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自分だから書けるもの

現在作家業7年目、著書も増えてきて外から声をかけていただける機会も増え、そんなときに執筆した作品が本日発売になりました📖

『嘘つきな私たちと、紫の瞳』(ことのは文庫、絵:房野様)

本作は、十代にしか罹らない不治の病を巡る、高校生たちの青春ストーリー。ことのは文庫さんは、マイクロマガジン社のライト文芸レーベルです。

初めての打ち合わせの際に、これまでライト文芸で自分が書いてきたような大人のお仕事もの、恋愛ものに加えて青春ものの企画もお見せした結果、今回の作品になったんですね。これまで青春ものの作品で賞をもらっていた経歴もあったのかなと思います。

そんなわけで感動系のストーリーをやることになり、どういった方向に持っていくかなぁと考えたときに、自分だからこそ書けるものにしようと考えました。

その要素の一つが親(大人)

こういう青春ものって、親も一応出てくるけど、基本的には当事者の若者たちだけで終始する作品も多いと思うんですよね。それもまた鉄板なのですが、一応自分、児童文学にも片足を突っ込んでいて、そちらだと親の存在は必須。中学生くらいまでの主人公だと、親との関わりが一大テーマみたいなところもあります。なので今回も、高校生たちが活躍の中心にはなりつつも、親を含めた大人との関わりもきちんと書こうと思いました。
高校生くらいって親との関わりが特に鬱陶しくなってくる年代だと思うんで、だからこそいざというときはちゃんと関わった方がいいし、そういうときに頼ってもらえる大人になれないといけないなと思います。

次は舞台の千葉

これまでも千葉が舞台の作品を多く書いていて、今回も海浜幕張を舞台に設定しました。海が近いのでドラマチックな雰囲気を出しやすていいのと、デビュー作と同じ青春もののライト文芸なら同じ舞台にして原点回帰もいいかと決めました。
あと海浜幕張って自分が学生の頃に再開発が行われたので、自分の中でいまだに新しい街というイメージがあり、こういう設定の話に向いてるかなと。
ほかにも千葉都市モノレールとか京葉線とか総武線とか蘇我とか、千葉のキーワードたくさん出てきます。

あとは地理

今作、キーパーソンの女の子が地形図好きというキャラで、国土地理院の地形図が作中に度々登場します。標高とか電子基準点とか出まくります。幕張には実際に電子基準点があってすごくかっこいいので、近所の人は見てほしい。本筋には関係ないんだけど、遊びとしてこういう設定を入れられたのは味になった気がするし、自分としても楽しかったです。

そしてもちろん、大好きな高校生の青春はこれでもかと詰め込みました。感動系にふりきった作品は初めてなので、ギュッとした感情をたくさん込められたかと。
また、色んな視点が交錯するような構成にもチャレンジしていて、効果的な構成にできたような気がしてます。かなり好きな文体でも書けたかなと。

この数年はどうやって自分らしさを出していくか、みたいなのをすごく課題に感じていて。色んなことをやりたいんだけど、その一方でこの作家の作品はこうだという味とか軸みたいなものが必要だなと。続けていくには自分探ししないといけないなと。
そういった意味で、今回はじめて感動系にふりきった作品をやって幅を広げつつ、自分らしさも随所に入れられたかなと思います。形になって本当によかった。ことのは文庫の編集さんには本当にお世話になりました。

今作、執筆着手前に現地取材もしたので、そちらの写真もそのうちあげたりしたいなと思います。
『嘘つきな私たちと、紫の瞳』、ぜひ読んでもらえたらうれしいです!


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