フリーランスさん、契約の基本を知る①
先日、ビジネスを支えるバックオフィス業務担当者のための総務プロジェクト #SOU-MUを主催する税理士田中慎(https://note.com/shinxtanaka)さんの勉強会で、「秘密保持契約」(NDA)をテーマにお話しする機会がありました。
対象は、いつも送られてくるけど、つい読まずにサインしてしまうフリーランスさん。
硬派にやろうとするとこんな感じで↓
しかし、疲れ切った平日の夜に、テキストばかりの硬い話はしんどいな。
ということで、こうなりました。
(※とっつきやすさを優先し、理解の第一歩を目的に書きます。もう少し踏み込んで勉強したい方は、下記書籍等をご参照ください。)
はじめに
NDAと略される契約、本名は「Non-Disclosure Agreement」。
日本名は「秘密保持契約」とか「秘密保持条項」といいます。
聞くと、結構な割合のフリーランスさんが手を挙げます。
が、しかし、実は…実を言ってしまうと…
「内容を読まずにサインして送っちゃう!」
「何のための契約書なのか知らない!」
というフリーランスさんは意外に多いらしい。
そこで今回は、NDAくんを知り、「わからないけどサインからの脱却」を目指します!
(…と思ったのですが、記事が長くなったのでいくつかの記事に分けて、前半は契約の基本、後半でNDAくんについて書くことにしました。悪しからず。)
契約は契約書を作って初めて有効になるのか
NDAくんのことを知ってもらう前に、契約について知って欲しい。
「契約は契約書を作って初めて有効になるのか」
どうでしょう。この辺はご存知の方も多いでしょうか。
契約は、申込と承諾があれば成立します。
(※例外的に、法律上、書面が必要な場合もあるけれど。保証契約など。)
「この300円のレモンください」←申込み
「はい、まいどあり」 ←承諾
このやりとりがあれば、レモンの売買契約は成立です。
契約が成立すると、契約や法律に定められた権利や義務が発生します。
これは口頭でのやりとりに限りません。
メールでも成立するし、チャットでも成立します。
なのに、契約書なんて難しそうでややこしそうで手間暇かかるものを作るんでしょう。
その理由は主に2つ。
①紛争を予防する
よく言われることですが、ちょっと想像してみてください。
あなたはノリにノった元気いっぱい、走りたくて仕方がない人。
あなたの前にどこまでもまっすぐな廊下が続いている。
走りたくて走りたくて仕方がない!
誰かの迷惑になることもなく、特に何も言われていなければ、全力で走り抜けますよね。あーとっても気持ちよく走れます!!
では、建物に入るときに
「走らないでくださいね」と言われたら?
「ろう下を走るな」と貼り紙がしてあったら??
うーんちょっと抵抗はありつつ、
おばちゃんの目が届かなくなったら走っちゃうかもしれない。
だって、こんな機会なかなかないし。誰も見てないし。まぁ見つかって怒られても謝ればいいか。小走りならいいんじゃない?と思っちゃう人もいるかもしれない。
ではでは、廊下に入るとき、「廊下を走りません」「小走りも走ったこととみなします」「もしも走ったら、10万円の罰金を支払います」という書面にサインしていたら?
(契約の有効性はさておき)大抵の人は、走るのやめとこうと思うんですよね。自分でサインしていて、罰則も定められていて、廊下を走るときの心理的抵抗は相当高いはずです。
これこそが、契約書の効果である紛争の予防のひとつ。
事前にやったらいけないことを確認し合うこと。
約束を破った時のデメリットを認識すること。
たったこれだけのことでも、どんなに廊下を走りたくても、我慢する人は多いのです。
②合意内容を客観的に明確にする
①のようなことをいうと、きちんと口頭で確認して、お互いちゃんと理解しておけばいいじゃない?と考える人もいるかもしれません。
廊下の例でいえば、おばちゃんと、「廊下は走っちゃだめだよ、走ったら2万円だからね」「わかりました、走りませーん」と約束しておけばいい、というわけです。
ところが、人間は、(悪意なく)いなくなったり、忘れちゃったり、(悪意をもって)とぼけちゃったりするのです。
契約書を作っておけば、そういった場合でも、「いやこんな約束したよ」とはっきりさせることができます。
これまで懇意にしていた担当者がいなくなっても、うっかり忘れやすい相手方でも、約束を反故にしようとする悪い取引先と対峙したときでも、契約書に書いてある合意した内容を確認して、無駄な争いを防いだり、こちらに有利な主張をしたりすることができます。
口頭ではなかなか確認しない細かな条件を明確にできるのもいいところ。後々揉めるのは、そういった細かな条件だったりするんですよね。
取引の相手方としても、大事な契約書も作らず「よしなに~」で済ましてしまう事業者と、きちんと約束を明確にする事業者だったら、やはり後者に長く大切な取引を任せたいと思うはずです。
契約書をつくるのってなんか大事な気がしてきた! ような。
とはいえ、あらゆる取引に契約書を作成するなんて、時間も手間もかかって仕方ない。
じゃあ、どんな場合に契約書を作成したらいいんだろ?
というのは長くなったので「フリーランスさん、契約の基本を知る②」に続きます~
★契約全般について、もっと詳しく知りたい方は、菊間千乃弁護士「契約のキホンのキホン」がお薦めです。
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