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雨のちふたり

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かほとちはるによる、アンソロジーマガジンです。 更新は月に一度。同じテーマでそれぞれに考えたことを綴ります。
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#エッセイ

誰にとっても幸せな

 別に「一度は行ってみたい」なんて願わなくても、時がくれば自動的に訪ねることにはなるのだけれど。
死後の世界というものがもし実在するなら行ってみたいと思う。

 天国とか地獄とか、死んだ人は空から見ているとか。そういう話題は嫌いではないし、想像力を掻き立てられるものだけれど、別に心から信じているわけではない。不思議な体験をしたこともないし、死を意識するような経験もないので正直真剣に考えたことがない

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『猫について』全て君が教えてくれた

 我が家の猫は気まぐれで人の言うことなんてまるで聞かず一つもこちらの思う通りにならない。飼い主には太々しい態度なのに、知らない人がくると途端に警戒モードになる。なんて可愛いやつ。
名前はアクアという。去年の3月に生まれたラガマフィンの女の子で、誕生石のアクアマリンから名付けた。
どんな良質なぬいぐるみだって霞んでしまうふわふわの毛並みは白混じりの灰色。手足の先は靴下を履いているみたいに白い。瞳は青

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「春夏秋冬の冬」 何かに足を引っ張られる/優しいコーンポタージュ

 冬という季節は本当に良くない。
寒いし肌は乾燥するし、着るものが多くなるから洗濯物も増える。クリスマスやお正月というビックイベントがあるとしても、冬を好きになるにはまだまだ足りない。
ただ冬がいかに嫌いかという話をしてもつまらないし陰鬱な季節が加速するだけなので、今回は冬にまつわる素敵な思い出を紹介しようと思う。

何かに足を引っ張られる話 「足を引っ張られるからやめなさい」
寒さのせいで足が冷

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「春夏秋冬の秋」 気付かされる季節

 金木犀は自分の力で増えることができないらしい。ソースはTwitterなのでどこまで本当かわからないけれど。

自分で増えることができないはずの金木犀が日本の至る所に花を咲かせるのは、金木犀を望む人が植えて増やしたからだという話らしい。
そうだとするならなんて幸せな花なんだろう。。だって金木犀は皆望まれて生まれたということだ。人間の中には望まれずに生まれる人もたくさんいるのに。
あの甘い香りで人間

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「かけがえのないもの」 私らしく生き続けるために

 最近体力の衰えを感じている。
少し早歩きをしたり階段を登ったりすると息切れを起こす。旅行に行くと疲れて体調を崩すことが多くなった。普段より長く歩くだけで筋肉痛に襲われる。
理由は単純明快、運動不足だ。元から運動は好きではないし、テレワークで外に出る必要がないことも体力の低下に拍車をかけていると思う。ここまで書いておきながらとくに改善するつもりがないことが1番の問題かもしれない。
別にそれはいい。

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「春夏秋冬の夏」 あの夏はもう二度と

 今年の夏は短かったように思う。蝉の声は昨年より少なかった気がするし、晴れの日よりそうではない日の方が多かった気がする。
けれど、別に過ごしやすい季節というわけではなかった。気温は順調に過去最高を記録し、熱中症で運ばれる人は跡を立たない。「不要不急の外出は避けてください」という台風の最中のような注意が流れ、ニュース記事を読むだけで汗をかきそうだった。
こんな季節に外に出るなんてとんでもないと思って

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雨の日に思うこと

 雨は嫌いだ。ジメジメするし、水溜りに落ちるし、傘をささないといけないのは面倒だし、周囲の音も聞き取りづらくなる。「雨っていうのは恵なんだよ」と力説されたことがあるけれど、私は米でも野菜でもないのでどうでもいい。必要性は理解しているしどうにもならない自然現象なので余計嫌いなのかもしれない。第一畑の作物だって雨が必要だから受け入れているだけで好きかどうかはわからないと思うんだけどな。
天気としてはか

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『快適な日常の送り方』 ただ生きるよりほんの少し先へ

 皆さんこんにちは。
今回の雨のちふたりのテーマは「快適な日常の送り方」。精神的・肉体的を問わず、私たちが普段快適な日常を送るために実践していることを紹介しようと思う。

 まずは仕事について。
私は普段自宅で仕事をしている。寝床とデスクの距離はおよそ10センチ、通勤時間5秒。羨ましがられることもあるが、弊害も多い。
そのうちの一つが、仕事と生活の距離が近すぎて境界線が曖昧になってしまうことだ。仕

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『かっこいいを探る』 ずっと前から好きでした

 今回のテーマは「格好いいを掘り下げる」。格好いい人でも物でも作品でも、自分の思う格好良さについて楽しく向き合ってみようと思う。
まず大前提として、私の考える格好よさとは、つまり『私の目標』だ。こんな風になりたい、こんな風に生きてみたい。尊敬できて、その人の世界に私も連れて行ってほしいと思えるような。憧れだなんて烏滸がましいかもしれないけれど、目指すのは自由だ。道標のない人生、せめて理想くらいは追

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「春夏秋冬の春」 通り過ぎる季節

 春は短い。寂しいことも楽しいことも、気がつくと私の前を通り過ぎていく。無情に、無慈悲に、一瞬も足を止めることなく。

 春は桜の季節だ。店先に並ぶ桜モチーフのグッズやコスメにワクワクするのは春の醍醐味と言って良い。でも衝動買いする勇気は出ず、グズグズと迷っているうちに桜グッズはレイングッズに変わっている。基本的に決断は早い方なのだが、春はそんな私さえ軽々飛び越えていく。
卒業や入学の時期はいつで

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[親愛なる片割れについて], From, 千春, to, 佳歩

 佳歩は、中学の時に出会ったかけがえのない親友だ。ちゃんと自分の考えを持っていて、人を気遣うことができて、いつも広い視野で物事を判断できる人。時間がかかっても決して前に進むことをやめない根気の強さと、常に人を尊重することを忘れない彼女の優しさには、私を始め多くの人が救われていると思う。

 佳歩とは中学校3年間を一緒に過ごした。
第一印象は「大人っぽい子」だった。穏やかそうで、自分も含めた他のクラ

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