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モテないおばさんが結婚に至るまでを書きたい7

斉藤さんとの息苦しい飲み会の翌日、これで終わりと思ったが結構な金額を奢って貰ったので簡潔にお礼のメールを送った。返事は直ぐに来て「また機会があれば」と書いてあった。

それ知ってるーーー!!!社交辞令なの知ってるー!どんだけーーー!!!!

と思ったがそれには返事をせずに終わりにした。また仕事とゲームとディズニーとYouTubeという夢の生活(処女)に戻ったのだが数日後斉藤さんからメールが来た。

「来週○✕ドッグランに行くのですが時間が合えば一緒にどうですか?」

斉藤さんの家は私の家から車で一時間ほどかかるのだが私の家の近くには○✕ドッグランという県内では一番大きな有料ドッグランがある。(私の家の辺りはど田舎なので牧場系が多い)そういえばメールをのやり取りをしてる時に愛犬の写真を送ってくれたり(負けじと愛猫の写真送った)溺愛してる様子が伺えた。メールでは犬に対し「かわいいですね会ってみたいです」等と送った気がするがまさか本気にするとは。

しかも私のぽっちゃり醜顔を知った上でまた会おなんて正気じゃねえなこいつ、と思ったがよくよく考えれば「愛犬を自慢したい!」だけだ。私だって暇じゃないし(ゲームや録画貯めたドラマを見る)正直貴重な休日が潰れるのは嫌なので少しだけ御一緒しますと返信した。気が重くなった。また2時間かけてメイクしなきゃなのか…。しかもドッグランて何着ていけばいいんだ高校のジャージ(20年物)でいいか。いやよくない。

もう今度こそ最後だろうからこの前のお礼をしとこう。紹介者の北野さんの面目を潰さないように必死だった。人生で初めてクラフトビールという物をいくつか買って用意した。飲み会の時に斉藤さんがクラフトビールが好きだと言ったので「クラフトというメーカーですか?キリンとかみたいな」と聞いた自分を恥じる。興味のない物はまったく無知で困ったもんだ(鼻ホジ)

当日現地集合で待ち合わせた。駐車場で待ち合わせた斉藤さんはやはりイケメンでお洒落な格好をしておりお洒落な小型犬が似合っていた。私は結局何を着たらいいかわからずショート丈のコートにユニクロ(大好き)の黒いパンツにした。

「この間はどうも。」と斉藤さんはこの前よりにこやかだった。その笑顔は愛犬を自慢したいくてしょうがないというオーラがビンビンだった。(教師びんびん物語のトシちゃん大好き)

園内に入ると広い敷地内を沢山の犬たちが走りまわっていて壮観だった。ちなみに私は犬も飼っていたし好きなのだが最近は猫を飼っているので犬と触れあうのは久しぶりだったので嬉しかった。

「タローは大人の女の人が大好きだから田中さん(私)にも飛び付くと思います、気をつけて」と言いながらタロー君のハーネスを外すとタロー氏は光の速さで私の前から走り去り遠くにいた美女二人に飛びついた。

気まずい空気が流れた。鼻が人間の数千倍もいいと言われる犬に私は女性の匂いがしなかったのだろう。犬は賢いなぁ死にたい。斉藤さんは美女の方へ行き謝って犬を交えて楽しそうに話をしていた。私は邪魔をしないよう犬に女性扱いされないのなんてまったく気にしませんけど何か?とオードリーの春日のようにゆっくりと近いた。

2月のドッグランは尋常じゃなく寒い。しかもここは山の中腹の野っぱら。強風が吹き荒れる。ドッグランに来てる皆さんは慣れてるのでダウンコートやマフラーや帽子で完全防寒してるが私は薄いコート(しかもショート丈)で寒いし犬は懐かないし斉藤さんは犬と楽しそうだし「帰りたい消えたいなにこの拷問」とブツブツ言ってた。

寒さが限界を迎えたのて「そろそろ帰ろうかと…」と私が言うと「じゃどこかでお茶でもどうですか?」と斉藤さんが言った。えーーーもういいよ、帰りたいよ一人になりたいよ。帰りにショッピングモールで買い物したい(これは本当)旨を伝えると「じゃ一時間だけお茶しましょう」と言われ各々の車で街まで降りて某喫茶店へ行った。喫煙出来る所は好きじゃないが仕方ない。暖かい店内で温かい飲み物を飲んでほっとした。私は紅茶を頼んだのだが茶葉の入れ方?落とし方がわからず四苦八苦がちゃがちゃやってたら斉藤さんに笑われた。紅茶なんて日東のティーパックしかわからねえよ!

なんか色々話した気がするが何を話したか覚えていない。結婚感とか仕事とかそんなことを当たり障りなく話した気がする。「田中さんて目を見ないですね」と言われてソーナンスゲヘヘ…と謎の返事をしてしまった。イケメンの目なんかみれるかバカ野郎。しかも喫茶店のテーブルは小さく前回の飲み屋より距離が近い。イケメンと合い向かいとか生き地獄。

一時間くらい経ち疲れもあったのでそろそろ買い物したいし帰ります、と私が言うと斉藤さんが「あのー…」と言いづらそうに話し出した。

「俺と付き合ってみません?」

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