南極料理人を観ました。

アマゾンプライムにて視聴。

南極調査隊の一員として長期で滞在する個性豊かなおじさんたちの物語。望んで来ている者もいればそうでないものもいる。また彼らの関係性や悲喜こもごもを、料理を通して垣間見る作品。

船の料理人である主人公は自宅にいるとゴロゴロしているが小言はいうちょっとめんどくさい夫。妻にも娘にも邪険にされつつ、ある日急に南極調査隊の料理人として派遣されることとなった。
妻子は主人公が長期で家を空けることを喜び、彼に決定権はなく南極に至ることになる。

個性的どころか一癖も二癖もあるおじさんが8人も登場する。画面上も濃いし性格も濃い。とにかく濃度が高い。
当初は主人公の作る料理をもくもくと食らうだけの隊員たち。彼が趣向を凝らしても別段の反応はない。それどころかみな濃い味を求めているのか容赦なく醤油をかけたりする。浸すという表現が適切なくらいかける。
劇中における、南極にメシを食いに来たわけじゃない、というセリフが象徴的だ。
あくまで仕事での料理である。仕事で褒められたり賞賛される機会の方が少ないのだから、仕事の内容が調査であれ料理であれ変わりないのだろう。

日々のノルマをこなしつつ帰還までのカウントは減っていく。そんな中でトラブルは起きる。大それたものはなく一つ一つは些事に見えて、しかし当人には重大な出来事だ。
麺が底を尽き、ラーメン好きの主任が引き篭ったり、一番若い隊員が振られたり。彼については滞在中に浮気されて浮気相手と彼女がくっついた、という状況だと思われるので同情しかない。

また所帯持ちのおじさんらは妻や子供に煙たがられていて、南極に行くことで煩わしさから解放されたように描かれていたが、帰ってきた際には再会を喜ぶように抱きしめ合っている描写が印象的であった。
近いと面倒に感じて離れると恋しく思うのは家族らしい距離感なのだろうとも思った。きっと数週間も経つと彼らはまた同じような扱いをされるのだろう。

料理はとても身近にあり、それゆえに軽視してしまいがちなものである。しかしそれを欠いてしまうと酷く淡白な日々になることだろう。美味しい食事が日々の活力になる。
料理を作ってくれる人やコンビニにお弁当が並ぶにも多くの人が関わっていて、それがあたかも当然のように目の前にある現代だからこそ、改めて感謝をしなければならないと思った。

おわり。

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