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【論文紹介】たった10分運動するだけで認知パフォーマンスが上がる脳科学の仕組みとは?

前がき

最近はコロナウィルスの件で緊急事態宣言が発令された中で、家で過ごす時間が多くなったと思います。

運動する時間が少なくなり、気分も憂鬱。そんな時だからこそ運動。

だけど「運動した方がいいのは分かってる。でも続かない」と悩む方が多いと思います。

運動が続く理由は、本人のモチベーションも関係しますが、一番多いのは、運動の効果を実感できずに挫折してしまうことにあるのではないでしょうか。

運動をしない方がいい理由はないです。だからこそ伝えたい。いろんな学問的知見から運動をお勧めする理由を記事にしていきます!

では、本題です。

運動と認知機能のつながり、脳の機能

運動するとリフレッシュして心が落ち着いたり、集中力が高まったりすることはないでしょうか。

それを解明するとあるTED talkを見つけました。

長期の運動の成果として、前頭葉の持つ注意力、集中力の改善が見られ、海馬の容積が増加する(8:10)

ウェンディ氏によれば、運動が脳の構造を変化させ、認知機能を高め、アルツハイマー病の予防に繋がるそうです。

では、前頭葉や海馬とは何か、ややこしい部分は大幅にカットして解説してみます。

前頭葉や海馬は、記憶の貯蔵や再生、情動の調節を担っている

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こちらは、脳の外側(大脳新皮質)を図示していて、写真の左側に目がついていて、右側に首がある状態です。

前頭葉は運動をつかさどっている部分で運動野、前頭前野に分かれます。海馬は記憶を司り、脳幹の少し上の、側頭葉の内側の部分に位置しています。

両者は独立して機能しているというよりは、相互に影響をし合って機能しています。

では実際に運動が前頭葉や海馬に対してどのように作用するのか、論文を添えてみていきましょう。

論文紹介ー①背景・目的

筑波大学大学院の研究で、短時間の運動によって生じる認知機能の向上させる脳内胎盤を解明する研究があります。

これまで、ネズミの長時間運動による海馬の発達や、長期間の運動を行っている人では、そうでない人よりも認知課題遂行時の脳活動が高まっている研究成果がありました。

この研究は、人間で短時間の中強度の運動の後すぐに認知能力の高まりがみられたかどうか、能力の向上が脳のどこで起きていたかを特定する目的で行われました。

脳の実行機能に着目し、特定のテストから一般的な認知能力の向上がみられるかどうかを見ています。

ところで、運動を長期間続けていくことはハードルがありますよね。短時間の運動がすぐに効果を発揮すると分かれば、運動を続けたくなるのではないでしょうか?

論文紹介ー②実験方法

運動群には、ストループテスト8分間受けた後、最大酸素摂取量50%(半分の力でできる程度の運動)の自転車こぎを10分行ってもらい、その後再びでストループテストを8分間実施してもらいました。

対照群には、テストを受けさせて、その後運動をさせずに安静状態を25分間保ったまま、テストを再び受けてもらいました。

運動前の時間、テスト時間・内容は同一です。

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上の文字の色と、下の文字の色が一致しているかどうかをみるテストです。

論文紹介-③研究結果

結果によると、運動群は対照群よりも反応時間が早く、前頭葉の前頭前野の活性レベルが高かったことが分かりました。

実際に、運動すると頭がすっきりして集中力が増した実感がある人は多いと思いますし、ビジネスパーソンが筋トレをする理由がこういうところにあるのかもしれませんね。

また、フィンランドにあるユヴァスキュラ大学の研究者らによる研究報告にも、有酸素運動を行ったラットが最も海馬神経の新生を行っていたことが分かりました。

これは動物の例ではありますが、同様の内容の研究を、人間を対象にして行った筑波大学の実験では、低強度の有酸素運動(最大酸素摂取量50-60%)によって、海馬神経の新生を促す男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が促されることが分かりました。

運動をすることによって海馬新生が頻繁に起き、前頭葉が発達して情報処理のスピードが速くなる、ということになります。

結論:全身が疲れるほどの運動はしなくていいし、短い時間でいい。

これらの論文から分かるのは、運動するといったからといって、アスリートレベルの、陸上選手やトライアスロン選手レベルのトレーニングをする必要はないということです。

競技力向上の目的ではなく、体力を付けたい、仕事のパフォーマンスを高めたいという目的であれば、軽い運動を数十分続ければ大丈夫なんです。

最大酸素摂取量50%という数値ですが、心拍数で言うと110~120ぐらい。

感覚で言うと、「ニコニコ話しながら楽しく話せる程度のランニング」と言うところでしょう。

具体的な場面に置き換えると、成人男性であれば 6分~6分半/km で走るペースだと思えば大丈夫です。

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運動は人生を豊かにしてくれると思っています。運動をすることによって、他にもセロトニン神経系が発達することにより抑うつ傾向が改善し、筋肉中のミトコンドリアが増え、代謝が良くなるなど、メリットが沢山あります。

ジョギングはまだ禁止されているわけではありませんから、ぜひ軽めのジョギングをしてみてくださいね。

今後も運動することのメリットをどんどん紹介していきますので、よろしくお願いします!

参考文献

Wendy Suzuki, Ted talk : The brain-changing benefits of exercise

筑波大学:軽運動は海馬の男性ホルモンを高める

筑波大学:運動で頭スッキリ





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