手放したいもの 手放したくないもの
たとえば
階段のペンキの色が気に入ったとか、
磨りガラスから透ける光にトキめいたとか、
美味しいコーヒーの店まで自転車ですぐだとか、
駅降りた時の天気が最高だったとか、、
新しい住処が決まる理由はいつもそんな
どうでもいいほど何でもないことで、
どこへ住もうが何かが変わる訳でも何も変わらない訳でもないことぐらい分かっているのだけれど
何だかんだでやめられなくて、この8年で5度も引越しをしている。
そしてついに6度目の引越しに本腰を入れ始めた時に限って近所に安くて美味しい喫茶店を見つけてしまい、「もう少しここに住むのも悪くないよなー」なんて気が変わりそうになる自分よ、いい加減にしてくれと思う。
それにしても、初老の夫婦の営むあの喫茶店、最高だった。
大通りの賑わいの中に紛れ込んでいて、あの時そこで信号待ちをしていなければきっと気付かなかっただろう。
ハンバーグ定食680円。満足感半端ない。
後から来た男性はホットコーヒー・・・と見せかけてオレンジジュースを飲みながら新聞をバサリバサリ。
その後は元気な若い女子3人組。それぞれ定食。
それから中年女性がアップルパイとコーヒー。
打ち合わせ利用の5人組は各々食べたいもの飲みたいものを。
BGMはなぜか最新のJ-POPの有線。
きっと1週間以内にまたあの席に座っているだろうと思う。
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