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骨折の衝撃とそれでも回復する人間の凄さ-3-

2週間に1回の通院が2ヶ月続いた。

こんな時期に何をしているのか、と自分でも思いながら病院へ通い続ける。
電車の駅名が隣の駅と似ていていつも(どっちだっけ?)と思いながら、慣れない早起きをして、ぼーっと電車に乗り、外の景色を見て判断し、ホームへ降りる。

診察室でとうとう、「日中は外しましょう。」とサポーターを外す許しを得た。
嬉しい気持ちも束の間、「筋を伸ばしたままだったから、すぐに曲がらないし痛いと思うけど、しっかりリハビリしてくださいね。この後お願いしておくから。」とのこと。

確かにずっと指を伸ばしたまま過ごしていたから、指を曲げたことがなかった。
どのくらい痛いのだろうか、とはいえ、関節がある部分だし、なんて考えながら、案内された別の階のリハビリテーションセンターへ。

出迎えてくれたのは、明るく優しそうな担当の先生。

「一旦曲げてみましょうか。」と言われ、指に力を入れる。
(・・・・え。うそでしょ。)驚くほどに動かない。
「これが・・限界です・・・・。」
そう伝えると、「うん、じゃあ一回温めましょうね。」とお湯を張った小さなお風呂に案内された。

「ここに手を入れてじわじわあったまって来たら、頑張って曲げられそうなところまで、グーパーグーパーしておいてね。また時間になったら来ますね!」

言われた通りに、お湯の中で手を温める。
(いつもは湯船に浸かる生活をしていないから、体の一部がお湯に浸かるだけでもいい気分。)とか思っている余裕はない。とても痛い。痛いのだ。
これは本当に元に戻るのだろうか、と思うくらい指は曲がらないし、非常に痛い。

温めの時間が終わって、机の上でリハビリの先生に診てもらいながら、改めて指を曲げるリハビリをする。

「押しますねー」と関節があったであろう部分を支点に指を曲げられる。
(ひぃぃぃ!痛い!)「はははーー!え、めっちゃ痛いです!!!」もう意味がわからないくらい痛くて、笑うしかない。
「えーやばい痛いですね!!えーいったーい!!」
「でしょー痛いよね〜。」
そう言いながら、ぐぐぐっとさらにもう一段階、筋を伸ばすために指を押し込んでくる。

「家でもやってね〜」と自宅でのリハビリ方法を教えてもらいながら、お互いにやっている楽器のことや学生時代の部活の話、過去に出会ったの患者さんの話、仕事の話など、他愛ない話をして、15分ほど。

「じゃあ家でも1日10分くらいはやってね。お風呂とかで温めながらやるといいよ。」そんなアドバイスをもらって、最後に握力を測った。

ここで、衝撃の事実を知る。
左14kg、右9kg。

「9は・・・・9は、おばあちゃん・・・wwww」

草が生えているのがわかるくらい、先生が笑っている。
めっちゃ笑われている。

いや、私もそんなに弱くなっているとは。学生の時は流石に一桁はなかったはず。
もともと弱い方ではあるけど。なんて考えていると
「生活で困ることない?15kgないと生活できないって言われるんだけど。」
なんて、さらに衝撃の事実。

人生の中で、利き手は最大値18kg、反対の手は最大値14kgだったはず。
生活できるぎりぎりだったのか、私の握力・・・。
他人の閉めた蓋とかは確かに開けられないことも多かったけど、コツがつかめていないからだと思って生きて来たよ。単純に握力がないのか。

そんなことを考えながら、帰宅路へ。
ここからリハビリの日々が始まった。

* * *

ー1と2はこちらから


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