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私に処女作『マリア』を書かせたものは、結局、何だったんだろう。――書き仕事の日々5

東海道線のボックス席に座った私の頭の中に、こんこんと湧き出してきたストーリーをほぼそのまま使い、応募作『マリア』の後半を書き直しました。
当時の編集Nさんにも助けられ、とにもかくにも、なんとか本になりました。

池上紗京先生の美麗で素敵なイラストのおかげもあって、売り上げも好調。
すぐに重版がかかりました。やれやれ~っと思っていた私に、編集Nさんがびっくりするようなことを。
「で、次は何を書きます?」

「えーっ?また何か書くんですか?!」

ホワイトハート大賞に応募するということが、いったいどういうことなのか、全然わかっていなかった私。
(そりゃそうだホワイトハートって何か知らなかったんだから)

書き仕事をする自分なんて、想像したこともなかった。
子どもたちの手がある程度離れたら、もう一度勉強し直して、資格を取って、働きに出るつもりでした。青少年相手の、カウンセラーみたいなお仕事がしたいと思っていたのです。
書き仕事なんて、自分とはぜんぜん関係のない世界。こんな素人の私に、続くはずないよ。

しかししかし、当時のわが家にいたのは、やんちゃざかりの男の子二人。
そして、この『マリア』を書いている時、おなかに授かったのが長女。(去年、馬術場で馬といっしょに見事に『人馬転』しました。あ~なるほど、と、しみじみうなづいてやってください(笑))
子育てでてんやわんやで、しばらくは、外に働きに出るのは無理。子どもたちの相手をしながら、家の中でできる仕事なんだから、ちょうどいいんじゃない?
それがつくづく甘い考えだったことは、一年もたたずに判明するのですが、とりあえず自分にそう言い聞かせ、もう1冊だけ書いてみることに。

でも、いったい何を書く?

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2,285字
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