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【小説】月が見えますかvol.3

 シャワーを浴びて、一息ついてスマホを見た後に、タバコを吸った。
 そんな時、ソファの上に置いたスマホが少し振動した。
 梶木翔馬は、スマホの画面を開いた。
「horse woodさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
そうですね、女性の主人公もそうですが、好きになってしまった男性も繊細で優しいが故にという思いがありますね」と、コメントの返事が届いた。
horse woodは、梶木のユーザーネームだ。
 モフールンというそのユーザーネームから届いたコメントの返事を見た時に他の投稿も見てみる。
 編み物も得意なのだろう。いくつかのコサージュがアップされていた。
『つらいときこそ、あなたは
いい「運」をためている』名言を画用紙に書いて可愛い絵も添えられて病室の窓あたりで写真を撮ったのもアップされていた。
 梶木がそれに「イイね」をした。
スマホが振動して、呼び出し音が鳴った。
 梶木の兄貴分の濱城からだ。
「はい」
「梶木、例の撃ったヤツが分かった。ここへ来い」
場所と店の名前が送られてきた。
弟分の田辺暁人に連絡して、急いで服を着替えて、部屋を出た。
 外は夜の空になっていた。蛙が多く鳴いている。
 タバコを一本吸うことにした。暁人が車を出すからだ。

 暁人が、そこの角を急カーブで梶木の前に車を止めた。梶木のジャケットの内ポケットには濱城から預かった弾の入った拳銃を用意している。

 猛スピードで目的の店に向かう。時々タイヤが鳴る。

 店の近くに、濱城の車もあった。
車を止めて、様子をうかがう。

 エンジンを切った暗い車体の中に月あかりが入ってくる。
 梶木はチラリと暗い空を見上げた。
そこには、白く輝いている雲ひとつない満月が輝いていた。

 一向に男は出てこなかった。
 梶木は、明かりが外に漏れないように注意を払ってスマホの画面を開いた。
 モフールンが、『月が美しい』そう書いて月の絵も描いてあった。
 同じ頃に同じ月を見ている、モフールンって一体どんな女性なんだろう。
「俺も、月、見てます。美しいです」梶木がコメントした。もうすぐ撃ち合いになるかもしれない。こんな時に俺は何をしてるんだ。梶木は苦笑いをした。
「同じ月を会ったこともない人と、美しいと言い合っているなんて、なんか素敵ですね」とモフールンからコメントが来た。
「出て来ました!」暁人が声を殺して梶木に言った。

#小説 #連載 #フィクション
#文章



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