オムライスを作った日。

オムライスが好きだ。ケチャップライスの濃厚な味にふわりとかけられた、甘くてやさしい卵の味。ケチャップで書いた不格好な顔。
大好きな味なのに、家で作る機会はほとんどなかった。
私が結婚した人は、オムライスが嫌いだった。同じ材料なら炒飯が良いと言われて、そちらを作る癖がいつの間にか染みついていた。

別にこんなの、よくある話だと思う。ただ、そういう小さな我慢の積み重ねにふとした瞬間気付いたとき、何だか唐突に悲しくなってしまう。

旦那と別居してもうすぐ丸７ヵ月。あっという間だった気もするし、とても長かったような気もする。彼と離れて手に入れた新たな生活は、病状の変化もあって穏やかとは言い難い。ただ、圧倒的な安全がそこにはある。

いつ暴言を吐かれるかと怯える必要がない。
夜がくるのを怖がらなくていい。
そして、大好きなオムライスが食べられる。

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