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広重の「東海道五十三次」を行く想像の旅 事始め

葛飾北斎らと共に、江戸後期を代表する浮世絵師である歌川広重

3代歌川豊国筆『広重肖像』(東京国立博物館所蔵)「ARC浮世絵ポータルデータベース」収録 (https://jpsearch.go.jp/item/arc_nishikie-tnm_C0028705)

その代表作「東海道五十三次」は、江戸時代に役人の往来や、書状その他様々な物品の輸送のために設けられた主要幹線道路、「五街道」の一つである、東海道を題材に、その53の宿場と、始終点である江戸・日本橋、京都・三条大橋を描いた55枚の浮世絵シリーズです。

江戸時代の中期以降、日本では農民や女性でも、有名な寺社などへの参拝を理由に、旅に出られる時代になりました。
 
当時、浮世絵一枚は、うどん一杯の値段と同じ程度だったそうで、街道の宿場やその周辺の風景、見所、名所や名物などが描かれていた広重の「東海道五十三次」は、現代のテレビの旅番組のように、読者に旅の疑似体験をさせ、旅へと駆り立てる一助となりました。

この江戸時代の東海道の旅は、現代を生きる私たちには、体験することのできない、幻の旅です。
しかし広重の「東海道五十三次」は、現代の私たちにも、江戸時代の文化、風習や各地の様子を事細かく伝えてくれます。
 
ならば、細部まで描きこまれた広重の「東海道五十三次」の絵の中にどっぷり浸かることで、時代を超えた想像の旅に出かけられるのではないか、と普段から想像の旅を楽しんでいる私は考えました。

我ながらいい案だと思ったのですが、絵の中の情報を読み解く作業は想像以上に難しく、これまでのどんな想像の旅よりも、その歩みは遅々としたものとなっています。
 
けれどこの旅なら、途中何度引き返そうと、気が向いたら旅に戻ればいいし、いっそのこと途中で旅を辞めてしまったところで、痛くもかゆくもありません。

ということで、広重の「東海道五十三次」を行く想像の旅
これからその旅の軌跡を、不定期で公開していきます。
 
なお広重は、「東海道五十三次」を複数の版元、いわば出版社から出しており、同じ宿場の絵でも、版によって題材や構図が異なっています。
今回の旅は、その中で最もよく知られている保永堂版「東海道五十三次」を使っています。
 
それでは、旅のはじまり、はじまり。

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