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ホームレスはなぜ路上生活をするのか

ホームレスという存在は
僕にとっては日本に住むあらゆる人たちの中で
最もフシギな人たちだった。
だって、お金がなければ生活保護が受けられる。
生活水準を路上生活まで落とさずとも、
フリーターでも暮らしていける。
でも、彼らは宿無しを選ぶ

その疑問に答えてくれる一つの本があった

村田らむ『ホームレス消滅』


1,なぜ路上生活を選ぶのか

路上では自然の環境が直に襲い掛かってくる。
さらに大半のホームレスがクラス街中では
大勢の人々が生活し、騒音もひどい。
そんな中でなぜ宿無しを選ぶのか、
本やネットで見かけた理由を書き連ねよう。

①失業

ドヤ街というものがある。
日払い労働者が多くくらす町で、
宿(やど)を反対にして生まれた言葉だ。
1960年代、一大イベントである東京オリンピックに向けて
そういった安宿がある町では日払い求人が殺到し
そこに肉体労働者たちがあつまる
しかしそれ以降は徐々に求人が減っていき
いつしか仕事に恵まれなくなり
安宿にも泊まれず
そのままドヤ街周辺で路上生活をするという。
しかしこの説明は、なぜ「路上生活に陥ったか」の回答であって
なぜ「路上生活を選び、続けるのか」の回答としては外れている気がする。

②自由が欲しい/このままでいい

生活保護というのは仮に申請が通ったとしても
屋根壁がそろった家までは手配してくれない。
不動産屋に行って
日がな一日物件を探し続けるのも苦労するし、
また仮にケースワーカーが施設を見つけてくれても
住まいは集合住宅なわけだから
集団で暮らすことになる。
さらに、そもそも仕事が見つからないから
路上で生活しているのに
家を持ったからといって
確実に職に就ける確約もない。
「だったら今のままでいいじゃないか」
そうして「宿無し」という
安定をとる。

③精神疾患

先日、かなり混雑している山手線で
不自然に席が空いていた。
ラッキー!と
腰かけるとその理由を瞬時に知ることになる。
強烈な饐えた臭い。
隣には恐らくホームレスであろう
ボロボロの衣服の老人がいた。
参考図書の著者、村田らむ氏は
街に暮らして数々のホームレスに
インタビューをした結果
そう言った悪臭を放つような人々は
総じて支離滅裂な言動を繰り返すという。
恐らく彼らは精神疾患なり
何らかの障害を抱えているのではないだろうか。
もし彼らが路上生活を止め
「雨風しのげる家屋を手に入れたい」と思うなら
一刻も早く手を差し伸べるべきではないだろうか。

④住所が固定されるのが不都合

最初に紹介した「自由がないから」という理由に釈然としないのは
「家を持っていても自由な私たち」という常識によるものだけだろうか?
調べていくと謎が解けてくる。
まず、住所が固定されることの意味を知る必要があった。
住所を申請してしまうと
住んでいるだけで様々な「税金」が発生する。
つまりこの時点で政府や自治体に首根っこ掴まれているわけで、
確かに路上生活を送る人々にとっては
息苦しいと感じさせるに値する状態だ。
また、やや裏社会的な理由も存在していて
「犯罪を犯して逃走中の者」
「借金を踏み倒した者」
などは住所がばれることが即不利益につながる。
自由が欲しいとか、別に路上でも生きていけるといった
ふわふわとした答えを返される時には
裏にこういった理由があるのかもしれない。


2,働きまくるホームレス

ホームレスと聞くと、
特に組織で働く人たちは
「働かないでけしからん」と
思わずにはいられない人もいるだろう。
しかし彼らも腹は減る。体も汚れる。
日銭を稼ぐため、彼らは人一倍働く
代表的なものはアルミ回収で、
丸一日 町中を巡り、
缶を足でつぶして圧縮して
工場へ持っていく。
だいたい一日の収入は1~3000円ほどらしい。
労働時間は半日以上、
時給は200円ほど。
ホームレスは働き続ける。

ここで、「物乞い」という稼ぎ方はしないのだろうか
という疑問が出てくるが、
実は日本では物乞いは、軽犯罪法で犯罪となっている。
いちおう、ただただ目の前に逆さまの帽子や
箱を置くだけでは物乞いとは言えないため、
そう言った抜け道はあるが、
いずれにせよリスクは存在することが
物乞いを見かけなくする理由だろう。

余談だが、ホームレスを簡単に区別する方法をご存じだろうか?
現在ではホームレス援助団体によって
定期的な焚きだしや衣類提供がされており、
また彼らもトイレで髭を剃ったり洗髪したりと
かなり身なりに気を付けていることも多い。
一般の人と見わけが付きづらいなかで
唯一目立つポイントがボロボロの「靴」なのだという。
まず、衣類提供のなかに靴が混じることは少なく、
提供されていたとしてもサイズが合わなければ履けない
さらに彼ら日銭を稼ぐために人一倍歩く。
だからホームレスは、靴を見ればわかる
そういえば、僕が最近見た
恐らくホームレスなおじさんは、
真冬なのに裸足でクロックスを履いていた。


3,ホームレス排除

公園のベンチの中でも特に、
最近は中央に手すりがあるベンチが増えているのを
ご存じだろうか?
あまり使い勝手がよくない手すりつきベンチは、
何を隠そうホームレスが寝られないようにする敵意満々のデザインなのである。
それを「排除アート」といい、
ホームレスが多く横たわる道に
不自然な凹凸を付けたり
異様な数のポールを付けたりするものもそれだという。
確かに、座ろうとしたベンチが
ホームレスに占拠されていては少し不満が募るだろうが
それにしても、明らかな排除アートを街中で見ると
いい気持はしない。

また、もっと胸糞悪い「ホームレス排除」の例が、
一般の人々からの暴力だ。
特に繁華街や駅で暮らすホームレスは、
酔っ払いや通勤する人々に
一度は蹴られたり殴打されるといった暴力を経験する。
また河原に棲むホームレスは
人目に付かないことがあだとなり、
倫理観のカケラもない
学生集団にリンチされたり
エアガンで集中砲火されるといった事件に巻き込まれる。
最悪の場合、殺される
僕は、正直何を考えているかわからないホームレスより
平気で人を殺したり暴力を振るう人が怖いし、
そんな人が社会に溶け込んでいることを再認識して
背筋が凍った。


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