【きれいに見えるものが、足掻いていないわけではない】
何も考えたくない。そんなときは、忙しくするに限る。もちろんそれは、余力のある場合に限られるのだけど。
手持無沙汰であればあるほど、うんざりする悩みごとが、のっそりと頭のうえに覆いかぶさってくる。まるで子泣き爺を背負っているかのような重しが、四六時中全身を襲う。その感覚にすっかり辟易してしまい、とにかく手を動かそうと朝から晩までパソコンに向きあっていた。
友人から電話があり、手をとめて顔を上げた。窓の外はすでに日が落ちていて、黒と青の境目のような光が、すりガラスの向こうに音もなく横たわっていた。
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