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本01 『臨床とことば』(著:河合隼雄×鷲田清一)

あなたが最近聴いたことばはなんですか?

目の前にたしかにいるはずの人に、ことばを尽くしてもつくしても、到底伝わらない感覚。
あるいは、伝わったとたしかに思ったはずなのに、
あとで全く伝わっていなかったことがわかったときの絶望感。
あなたは、ことばの難しさを感じたことがあるだろうか?

この本は、そんなことばにまつわる人と人の交わりについて、リアルな生の現場で何が起こっているのか、
そして、そこから派生して世界の、人間の仕組みについて、2人の臨床家の「ことば」を聴ける一冊である。

日本におけるユング心理学のパイオニアである河合隼雄氏と、哲学者の鷲田清一氏の対話は、時間も空間も超えて東西南北、脊椎動物から人間の身体にいたるまで、縦横無尽に繰り広げられる。

1対1で向き合ってきた個々の事例から、世界の真髄に近寄らんとする迫力がすさまじい。

「(聴くことは)ものすごくエネルギーが要ります」
「本格的に聴くというのはね」
「からだが魂ちゃうか」
「ふわ〜〜っと聴くんです」
「相手のことばをつかむのとはちがうんです」
「他人の想いにふれて、それを自分の理解の枠におさめようとしないこと」

まがりなりにも、人の話を聴く仕事をしている私には、どきっとさせられる金言にあふれている。

そして、ふと、私は筆者のことばを聴いているのだろうか?という疑問が湧いてきた。

ことばの不思議を感じたいあなたにおすすめします。

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『臨床とことば』(著:河合隼雄×鷲田清一)

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