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望む時期は、とうに過ぎた。

誰の心のなかにも、触れられたくない「聖域」がある。そこは他人が気安く手を触れていい場所ではなく、たとえ家族であろうとも不用意に立ち入るべきではない。本人がその扉を開けて、「さぁ、どうぞ」と招いたときだけ。中に入ってそこに触れられるのを許されるのは、そのときだけだ。


「友だち100人できるかな」という歌詞の曲を、小学校で習った。不可能なことをそれがさも正解かのように教える暇があるなら、「聖域には踏み入るべからず」という当たり前のことを、もっとちゃんと教えてほしかった。

友だちが100人いる人を否定したいわけじゃない。友だちの人数が多ければ素敵な人だ、という概念が理解できないだけだ。

友だちの数なんて、どうでもいい。私の友だちは、私の聖域を土足で踏み荒らしたりしない。そのことが何より幸せで、私にとって大切なことだった。


他の誰しもそうであるように、私にも聖域がある。先日、その聖域を土足で踏み荒らされた。本人にそのつもりがあったかどうかなんて、正直私にとっては全く関係ない。私がそう感じた。ただそれだけの話だ。その苦痛はすさまじく、一時は何もかも放り出してしまいたくなった。


noteを始めて1年と少し。私はあの夜、初めて本気でnoteをやめたいと思った。


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