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モテないおばさんが結婚に至るまでを書きたい9

まさかの交際申し込まれ事件。

悩んだ。本当に悩んだ。こちとらよわい39にして処女だ。おぼこだ。

処女処女うるせーよ!そんなことしか頭にねーのかよ!!と怒られそうだがそりゃそうだよ!だって大人が付き合うってことはそういうことだろ!?お手々繋いで映画観るだけじゃ済まないんだろう!?

合体(釣りバカ風)しちゃうってことだろ!?

私はモテないが今までそういうチャンスがなかった訳じゃない。本当だよ!仲いい男性の家に泊まって拒否したらガチギレされたよ!男性からしたらそりゃキレるわな!!こんなブスでもな!!

今思えばチャンスはあったのに自ら避けてきた。逃げてきたんだ。

怖い!!この年齢でそういう経験がないことも体のコンプレックスを見せるのも怖い!!若いときに付き合ったり出来てればこんな悲しい妖怪にはならなかった。いつだって体のコンプレックスが気になって自分を卑下して踏み切れなかった。

だからこれは斉藤さんがくれたチャンスなのだ。最初で最後のチャンス。この先一生処女で尼さんになるのもいいかもしれない。でもせっかく巡ってきたチャンスだ。これを逃したら一生処女確定だ。

そして翌週、また会うことになり今回は斉藤さんの車でドライブに行くことになった。私は車にも割りと詳しいと自負してるのだが(一人で東京モーターショーに行くくらいは好き)斉藤さんは私の知らない古い車に乗っててやられた!と思った。

車の中というのは密室であり距離が近い。私は手に汗をかきほとんど息を止めていた。斉藤さんに「緊張しすぎじゃないですか?」と言われるほど見た目ガチガチだったが仕方ない。運転する斉藤さんはイケメンだった。大きなハンドルが様になっている。私は乗り物酔いしやすいし運転するのが好きなので人の運転する車に乗るのはあまり好まないのだが斉藤さんは運転が上手だった。

目的地は私の好きでいいと言われ、まだ初詣に行ってないのを思い出し地元では有名な神社へ行くことにした。車内で人生の話しなどになり私が「将来的には出家も考えてます。尼さんになろうかと」と話すと斉藤さんは今までで一番笑った。笑ったというか爆笑した。事故るんじゃないかと不安になるくらい笑った。斉藤さんはクールで口数も少ないのでこんなに笑う姿に驚いた。「そんなに面白いですか?」と聞くと「面白すぎますよ!尼さんになりたいなんて聞いたことない!田中さんは変わってるなー」と笑いながら言われた。変わってるは誉め言葉ではないかもしれないが嫌じゃなかった。

目的地は山奥なのと2月初頭でものすごく寒かった。寒かったが有名な所なので参拝者はちらほらいた。斉藤さんに御朱印集めてないか聞かれ「御朱印巡りするのって本来の目的と違う気がしてなんかちょっと嫌なんですよね」と軽い気持ちで答えたら斉藤さんは

「え?別にいいんじゃないですか」

と普通に言った。

もの凄く衝撃的たった。雷に打たれた気がした。この人は真っ直ぐな人だ。私なら相手が、少なくとも自分が好きな相手が話に同意を求めたら本来違うと思っても「そうですよねー」とか「私もそう思います」とか相手に受けるように答えてしまう。斉藤さんは自分の意志がしっかりしている。私に嫌われようが好感度が下がろうが関係ないんだ。それがすごくかっこよく見えた。

自分の意見を言うなんて普通なのかもしれない。でも受け身で流され人の顔色伺って色んなことから逃げてきた私にはそのたった一言がものすごく輝いて感じた。この人のことを好きになると思った。



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