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『せがれいじり』発売25周年!四半世紀経った現在、ついに人類に理解できるのか?【ゲーム紹介】


◆せがれいじり

せがれいじり』というゲームがある。

1999年6月3日に初代プレステで発売されたゲームだ。発売元はエニックス(現スクウェア・エニックス)

ドラクエやスターオーシャンで知られるエニックスは『鈴木爆発』『ギガンティック ドライブ』といったバカゲー、『ロリータ・シンドローム』といったエロゲも出していたので、時々パルプンテみたいな歴史を刻んでいるから油断できない。
……まあ、SQUAREもRacing Poem RPGとして知られる『Racing Lagoon』……それをはじめとするバカゲーを出していたから運命共同体なのさ……

現在も放送中の『おはスタ』にて『ハコいりせがれ』というCGアニメが放送されていたのが本作を知るきっかけだった。
所謂タイアップ番組とのことで、エロゲの移植がギャルゲーアニメとして地上波放送して宣伝するようなものである。元よりむすめさんとラブラブになるのが最終目的だし、コギャルが登場してくるし、本作『せがれいじり』もギャルゲーなのは間違いない。

むすめさん
コギャル
おんなのこ(1)
おんなのこ(2)

◆Q.どんなゲームなの? A.くだらないの

バカゲーと断言すれば分かりやすいし片が付く。
が、ただのバカゲーではない。唯一無二の作風すぎて、むかしむかしとおいみらいの早すぎたゲームである。

ゲーム内容はセケンという本作の独特すぎる世界観を駆け巡り、モノを調べてママ(キリン)の首を伸ばす。新たな乗り物をゲッツして行動範囲を増やしていき、やがてむすめさんと結ばれることになる…

◆せがれをいじるのに何故ママが大きく…?
ツッコミ所はうんこがモリモリ出るほど多いだろうし、まず説明が頭に入ってこなくても全然いい。頭に入ってこなかったら申し訳ない。あれ?なんでぼくが謝っているんだ?とりあえずこのノイズは一度ケツを拭いてサッと流してほしい。
本作のウリとなるのはさくぶんシステムだ。たとえばこのように

これはあくまで一例なのだが、3×3=9通りのムービーが用意される。マジでムービーとして実現化される。
ムービーと言いつつも一部はシュールなかんたんアニメでもあるし、はたまた紙芝居だったりするのだが、全く手抜きではない。寧ろかなり作り込まれている。内容によっては当たりはずれもあるとはいえ、実に200種類以上のおバカな映像がプレイヤーをおバカへ引きずり込んでくる。

ぶっちゃけこればかりは言語化するのも大変なので、実際にプレイ動画を見るのが一番手っ取り早いと思う。無量空処体験すぎてバカになっても知らない。

因みに一番大好きなのは「りょうり」から誕生する「あじのひらき」です。酸欠になるほど爆笑した。500億再生した。

◆子供と大人、二度楽しめるコンセプト

まずタイトルが下ネタ。せがれいじり(意味深)

もちろん最初はそんなことは全然気付かなかった。
主人公・せがれをプレイヤーが直接いじることなのだろう、そのままの意味なのだろうと直接受け取っていた。これのいったいなにがおかしいのだろうか。そりゃあそうだ、まだまだコロコロキッズのぼくはエロエロなことには流石に興味は持っていなかったし、ポケモンのことばかり年中考えていた。
真の意味に気づいたのは確か中学生だったか高校生になってからだったか、記憶が曖昧なのだが、例によってネットで知ったのだろう。勿論ショックを受けたし、最初はなにかの冗談じゃないかと思った。子供には分からないブラックネタだったなんて…

だけどこういう隠語って面白いんだよなあ。
誕プレとして母親に買ってもらったのだが(『サルゲッチュ』とどちらにしようか悩んでいた)、当時は母親からは何も言われていなかった。だけど今となってはこんなゲームを買わせていいのだろうかと疑問に思っていたのかもしれない。そこに察することができるのがなんとも面白い。
だからといって申し訳なさは不思議となかったのは笑い話にできる程度の下ネタなんだろう。元より当時コロコロキッズだったぼくの趣向は分かっているはずだから。あとコロコロキッズはうんことちんちんが大好きだからな。

そういうわけでタイトルだけで十分語り草なのがもう面白い。

更に、秋元きつね氏によるこちらの解説を見ると興味深い。2010年にアップされたものらしい?

ゲーム冒頭のムービーでは「せがれはサナギなのでやじるしです」という意味が分からない台詞が出てくる。これに対して「えっ?なんで?」という当然のツッコミ。それに対し「いいの!」とツッコミを一掃してくれる。
本作は何周も遊びまくったので、そのたびに「いやほんとなんでさなぎやねん」と疑問がせがれの如く膨張するばかりだった。それで秋元きつね氏の解説によると、

せがれという矢印頭の主人公が居ます。彼は「さなぎ」です。 さなぎとは幼虫から成虫となる過程ですね。せがれは、まだセケン(世間)の事を何も知りません。見るモノ見るモノすべてが「はじめて!」

「いいの!」とツッコミを一掃して大正解だな、これ。
だってわざわざ作中で説明すると、なんか冷めちゃうじゃないですか。余計な野暮じゃないですか。つーか当時にこんな解説をされても理解しがたいものだったと思うし、「矢印=さなぎ」の時点でイミフギャグとしてもう面白い。意味を知れば真剣に面白い二段構えだ。

こんな矢印ヘッドの男の子のママがキリンなのも本当に謎すぎて、ゲームクリアーを目指すにはあらゆるモノをチェックするとママの首が伸びる。何を言っているのかわからねーとは思うがぼくも伝わっている自信はないのでその通りとしか言いようがない。

その実、ママが首を長くして成長を待っているということだった。いや名は体を表しまくってんじゃねーか!物理的じゃねーか!とツッコみたいけど、そういうことだったのか…と腑に落ちつつ謎の感動を覚えていた。いや100%納得した理論じゃないけど、長年の謎が解明されたカタルシスなのは間違いない。

◆斬新な取説

取扱説明書が冊子ではなく折り畳みの紙だったのが当時衝撃だった。

ジャケットは二つ折りでそこに紙が挟まれている、という変な仕様。それでも最低限の操作方法は記載されている。そもそもゲーム本編でも「いじりかたはたったのふたつ」と超簡単なチュートリアルムービーが流れている。ちょろいネ!
ちなみに裏面は有用性の高いセケンマップ(ワールドマップ)になっている。もっと言うならば、この仕様だからこそやれる仕様になっているのだ。「ここにこのオキモノがあるぞ!」と直接マップにメモっていたなあ。

大体こんな感じのゲームだろうか。
あーっ何言ってるかわかんねぇよ」と言われても承知の上である。ぼくだってこのゲームを100%すべて理解したわけではない。今でも未来にイキすぎたゲームだと思う。
だがこうしてプレイ動画を見返していると、四半世紀経って大人になった今でも笑い飛ばせられる時代を感じさせないバカゲーなのは間違いない。CGムービーに全然古臭さがないんだよな。完成度高いし。なにかの間違いでプレステ5でリメイク化したらどうなるか見てみたくなるけど。

初代プレステなのでレトロゲー故に現在は入手しづらいだろうが、もし興味を持たれた方は運よく見つけられたら笑いの種としてプレイしていただきたい。童心に帰ったようなしょうもない笑いが多幸感で満たされるはずだ。

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