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冬は駆け足に

1月期のドラマも折り返しの時期。
何やら今年は、冬が足早に過ぎ去ろうとしているようです。
 
暖冬ではあるものの、このクールは「作りたい女と食べたい女」に心を温められている。
 
これまでも「あなたのブツが、ここに」や「ミワさんなりすます」など、いくつかの良作と出会ってきた、月~木の10:45からのNHK「夜ドラ」。
 
この「夜ドラ」枠、初の続編が「作りたい女と食べたい女」で、2022年末のシーズン1は、すごくよかったのに、話数が少なかったのが残念だったので、私にとっては待望の続編だ。
 
同じマンションに住むご近所で、一緒に食事をするようになった二人の女性の、おいしそうな食事と、あったかい雰囲気の食卓にほっこりさせられる一方で、彼女たちやその周りの女性たちが、日常の中にある、私たち女性への、社会からのいろんな「押しつけ」や「決めつけ」に傷つき、もやもやする様も描かれている。
 
「つくたべ」のシーズン1終盤、野本さんは自分が春日さんに情愛を抱いていると気づいた。一方、春日さんも野本さんのことが好きだし、大切に思っているようだが、その気持ちが野本さんの抱くものと同じなのかは描かれてこなかった。
 
だから、バレンタインデーに、二人が両想いだということが分かった時は、画面のこちらで思わず歓声を上げてしまった。
 
だけど、もし春日さんの野本さんへの思いが、恋愛としての好きでなくても、それはそれでいいと私は思っていた。
 
昨年のNHK「大奥」での家茂と和宮の間にあったのは、ある種の友情であり、しかしそれだけではなく、情愛ではなかったかもしれないが、そこには確かに「愛」もあった。
 
血がつながってはいなくても、情愛を抱いてはいなくても、二人は間違いなく家族であり、お互いにかけがえのない伴侶であった。
 
ただその間にあったものは、一言では形容しがたく、呼び名もないというだけだ。


 昨年から、ドラマを通して、ジェンダーやセクシュアリティ、家族について考える機会が増えた。
 
野本さんと春日さんが両想いだったのは、とても喜ばしい。
 
だけど、誰かを好きだと思う気持ちや、愛おしいと思う気持ちに、それ以上の「名前」や「定義」を付ける必要なんて、別にないんじゃないだろうか。
 
そして、家族とは血がつながっているかどうかではなく、血がつながっていても、いなくても、互いを支え合い、その人たちといれば安心できる人たちのことではないか、と最近の私は思う。
 
「押しつけ」や「決めつけ」から逃れ、みんなが自由に羽ばたけることを願いつつ、最後まで彼女たちを見守りたい。



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