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KYOTO Hardtech & Health Batch 1 採択スタートアップ紹介

こんにちは!Plug and Play KYOTO / Hardtech & Health担当のHaruです。

京都オフィスは昨年7月に開設されたばかりですが、12月よりアクセラレーションプログラムを開始しています。ものづくりやヘルスケアに関連したスタートアップを中心としてプログラムとなっています。

そこで、京都プログラムで採択となった国内外15社のスタートアップを数回に分けて紹介していきます。第一弾は3社をピックアップしています。

さっそくいってみましょう!!

1. 株式会社アドダイス

所在地:東京
設立年:2005年
代表名:伊東 大輔氏
Keywords: #AI #デジタルトランスフォーメーション #DeepLearning
医療・産業の専門家の言葉にできない知見・経験を客観化する自立型AI

ここに注目!:Deep Learningの活用により、地方の現場に残る労働集約的な検査・診断プロセスを自動化します。

この技術は製造業だけでなく「医療」にも応用可能です。例えば、がんの診断(種類・ステージ判定)には多くのケースで顕微鏡を使用した病理検査が必要となり、判定まで数日〜2週間程度要します。病理判定には病理専門医の知識・技術が必要となり、全ての医師が判定できるわけではありません。病理医不在の病院も多くあるため、癌診断には時間がかかってしまいます。

しかし、アドダイスの技術を使うことで、専門家の言語化が難しい勘や経験を客観化することが可能となります。がん細胞は元々正常細胞が多段階的に遺伝子変異を起こしてガン化したものであるため、正常細胞とがん細胞の境界線を見極めるには経験が必要ですが、病理専門家が自ら教師となり境界部位をAIに学ばせていくことで、判定を最適化していきます。

現在、伊東CEOのご出身地である県立広島病院をはじめとした複数の病院と共同研究を実施中、エンタープライズ市場でも大手企業でサービス導入が進んでいます。

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AIを利用した転移がんにおけるがん細胞が広がっているエリアの判定           アドダイス社より提供

2. 株式会社MOLCURE

所在地:東京
設立年:2013年
代表名:小川 隆氏
Keywords:#AI #バイオテクノロジー #ロボティクス #分子設計                                           #ドラッグディスカバリー
AIとバイオテクノロジーを融合した次世代創薬技術

ここに注目!:医薬品開発は高コスト且つ長い時間が必要です。医薬品の候補化合物が上市まで到達する確率は1 / 20,000〜30,000とも言われ、研究開発には5〜10年程度、コストは1,000億円かかることもあります。

Molcureは、従来の研究手法では発見が困難な新規バイオ医薬品分子の探索/設計を支援する独自のAI技術を製薬企業に提供することで、創薬プロセスの効率化・低コスト化を図ります。

具体的な事例の1つとして、抗体医薬品の分子設計が挙げられます。抗体とは、病原体が体内に侵入した際、病原体と特異的に反応する物質として体内に生じるもののことで、いわゆる身体の免疫応答に必須のものです。

例えば、癌細胞を医薬品でピンポイントで狙い撃ちしたい時には、目印が必要です。癌細胞の表面には、その種類の細胞にしかないタンパク質が過剰に作られていることがあります。この細胞特異的なタンパク質に医薬品が結合することで、高い治療効果と副作用の軽減が期待できます。

ある企業では、従来手法で1つしか候補化合物が見つからなかったところ、Molcureのビッグデータ収集・AI解析の活用により新たに14個の候補化合物を発見することに成功しました。

また、HAIVEと名付けられた実験のオートメーション技術も開発中です。ロボット好きにはたまらない、ドラッグディスカバリー実験の自動化に向け開発が進行中です。

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            ドラッグディスカバリーの自動化システム(イメージ)                (提供:MOLCURE社)

3. エニシア株式会社

所在地:京都(京都大学発スタートアップ)
設立年:2017年
代表名:小東 茂夫氏
Keywords: #医師の働き方改革   #デジタルヘルス                                                                   #電子カルテ #非言語処理 #クラウド          
カルテ要約支援ソフトウェアの開発・販売

ここに注目!:皆さんは病院の外来で長時間待った経験はありますか。前の患者様の診察が終わったら早く次の患者様に移ってほしいと思うのですが、医師はその間、カルテ作成や次の患者様の過去のカルテ確認作業に勤しんでいます。

多くの医師が長時間労働をされている現状があります。過労死等防止対策白書によると、その理由として一位として挙がるのが「診断書やカルテ等の書類作成のため」となっています。

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引用:平成30年版 過労死等防止対策白書

エニシアのカルテ要約支援ソフトウェア「SATOMI」を使用することで、下記のような現場医師の負担軽減効果が期待されます。
・診療効率の向上
・引継ぎの効率化
・文書作成の負担軽減・文書作成の負担軽減

カルテ入力の効率化・標準化を目指す音声入力ソフトを開発する競合は存在しますが、カルテ要約に着目に医師の働き方改革を目指している点が他社とは異なります。

病院での試作品導入や共同研究を進め、大学病院を中心とした系列病院への展開や、各地域の医療情報連携基盤と繋がることで普及を図ります。


いかがでしたか?

採択15社の構成比は国内10社(京都発5社)、海外5社となっています。産官学連携に力を入れ、また都市としても海外から注目度の高い京都ならではのプログラムとなっているかと思います。

プログラムを通じて、京都から世界に羽ばたくスタートアップの支援を、また海外のスタートアップを日本の企業に繋げるお手伝いをするため、京都チームは日々奮闘しております!

第二弾も近日公開予定ですのでお楽しみに!