだろう。

人体レスキュー探検隊 -VISCERIS VOYAGE-

『Dr.STONE』のBoichi先生完全新作。
初回35ページ。フルカラー。恐らく塗りは委託と考えられる。カラー版ジャンプコミックスは大抵こういった塗りなので。Boichi先生はもっと厚みのある塗り方なので。

表題通り体内冒険なのだが、いの一番に連想させられた第一印象が「Boichi先生がガチでコロコロコミックに連載したらこうなる」だった。集英社的には最強ジャンプだろうが、開幕ウンチなのでコロコロ。そういえばDr.STONEもおしっこが科学に欠かせないアイテムのひとつでもあったな。
ものすごくどうでもいいようで地味に重要なのが、「うんこ」ではなく「ウンチ」という表現がコロコロらしい。そこはBoichi先生分かっているなあと思う。あくまでぼくの持論なので異論は認めます。

というわけでガチコロコロ系の作風にシフトされているので、そのへんちょっと抵抗がある人はいるかもしれない。ぼくも最初は「うう~ん…?」と慣れなさがあった。が、Boichi先生の新たな引出しが見られたのは非常に興味深かった。
『サンケンロック』『ORIGIN』は青年誌らしい濃い作画。『Dr.STONE』は少年漫画らしい、過去作よりもとっつきやすい作画。そして本作は、ディフォルメ作画や体内に住むありとあらゆるゆるキャラ化で児童誌らしい作画。Boichi先生は日々漫画に挑戦し続けているのだろうし、本作の作画も大変楽しかったに違いない。

ところで銀河王子、どう見ても龍水くんだよね?

セベクちゃんは噛みつきたい

『べるぜバブ』の田村隆平先生最新作。実は田村先生は今月からサンデーGXでも新連載が始まるのだが、ジャンプ専属契約はもうゆるくなったのだろうか。

ハッキリ言って一番面白かった。
何故かというと、漫画らしいエンタメと本題のピラミッドのバランスが絶妙だった。もっと言うならば、田村先生の漫画らしく軽快なギャグのおかげで軽い気持ちで読めたのはとんだ嬉しい誤算だった。
田村先生の漫画は良くも悪くもファーストフード的な読み味があって、別に考察要素なんて特にないし、何度も読み返したいほどではないのだが、どことなくジワるギャグがぼくは好き。無論、本作もそれが発揮されている。

導入も良かった。
スカイツリーの高さが634mで武蔵(634)から来ている豆からピラミッドの話に移るのはちょっと変だが別に不自然なものではない。また、セベクについてやけに詳しく解説しているヒロインの横溝さんをギャグにするのが絶妙だった。学習まんがらしいノリだけど、そう硬くならない、肩の力を抜いた作風になっている。つーか確実に進研ゼミの変なノリのおもしれー漫画を意識してると思う。

いちおうエジプトへ向かう後半からちょっとまじめなノリになるし(でも入場規制で笑わせてくれる)、カラーで描かれる大回廊の迫力がすごかった。田村先生はアクションシーンはあまり上手くないのだが、こういうのは意外と上手いんだよなあ。
そして、ラストのヒキが良かった。いちおう連載モノなので、ちゃんと続きが気になるものになっている。まあ季刊なのでその熱が夏まで持つかどうかは分からないが…

ぼくたちぜんぜん怖くない竜

『れっつ!ハイキュー!?』『現存!古代生物史パッキー』のレツ先生最新作。デビュー作からもう恐竜好きなので、それが本作でも忌憚なく発揮されている。

…けど、感想書きづらいなこれ!
4コマ形式なのもあるんだけど、ちょっとネタを拾うのがむつかしい。かわいさとブラックさの両立はよく出来ているし、田村先生同様ジワるネタが多い。一番かわいいのはシマエナガ教官ですね。ゴルカムにも出てきたヤツ。

