見出し画像

【きれいに見えるものが、足掻いていないわけではない】

何も考えたくない。そんなときは、忙しくするに限る。もちろんそれは、余力のある場合に限られるのだけど。

手持無沙汰であればあるほど、うんざりする悩みごとが、のっそりと頭のうえに覆いかぶさってくる。まるで子泣き爺を背負っているかのような重しが、四六時中全身を襲う。その感覚にすっかり辟易してしまい、とにかく手を動かそうと朝から晩までパソコンに向きあっていた。

友人から電話があり、手をとめて顔を上げた。窓の外はすでに日が落ちていて、黒と青の境目のような光が、すりガラスの向こうに音もなく横たわっていた。

ここから先は

2,051字 / 2画像

¥ 200

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。 頂いたサポートは、今後の作品作りの為に使わせて頂きます。 私の作品が少しでもあなたの心に痕を残してくれたなら、こんなにも嬉しいことはありません。