【私が愛しているもの】
関東では桜も散りはじめ、新しい年度が幕を開けた。明るいお日さまの光が窓辺から差し込んでくる。無印で買った薄いレースのカーテンが、生地の繊維を光に透かして柔い陰影をつくっている。
春休み、我が家で数日を過ごした息子たちはいつもの日常に戻り、電話口からは賑やかな声が聞こえてくる。友達と遊んでいるとき、兄弟喧嘩をしているとき、居間でゲームをしているとき。「元気?」と一言LINEをすると、大抵電話で返事がくる。声を聞く。それだけで何となく調子がわかるのは、きっと互いに同じなのだろう。
ここから先は
1,238字
/
5画像
¥ 200
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。 頂いたサポートは、今後の作品作りの為に使わせて頂きます。 私の作品が少しでもあなたの心に痕を残してくれたなら、こんなにも嬉しいことはありません。