宇宙兄弟を観ました。

アマゾンプライムにて視聴。
同名マンガの実写作品。
宇宙好きの兄弟が子供の頃の宇宙に行くという夢を叶えるまでの物語が描かれた映画作品。

ネタバレ含むのでご注意を。
南波六太は弟で宇宙飛行士の日々人を悪く言う上司に頭突きをして解雇されてしまう。宇宙飛行士になるという夢も現実味がないと諦めていた六太であったが、日々人の計らい(六太からすればお節介)で新規宇宙飛行士選抜試験を受けることとなる。書類選考を通過した六太は閉鎖ボックス試験に挑むことになる。
様々な課題をこなしていくなかでメンバーは満円と言えずとも徐々に連携しつつ問題に対処していくが、月面基地のモデルを作成する課題で制作されたものが何者かに破壊されるという事件が起きる。みな疑心暗鬼に陥り険悪な関係になってしまう。
諸問題が解決しないかたわらで、月面にいる日々人が渓谷に滑落し音信不通になったことが六太に知らされる。六太は試験を中断し閉鎖ボックスを出ることもできると聞かされる。そしてこの件が試験結果に影響しないことの説明も受けたが、彼は試験を続行することを決めた。
その後試験をなんとか終え、日々人もなんやかんや(詳細忘れました)あり生きて帰り、映画のラストでは兄弟で月に立つシーンで終幕。

感想。
非常に予算も気合も入ったかつ美麗な映像で見ごたえのある描写が多数。ロケットの打ち上げは実際にNASAの協力のもと撮影されており、打ち上げの際にはデニール・ヤングのようなポジションでバズ・オルドリン氏が本人役で出演もしている。本編でヤンじいは出ていないので悪しからず。
序盤は丁寧に物語は進み終盤は加速度的にラストまでフルスロットルで進む。まるでロケットのようだ、などと書こうと思ったが別段うまくもないのでここで供養する。
六太、日々人ともに原作のイメージをよく掴んでおり原作マンガを読んでいるわたしもビジュアルにコレジャナイ感を味わうこともなくすんなり受け入れることができた。ほかの登場人物はわかるようなわからないような。

マンガの実写化では避けて通れないのが設定の変更である。これは映画の尺と原作の長さ、旬の役者を使いたいなど、広告代理店やなんやらの思惑が非常に絡み合う言及が難しい箇所でもある。主人公の性別が変更されているというようなことはないのでとりあえずは安心できる……のだが、難波兄弟が宇宙を目指す要因の中でも大きな比重を置いていたシャロンが実写映画には登場しない。そもそも映画の世界観では存在しない。
映画版における兄弟のモチベーションはどこから来ているのだろうか。兄弟で月に立つという目標のみでは説得力に欠く印象がある。少々もったいなさを感じてしまった。
また尺と物語の取捨選択が惜しい。
六太の閉鎖ボックス試験と日々人の月面事故が並行して発生していることは上述の通りである。さすがにイベントがぎゅうぎゅう詰めすぎやしないかと思う。
閉鎖ボックス内でのメンバーとの軋轢が解決しないにもかかわらず日々人が事故に遭うと、むっちゃんも処理能力に負荷がかかりそうだ。

原作では六太の進言を受け吾妻さんがブライアン3号を六太の指定した位置まで向かわせる提案をして、その結果日々人は助かるという展開があるのだが、映画では日々人が自身の力だけで生還をしている。これは宇宙飛行士が一人であっても独りではなく仲間がいる、という表現かと思うのだがそれら全てが損なわれている点は残念だ。

登場させるキャラクターにしてもストーリーにしても選択が惜しかったと思ってしまう。人気作品ゆえに話題性のあるタイミングでの実写映画化がなされ、また尺の都合もあったのだろう。
総合的に判断するときっと原作を知らなければそういうものかと楽しむことができる作品であったと思う。ただ原作を好きであればあるほど、これがないあれがないが脳裏をよぎってしまうのだ。

漫画作品の実写化の難しさを体感する一本であったように思う。そして必ずしも原作を知っている方が楽しめるわけではないことも。
知らないことがあってもいいのかもしれない。

おわり。

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