見出し画像

あなたが好きだから、かなしい。


にんげんだもの

私は今、曲がりなりにも過ごしてきた23歳からの看護師人生の中で、一番つらいかもしれない看取りを目の前にしておりまして。
なかなかしんどいなと思う今日この頃です。
(あ、でも元気です!!!!)

看護職って、よく感情労働だと言われます。だからこそ、患者さんと適度に距離感を取ることが大切だとも。

それでもやっぱり、看護師である前に、私は生身の人間なわけで。患者さんの言葉に耳を傾け気持ちを汲みながら仕事をしていたら、一緒に笑ったり悩んだり時にぶつかったりもして、気づいたら距離が縮まってしまうことだってあります。

私が今働いている看護職としての形態は「訪問看護」というもので。1週間に一回、あるいは複数回おうちを訪ねるんです。付き合いが長い方だとそれが数年間続いたりもします。
数年間、1週間に何回も家に行く、なんて、考えてもみて下さいよ。結構な頻度ですよ。彼氏か彼女くらいでは?笑
そんな頻度で関わっているからこそ、なおさら、看取りがそこまで見えてきた今、ちょっとしんどいなぁと。


看護とは、ひいては対人援助職とは。
定義や極意みたいな言葉がたくさん巷に溢れていますが、私なりの鉄則は、まずは相手を愛すること。

「愛とは!」って友人間で流行ったことあるな。笑

 
当然人間なので好き嫌い/得意不得意はある。それでも、相手のどこか、ひとつでも愛せると、その人のより豊かな人生を、より考えたくなるんです。



そんな風に考えているからこそ、今、ちょっとつらいなぁと。
いくら仕事とは言え、ね。
人との別れはつらい。
だから、自分自身のグリーフケアもしないとなぁと考えている今日この頃です。


「グリーフケア」とは

「グリーフケア」とは
大切な人を亡くした人がその悲嘆(grief)を乗り越え、死別に伴う苦痛や環境変化などを受け入れようとする過程を支援することを示す。

https://www.jspm.ne.jp/files/localmeeting/kanto/textbook4.pdf

(出典:日本緩和医療学会さんの資料)


時間って、残酷すぎるほど不可逆で、いくら懇願したって、1秒も過去を返してはくれない。
亡くなった人は、生き返らない。

遺された人の心には、ぽっかりと穴があく。
愛が深いほど、その穴も深くなる。

でも、それって悪いことではないと思うのです。
なぜなら、喪失感情に比例して、愛の深さが証明されるのだから。

そんなに大好きな人に出会えたことは、人生において素晴らしいことではありませんか。


今日、思い立ってグリーフケアに関わりそうな本を図書館で鬼のように読み漁った。一気に読んだせいで頭が痛い。笑

その中で、こんな文章がありました。

娘のエミリーが亡くなったあと、はじめ夫と私は、いつもなにか固く重いものを肩に乗せているような感じがしました。その重荷の存在はじつにはっきり感じられました。
それは、昼も夜も、何週間も何か月も何年ものあいだ、文字通り重くのしかかっていました。それから少しずつーいまだに、いつどのように変わっていったのかはっきり言うことはできないのですがーなにかが変わっていきました。いまではやわらかいショールを肩にかけているように感じることがあります。
(中略)
ときおり夫の背中をなでていると、目には見えませんが、温かな存在が私たちととともにあると感じることがあります。もちろんそれはエミリーです。天使になったあの子は、決して私たちのそばを完全に離れてしまったわけではないのです。

悲しみがやさしくなるとき 子どもを亡くしたあなたへ
エリザベス・メーレン著


かなしいと、いとしい

今日読んだ本にはたくさんの言葉や統計の数字が書いてあって、それらをふむふむと読みながら、考えたのですが。


グリーフケアで大切なことって、亡くなった人への愛、その人への感情を自分自身が自覚すること。そしてその愛で自分を包み込んであげられるようになること、なのではないか。

と、思います。

きっと最初はショックで悲しくて、本当につらいと思う。固く重くのしかかるような感じ、と上で紹介した文でも表現されるような。

でも、その感情は無視したり無理に忘れようとせず、少しずつ、ていねいに時間をかけながら、その深い悲しみが深い愛だったのだと改めて自覚出来たらいいなぁと。

そしてその愛をお守りにして生きていけたらいいなぁと。

思う。


高校の頃に古典の授業で、古語では「かなしい」は「悲しい」とも「愛しい」とも表現すると習った記憶がある。悲しい、切ないほど愛しい、などという意味があることも。


かなしい。いとしい。
そんな尊い気持ちを大事にして、
ちょっとしんどいけど、その気持ちを殺さずに、たくさん泣いたり落ち込んだり、その後にはちゃんと笑ったりして生きていきたいものです。

明日からも、愛する利用者さんたちのために、ガシガシ働くぞい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?