アクリル板で隔てられた恋【小説】

コロナという見えなウィルスに対抗するためにアクリル板を使う経営方針も出てきた。最近では、テレビ局のスタジオや飲食店などに設置されている。透明なガラスに隔てられた空間で人の心は繋がるのだろうか?どうしても心の距離は縮まらない。恋も同じように。

第一章 オンライン授業

恋愛なんて関係のないものだった。人を好きになるってどんな感じ何だろう?僕は低炭大学の新入生だ。コロナのせいで、オンライン授業を柱としている。本来の大学生活って何だろう?女性との出会いがあると思っていたが、そうでもなさそうだ。授業の画面に、かわいい女性は写るが、手が届かない。届く勇気もなかった。ずっと距離を置かれているように感じる授業は最悪だ。

届きそうで届かない。しかも、話しにくい環境になっている。顔に自身があるタイプなので、画面はオフにしていない。僕のことを知って欲しいと思う神経も現れていると思う。多分、他の人もそうだと思う。男友達でも、話したことはない。雑談ぐらいはあるが、踏み込むこともできない。それならば女性とも繋がることさえ出来ない。こんなことになるとは去年は思っていなかった。

第二章 出会い

オンライン授業でも新しい出会いはあると思う。現実とネットの世界が混合しているように見えるが、現実の方に寄っている。僕は出会いを求めるように決心した。まず、ネットで繋がろう。インスタのアカウントを女性からさり気なく聞き出した。成功だ。意外とすんなり教えてくれた。まあ、何か有ればブロック出来るからだろう。ひねくれた考えは辞めておいて、次は安心感を作っていこう。

母性本能をくすぐるように安心感を持たせてDMで話してみた。ありきたりな会話だが、時間を掛けて関係を構築していく。そのうちに彼女のことが好きになってきた。現実では出会えなかった二人がネットの世界で繋がることが出来た。新しい恋愛が始まる。時代の波に乗り遅れるな。無理に流行を掴めまでは言わないが、知っていて損はないだろう。

第三章 現実は悲しい

現実とは悲しいものだ。やり取りをしていた女性と現実で出会った。待ち合わせはインスタ映えのするカフェにした。誘いやすい環境に持っていく技術を褒めてほしい。友達の居ない僕は一人で呟いていた。そうしている内に彼女が来た。現実を見た。彼女の顔は、僕には合わなかった。僕自身が偉そうに言える身分ではないが、初めて好意を持った女性だったせいだったのに。用事が出来たという分かりやすい嘘をついてその場を離れた。

近くの公園で一人ブランコに乗った。何だろう?この敗北感。泣きはしないが、泣きたいぐらいだ。インスタのアイコンを黒色にしてみた。こういうことをしてみたかった。別れたみたいになってるけど、そもそも付き合っていない。黒色にしてもフォロワーが少ない僕のこと誰も心配してくれないだろうな。現実ほど悲しいものはない。そうしている内に告白されている人は何人居るだろう?

第四章 感染症対策合コン

別れは出会いの始まり。彼女との別れとすれ違うように男友達が出来た。僕と同じ電車好きの方のようだ。話の話題になればこっちのもの。連絡先を交換した。二年ほど過ぎて合コンに誘われた。コロナは収まっていなかった。彼自身が主催するのではなく、彼の同級生から誘われたようだ。まあ、僕たちのような分際は引き立て役のように扱われると思ったが、現実の経験として行って見ようと思った。オンライン合コンの選択肢もあったが、現実を知り経験するのも大事だ。

居酒屋で開催されるようだ。現在、居酒屋は感染症対策のためアクリル板を設置しているようだ。こんなことを言ってはいけないが、効果あるのかな?と思ってしまう。少人数で行われた。男三人、女三人の至ってノーマルな合コンだ。内訳は、僕の友人の友人、僕の友人、僕。ある意味身内だけの集まりだ。一方で女性の関係は分からない。どっから集めてきたかも分からない。サクラの線も疑ったが、気にしないことにした。全く知らずに来てしまった。それより、アクリル板で仕切られていることが気になる。

第五章 気になる人との距離

心の距離のようにアクリル板で仕切られている。刑務所での弁護士との面会みたいだ。気分は良くない。出会った頃から仕切られているなんて最悪だ。いくら感染症対策をしても人との距離は縮まらない。三人の中でも特に興味を持った女性は僕の前の人だ。性格までは分からないが、外見は好き。このアクリル板が恋を邪魔する。隔てられた空間で生きていかないといけないのか。

その日は、特に盛り上がらなかった。そらそうだ。盛り上げ役がいないもの。この経験から僕は酒に溺れた。オンライン授業もままに受けられなかった。自分の価値観を考えながら恋をしたい。withコロナ時代だからこそ新しい生活様式があるなら新しい恋愛方式があってもいいと思う。そう、考えていた。変わるのが怖かった。いざ変わってみるとそうでもないことが多いんだ。恐れるな。生きていれば希望は見つかると経験した。

第六章 恋は人生ゲーム

恋って何だろう。人生ゲーム?時代によって進化してきた恋愛。新しい価値観から生まれるゲームは楽しくもあるし怖くもある。一生懸命生きて生きた。次の時代を見据えて進めていく。何事も経験が大事だ。コロナの中、先が見えない世の中になった。生きていくことがこんなに大変だなんて。恋愛って難しいんだな。新しい恋愛を始めようか。夢と希望が詰まった明日のために。

〜作者からのメッセージ〜
この話はフィクションです。コロナというウィルスと新しい恋愛方式をテーマに執筆しました。#大学生の日常も大切だ の投稿をみて感心しました。余談ですが、グリーンの愛唄の曲を参考に書きました。昔の音楽ですが、コロナウィルスを予言しているようでした。この投稿が、学生生活や社会の役に立ててもらえると嬉しいです。#withコロナ時代 新しい明日に向けて進んで行きましょう!

植田晴人
自称エッセイスト。偽名。小説を書くのが趣味です。恋愛経験ゼロ。