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ハルノ
2019年7月30日 08:22
夏を思い出そうとすると、蝉の鳴き声が脳内に響き渡り、暑さで湯だった田んぼのにおいが鼻につく。田んぼに張られた水は、カンカンに照る太陽で生温かくなり、土と草のにおいが混じって蒸発していた。植えられたばかりのまだ背丈が低い稲が並ぶ、まばらな緑色の水。それを横目に、自転車で駆け抜けていくあの頃の私は、まだ小学校2年生か3年生だろう。プールの用意を水を弾くプラスチックのカバンに詰めて、水着の上から洋服