ナゾトキ博士のヒラメキ遺跡探検記

『レッドフード』の川口勇貴先生がイラストを手掛ける小説。
学習まんが誌なので、活字も取り入れるのはバラエティ豊かでいいのではないだろうか。他誌でもチャンピオンのバキ外伝ゆうえんちやコミックアライブのリゼロがあるが。

7ページの短編に謎解きがあり、それを解くことで台詞が埋まるというもの。結構わかりやすい謎なので難易度は低めだが、面白い謎解きを作るなあと感心した。活字とはいえ、こちらも肩の力を抜いて楽しめる。

絶対作れる!YouTube教室潜入記

デジタルが超苦手な長谷川先生がデジタルを克服して描いたデジタル漫画。もう完全に「長谷川智広のデジタル作画奮闘記」の続編だろこれ。

期待通り長谷川先生がダメ人間すぎてめちゃくちゃ面白かった。
自分で自分を自虐ネタにするというのもなかなかのリストカットプレイなのだが、いちおうまあ、はじめてのYouTube教室なのだからはじめはド素人でもおかしくない。デジタル作画奮闘記も序盤は詰みを覚悟したくなるほどヤバかったのに、デジタルの上達が本作でも最大限に発揮されていて謎の感動を覚えたほどだったから、きっとYouTubeもイケる…はずだ。
というか、長谷川先生はスマブラ廃人で知られるんだからプレイアドバイスのガチ動画でも作ればイケるんじゃねえかな。

内容自体は長谷川先生32さい無職というノイズな自虐ネタが多いが、ちゃんとマトモにYouTube動画について知っておくべき内容が描かれている。なんだかんだでこのへん長谷川先生はまじめにやっているんだろう。誰かの監修が入ってる可能性もなくはないだろうが。

あとYouTuberのおねーさんがかわいい。
10年前どうしようもなくヘタクソなニセコイヒロインを描いていたのが嘘に見えるくらいに。

ワコ・チャコ・ヨーコのふわレシピ

『ぼくたちは勉強ができない』の筒井大志先生最新読切。
本誌唯一の読切枠なのだが、これもう連載してもいいのでは?家庭科枠としてネタはバンバン出せるのでは?好評につき再登場のケースもなくはないだろうし、そも本誌そのものが実験的なものかもしれないが。

筒井先生なので女の子はもれなくかわいい。そして思った以上にメシテロ漫画だった。特にふんわりマシュマロトーストがおいしそうだった。これらの料理って筒井先生が考案したのだろうか?特に監修は入っていないみたいだし。たぶん奥さんの協力も入っていると思う。

犬えいご!!

『ハイキュー!!』の古舘春一先生最新作。
犬と英語の悪魔合体って一体どういうことなんだ??と一番フックがでかかったのだが、成程こうきたかあ~~!!

めっちゃかわいいんだけど、めっちゃシュールだった。
昔「学校へ行こう!」という番組で全然ラップしてるやつがいないラップコーナーがあったのだが、その中に外人ラッパー(?)がシュールな日本語紙芝居コントをやっていたのを何故か思い出した。特に「尻を撫でてください。」「ボールにきょうみのない犬。」が謎にシュールすぎる。

いやあでもめっちゃかわいいなこのわんこ。
古舘先生は最近デジタル塗りに変えたそうで、本作でもそれが用いられているのだが、温かみのある塗りになっていてとても魅力的だった。
本誌のトリを務めるにふさわしい枠だと思う。でも6ページは流石に少なすぎるよ!もっと読みたいよ!

***

漫画本編の前後には解説図解や特集が載っている。単純に読み物としても面白いし、本編への理解を深めるのにもうってつけのものとなっている。

漫画本編に関係ない企画ページとして、「くられ先生に尋ねる『宇宙人って本当にいるの!?』」「神田川をさかのぼってみよう」「街角お仕事図鑑」というものがある。ノリとしては完全に小学n年生のソレ。

次号は7月中旬発売予定。夏なので自由研究がテーマになるそうだ。オススメの博物館特集とかあるといいかもしれない。去年Dr.STONEとのコラボをやっていた国立科学博物館は楽しかったなあ。あれは良い思い出になった。


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