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Paradeが終わり、空色の椅子に座る。

この記事は、梶浦由記さん著『空色の椅子』の内容につき#ネタバレ  的内容を多々含みます。これから本を購入する予定で「中身を知りたくない」方はご閲覧をお控えくださいますようお願い申し上げます。区切り線を挟み、線下より本文を記載します。





まずは、この頁を。

『空色の椅子』より書籍頁を撮影。


梶浦由記さん。ご存じの方も多いかと思います。ゲーム曲やNHKなどのテーマ曲で有名な音楽家です。
梶さんの人柄を知っていただきたく、とある日のBlog日記をリンクします。

この頃、梶浦さんは所属事務所を退所、独立して自分のオフィシャルサイトをオープンさせました。この日記から、(失礼ながら(汗)右往左往(((‥ )( ‥)))しながら新しい道に踏み出す梶さんのお姿が見えてくるような気がします。


『空色の椅子』最終頁を撮影

このコメントは、物を創る、創作活動を行う全ての人が抱く懊悩と共通しているのではないでしょうか。求められなければ、作品の存在価値がゼロとなるのは、著名人も私たちも同じ定めなのです。
加えて、人気音楽家である梶浦由記さんが、自身をして「裏方」であると規定しています。

厳しい現実を受け止め、なおかつ前向きに。梶さんらしい言葉だなぁ、とファンとして思います(私は梶浦由記さんをSee-Saw時代から追っています)。
梶浦由記さんが手掛ける音楽は、いわゆるサウンドトラック、劇伴作家です。作曲する音楽は4~8小節の短いものを数多く、が数多あります。決して華やかなばかりではありません。そこが、私たちが良く見かける「売れっ子ミュージシャン」と異なる点、いわゆる職人・技術者でもある。私は梶浦由記という音楽家(作詞作曲)をそう捉えています。
好きなことを職業とする。それは憧れの姿のようでいて、実際のところはとても地味で困難の多い、忍耐力を要する業務。クライアントの求めるところを踏まえ、その上で「自分が信じるスタイルを貫く」。それが創るということなのだ。そう思います。

そして何よりも。

本当にとても楽しいので。本当にとても好きなのです。
 
音楽を作るということが。

『空色の椅子』梶浦由記 532頁 より

どうしようもないですよね、梶浦さん。好きなんだから。
好きなことって止められない。止めるのは「止められる」、止まるべき状況・力が生じたときなのでしょう。

『空色の椅子』には全曲詞が掲載されていますが、ここでは最新曲である『Parade』について、歌詞をなぞってみようと思います。
参考までに、梶浦由記公式HP『Parade』特設ページをリンクします。


写りが悪く申し訳ございません。上記2ショットは、『Parade』の歌詞頁を撮影したものです。美しく、どこか哀しい。孤独を抱えている魂が、そこにはあります。以下、各センテンスを分かち、『Parade』を追い掛けてみます。

Paradeのはじまり。希望と嘆き、双方を抱え、登る坂道
星無き闇夜、未来の声は聞こえない。自分の思いだけで足を急き立てて歩く
遠い道を希望目指して歩く。諦観を抱え、尚も足取りは明るさを失わない
時は有限。今この時も過去となり自分の後ろに。手放したものが夜明けの空、儚く光る
進む道に拓ける初めての風景。初めてなのに懐かしいのは何故だろう。確かめつつゆっくりと歩く。足音が刻むリズムが希望となり響く


ひとりが2人、3人となり、声が重なる。それは合唱、コーラスとなる


このセンテンスが私的に一番心に刺さります。ここでは文言を控え、ただ言葉の美しさ切なさを味わいたいと思います
これも刺さるセンテンス。文言は控えます。切なく美しいことばたち。


僕のパレードと君のパレード。それそれの道を―
梶浦さんが『空色の椅子』内で語った“ちゃんと明るい言葉で終われた”がこれでしょう。希望を伝えるのが創るということだと、私も思います。

等々。丸々1曲、スクショで追い掛けてみました。独断ばかりで、カジウラーと呼ばれるファンの方々に叱られそう(;^^A どうぞご笑覧ください(お見逃しをば(平謝)

私も日々に振り回されつつ生きています。どう歩いていったらいいか、道を見失いそうになることは、毎日のようにあります。そんなとき、梶浦由記さんのParadeを思い出すのです。一度、霧雨の中で傘も差さずに『Parade』を(ウォークマン+インナーイヤホンで)聴いていたことが。雨降る鉛色の空を見上げながら、梶浦由記の音が光のように、私の心の奥へと注いでいました。

梶浦由記さんを知らぬ方、ファンの方には「1人語りはお前の日記に書いておけよ」的になった今回の記事。お付き合いくださった方がおられましたら、その寛容なお心に敬意と感謝を捧げます。
最後、二度目になりますが、『空色の椅子』Lastの言葉を引用します。

本当にとても楽しいので。本当にとても好きなのです。
 
音楽を作るということが。

『空色の椅子』梶浦由記 532頁 より

それでは、また次の記事でお目に掛かりたく。私もきっと、本当にとても好きなのです。音楽に励まされながら、言葉を綴るということが。


拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。