【文章は、生き物である】

　自身が書いた文章を読み返すたび思う。この文章を今もう一度書けと言われても、きっと書けない、と。
　紛れもなく自身が書いたはずなのに、数週間前のものを読み返すと、”いま”の自分とのズレを感じる。僅かなズレのときもあれば、大きなズレである場合も少なくない。心境や環境の変化によって、文章は驚くほど変わる。

　自身が書いたとある文章を読み返して、人の心の移り変わりを目の当たりにした。起きた出来事は何一つ変わらないのに、それをどう捉えるかによってうねるように変化する。

　生きている。動いている。文章の先に人がある限り、それは当たり前のことであり、必然である。