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九龍ジェネリックロマンス3巻ネタバレ感想のような、独り言のような何か

懐かしさとは胸とじこめたい想いである

工藤はおそらく本物の工藤であるだろう
鯨井Aに聞かれたら鯨井Bのことは話すと前から決めていたように見えた自然さ(問われてなんら焦った様子も戸惑う様子もないこと)からその可能性が高い
つまり彼は全部知っているしわかっていることになる
その表情には諦観すらみえる
だからこそ少し哀しい
彼は「夢の中にいることを知りながらずっと夢を見ている」のだ


九龍は『懐かしくなくてはならない』街らしい
それはそうか
ここではたぶん『懐かしいものしか存在できない』のだろう

蛇沼が飲食を禁じるクダリに
妖のだす食べ物を食べてはいけない、という昔の言い伝えを思った
似たようなカラクリがあるのではないか
懐かしさを維持する為の何かが
(鯨井Aは歳をとっていない)

小黒の過去の記憶らしき台詞「九龍から出たくはなかった、あの時だって」もそれを示しているように思う
懐かしさを維持できないような暗い記憶は消されていくわけだ
実に都合の良い世界である彼らの『九龍』は

完璧なものには他者からの視点が不可欠だ
自分だけが完璧だ完璧だと言ってもそれは完璧とは言えない
ほころびが観測された時点で、それはもう完璧ではない
しかし、絶対ならばちがう
その人物が『信じ続けることができたなら』それはもう絶対なのだ
客観ではなく主観
完璧を求めるのではなく
絶対だと信じられることが大事なのだ

ジェネリックな九龍は夢幻の街、いやもっと醜悪なものなのかもしれない
よくできた箱庭のような…
まさしくそれこそジェネリックテラではないか
果たしてあの空にうかぶ物体は本物なのか?
逆なのではないかと疑う
彼らの住む九龍こそが夢なのではないか

もうひとりのグエンは鯨井Aに対し強烈な嫌悪感を示していた
しかし、工藤にとってはどうなのだろうかと考える
鯨井Bはもう亡くなっているという…


夢だとわかっているのだなと考えると途端に切なくなる

恋をしているから懐かしいのでなく
彼はずっとその懐かしさに恋をしていたのだ

彼は
ひまわりの花言葉のように
彼はずっとそのまま死ぬまで、そこでずっと彼女を見つめているつもりなのか

だから彼は彼女が嫌いだ

いや、今存在する彼女を想うことで自分の中から懐かしさや恋しさが消えてゆくことが嫌なのだ
彼女は彼女の影であらねばならない
彼は昇華など望んでいない
乗り越えるべき壁などはない
ただ美しく咲いてくれればそれで良いのだ

とかなんとか考えると泣けてくるのでマジで違ってて欲しいです
なんかこうSFチックなアレであれ
爆発オチみたいなアレであれ
鯨井さんがんばれ

他にも気になることはありますけどね
蛇沼さんは本当の本当に愛人の子供なのかしら?とか
グエンさんの言動を見るに工藤、鯨井Bとかなり親しかったようだなとか(ほくろの位置なんて相当近くにいかないとわからんし)
あと微妙なことなんですけど冷蔵庫の水ね
肝心な部分がコピーできてないというか…
少なくとも彼女の記憶は工藤さんの記憶を元にしてはいないようですね
まあ関係ないか
しかし謎がたくさんだー


4巻がたのしみです
来年の春!


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