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【小説】菜々子はきっと、宇宙人

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<あらすじ> 大学を卒業し、晴れて新社会人となった美春。想像したよりも過酷で、憂鬱な社会人としての生活に、身体と心が限界になり、生きる意味を見失っていた。そんなとき、まるで宇宙か…
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#小説

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第15話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第15話)

厳しい寒さが和らぎ、少しずつ春の訪れを感じるようになった3月のはじまり。旅立ちの季節というのだろうか、職場では、部活やサークルのお別れ会で施設を利用する団体で賑わっていた。

「私はそろそろ旅に出る。」

2月が中旬に差し掛かった頃、そういえば菜々子も旅立つとかなんとか言いだして、新しく原付バイクを購入していた。

「名前はカブっていうんだ。カブみたいに白くて丸っこいデザインに見えるからカブ。」

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第11話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第11話)

10月に入り、朝晩の気温がぐっと寒くなってきた頃、私の家をとある大学時代の後輩が訪れた。

名前は優也。大学時代のサークルの後輩で、年齢は3つ下、ちょうど今、彼は3年生の時期で、就活について悩んでいたらしく、一度私の山暮らしを体験してみたいと約3日間くらい、家に滞在することになった。

昨日、駅に迎えに行き、久しぶりの再会に、お互いのいろいろな話を共有し合って、あーそういえば私もこんな悩める時期が

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第9話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第9話)

ドンドンドン

「はるー、ねぇおいしいスイカ手に入ったから、今から一緒に食べようよ。」

家のドアを菜々子がたたいている。休日の昼間だというのにまた、菜々子に起こされた。けれど、それにもだいぶ慣れてきた頃、季節は夏を迎えていた。
キャンプだ、バーベキューだと行楽シーズンとなり、職場は繁忙期を迎え、さらに毎日のように続く猛暑に、身体はヘトヘトだった。
だから、休日は朝から起きる気にもなれなくて、昼ま

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第8話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第8話)

何やら、朝から携帯が何度も鳴っている。
さっきから、何度も止めているのに鳴り止まない。
今日は仕事が休みの日。基本休みの日はアラームを切っているはずなのに。間違えてかけてしまっていたのだろうか。

まだ重い身体を無理矢理に起こして、枕元にあった携帯電話を片手に画面を開く。
アラームではない。菜々子からの着信だった。
朝の5時から、もうすでに5回も着信が入っている。時刻は6時半を回ったばかり。こんな

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第5話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第5話)

季節は春、3月の終わり。長かった冬の季節も終わりを告げようとしていて、ぽかぽかとあたたかな昼間の陽気の中で、愛おしいピンク色をした桜たちがまるで、私の新生活を応援してくれているようで、私の胸は躍った。

人生、心機一転、新しい生活がはじまる。そう意気込んで、期待に胸ふくらませて、新しい私の住みかとなる、あの川に面した小さな古民家のドアを開けたその先にいたのは、とてつもなく大きなゴキブリだった。

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第4話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第4話)

「ちょっとお風呂セット家から取ってくるから、川の音聞きながら待ってて!」

そう言って菜々子はすぐ裏にある家へと消えていった。取り残された私はとりあえず、菜々子の言う通り、目の前にある川のほとりに腰掛けて、川のせせらぎに耳を澄ませた。

季節は、一般的に、もうすぐ秋がはじまろうとされている9月。けれどまだ、その気配は遠く、じりじりとした焼きつける太陽の光に反発するように、川の水たちはその光を吸収す

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第3話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第3話)

時刻はもうすぐ朝の7時半。会社へと近づくにつれて増えていく乗客たちによって、「満員電車」と定義される電車の状態が完成しようとしている。

私はその「満員電車」が本当に苦手だ。
田舎で育った私にとって、そもそも人が大量にいることを指す「人混み」にはじめて出くわしたとき、本当に吐き気がした。
人がいないというか、ほとんどの人たちが車移動で、歩行者がほとんどいない町で育った私に、目の前に歩いてくる人をよ

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第2話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第2話)

時刻はまもなく、深夜の0時半を回ろうとしている。
なんとか無事に帰宅した私は、あの肌にまとわりついたジメっとした空気と、目の前で強く身体に触れた電車が通ったときの風の感触をとにかく洗い流したくて、そそくさと脱衣所に行ってシャワーを浴びることにした。

シャワーの水量をマックスにして、いつもよりも多くボディソープを手に取る。

手の指の先、手のひら、腕、首回り、、順を追って上半身から下半身へときめ細

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第1話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人(第1話)

ふと、目の前に釘付けになっていた、煌々と光るPCの画面から目を離して、座っていた椅子の背もたれに、背中を思い切り預けて背伸びをする。

そのとき、100人ほど収容できるオフィスの、私が位置している反対側のフロアの電気が消えた。
それにより、時刻はすでに、23時を過ぎていることを私は知る。
電気を消した上司が、まだ新入社員がちらほらと残っている私が位置しているフロアに移動してきて声をかける。

「そ

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