昭和の時代にあったこと【なんのはなしですか】
コニシさんの「なんのはなしです課」通信が何だか桜色🌸
これはAprilFoolというよりも春でしょう、Spring has come.
ときめきに年齢など無関係なのです、はい。
…… #なんのはなしですか 。
あら。終わったわ、今回の記事(ヲィコラマテ)
以前にコニシさんの記事でちょこっとコメしたので、その思い出話を綴ろうかと思います。桜色でも甘酸っぱくもなく、恋の予感もなくて、小梅ちゃんも存在しません、悪しからず。
私は小学校を五回転校した。入学した学校の校歌も、卒業時のそれも、全く覚えていない慌ただしい6年間を過ごした。その中で1番長く(二年半ほど)在籍した小学校に、風変わりな少年がいたことを今でも覚えている。
彼は無口だった。会話が全く続かない。こちらの話に頷くくらいなのだ。興味がない、面白くないと思っているのか🤔いや、そうではない。嬉々として皆と遊んでいるのだ。話すのも惜しいくらいに。そう、彼は何事にも真剣だった。手を抜かぬ男だった。……そこに全力投球してどうするんだ?とツッコミを入れたくなる事象に関しても。
全力投球その1。
よくある話だが、彼は虫博士だった。極めれば手塚治虫のようになれたのかもしれぬし、ファーブルを目指すこともできたのかもしれない。だが、彼はひたすら虫を愛でることを良しとした。学問とは関係なく。ゆえに、理科の成績は平均値ギリギリであった。虫愛ずる姫、ならぬ虫愛でる少年。和歌には詠まれぬだろうし、平安の文学に登場することはない。
私が住む北海道は、カブトムシよりはクワガタが多く生息する。そのクワガタの幼虫を採取、おがくずを詰めた瓶で成虫に育てるのが、彼の楽しみだった。幼虫がサナギになり、その背が割れて濡れ羽色のクワガタが誕生する。琥珀色のサナギの抜け殻は、さながら彼の宝石であった。
と、ここまで強引に詩情を込めて綴ったが、現実はそれほどファンタジックではない。虫愛でる少年は、クラスメートである私を強引に巻き込んでいったのだ。
「見てくれ!これ、俺の人生の中で1番おっきい幼虫なんだ!!凄いだろう!!!」
そう言っておがくず瓶を見せてくる彼。……うん。見事なのは分かる。だが、私はこれでも女子だ。イモムシ、それもデカイものは好きになれない。はっきり言って気持ち悪い💦のだ。頼む、瓶を目の前に掲げないでくれ、夢に出そうだ……
彼の話は小一時間続いた。私は虫の恐怖と友情を天秤に掛け、後者を選んだ。1時間の苦行に耐える小学校三年生。頑張ったよ、あのときの私は。
全力投球その2。
これぞ誠に奇天烈な話である。ちなみに、藤子不二雄のアニメとは一切の関係がない。当たり前である。
かの男子は、気持ちを溜める男であった。溜まりきってから発射する男でもあった。それがスポーツに繋がっていったならば、一角の選手になれたかもしれない。だが彼の運動神経はごくごく平凡であった。平凡を貫くこと、これまた偉業のひとつと言えよう。……どうでも良い話である。
私たちが子供の頃は、放課後は外で遊ぶのが当たり前だった。習字・算盤などの習い事をする生徒もいたが、多数派ではなく、学校の授業が終了するチャイム(あの頃は鐘だった)を聞くと、ランドセルを背負うのももどかしげに、学び舎を後にし、一目散に自分のお気に入りの場所へと向かったのだ。
さて、彼である。彼だけではなく、私の遊び仲間だった男子生徒の多くは木登りが好きだった。より危険を求める男として、時には小さな崖も登った。そうした自然が、あの頃にはまだあちこちに存在していた。
彼は、木登りだけで終わるのを良しとはしなかった。より新しい分野へと果敢に挑む男だった。それが正当に進めば、彼はアルピニストになれたのかもしれぬが、先述の通り、運動神経が並以下だった彼に、そうした機会は訪れなかった。それは後の話である。
「ここからの眺め、サイコーだ!」
そう叫ぶ彼は、宿舎の屋根に仁王立ちしていた。梯子を掛けて登るのである。登ったのは彼以外の友も同じだった。だが、彼は皆とはひと味違う行動に出る。
「ここから飛び降りると最高なんだ!!!」
何故。飛び降りたら怪我するだろうが。そう声を掛ける間もなく、彼は屋根から地面へと翔んだ。そして、華麗に着地……できなかった。運動神経が並だった彼は、着地に失敗し、利き足の足首を見事に骨折した。
子供の回復力は早い。彼は1週間ほどで退院、1ヶ月後には完全復帰した。そして、飛び降りも復活した。そこは復活させて欲しくなかったのだが、彼は諦めぬ男だった。前例に学べぬとも言い換えられよう。
私はその後、他の学校へと転校したので、彼の成長した姿をこの目で見たことはない。人づてに普通の会社員となり、四人家族となって生活を営んでいると聞いた。恐らく「偉大なる平凡」を貫いているのであろう。当たり前のようで大切な日々を。
ただ。彼が今も高いところに登る性癖を持っているのか否かは、私の与り知らぬところである。願わくは地上を歩んで欲しいと願わずにはいられない。旧友に幸あれ。
※今回の春永睦月「なんのはなしですか」は、どうでもいい昔話をもっともらしい文体で綴ると、やはりどうでもよくオチが付かないが、 #なんのはなしですか ハッシュタグ で誤魔化し得るということの証明でした。
この締め文句も #なんのはなしですか 。
お粗末でございました。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。よろしければ、また次の記事でお逢いしましょう。次はオチのある……かもしれぬ話で。
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