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三浦春馬の色香を思う存分堪能する その2 『tourist ツーリスト 台北編』

『tourist ツーリスト』って何? という方はこちらを。

TBS・テレビ東京・WOWOWの3局が3局合同で制作したオムニバス形式のドラマ『tourist ツーリスト』。

第2話「台北編」は結婚を目前に控えたホノカ(池田エライザさん)が友人2人と向かった台北で体調を崩し、独りで出かけた先で天久真(三浦春馬さん)に出会うところから始まる。

見どころその1:天久真との「恋人ごっこ」疑似体験

もう、先に台北編最大の見どころを申し上げておこう。

第2話台北編の最大のポイントは、「天久真との恋人ごっこ疑似体験」が出来るところである。しかも、きわめてベタな恋愛ドラマのような内容の。

噴水に落ちる。差し伸べられた手を引っ張る
落ちた結果、着替えを買いに店に入る
着替えを買おうとして入った店で、服を恋人同士のように選ぶ
試着室でイチャイチャする
電話ボックス越しに、自分の過去について話す

とまあ、恋愛ドラマにありがちなシーンの連続なのだ。視聴者が自分をホノカに置き換えつつ観ると「キャー」となりそうな展開が続く。

いや、私はこういうのも嫌いではない。というか、むしろ好きだ。

何せこのドラマの天久真は、若いのだけれど年の割に大人びていて、どこか愁いを帯びた佇まいがとても印象に残る。少し伸びた無精髭が、まだ頼りなさの残る20代の男に、何とも言えない色気を付け加えている。
いったいどんな人生を送ってきて、旅をすることになったんだろう?と観ている私の想像力を掻き立てる。

もし、三浦春馬さんのイメージが「爽やかなイケメン俳優」で止まっている方がいたら、ぜひ天久真を観ていただきたい。彼の新しい魅力を発見できるだろう。

そんな天久真との疑似恋愛を体験できるのは、この第2話「台北編」だけだ。第1話の「バンコク編」は恋愛というより火遊びだし、第3話の「ホーチミン編」に至っては、真と主人公の関係に恋愛はほとんど絡まない。真は危なっかしいカオル(尾野真千子さん)の ”保護者” だ。

よって、台北編最大の魅力は、この恋愛疑似体験ができるところにある、と言い切っておく。

見どころその2:2人の出会いに垣間見える「映像ならではの仕掛け」

オープニングから、天久真は走っている。

きっかけは、何かを拾ったことのようだ。なぜか、スキンヘッドのおじさんにしつこく追い掛け回されている。しかも、ずっと。

ホノカは、台湾に友人3人と旅行に来たは良いものの食べ過ぎで体調を崩して、別行動。カフェで一人お茶を飲んでいるところに、追い掛け回されてカフェに駆け込み、素知らぬ顔で天久真が前の席に座る。

その場に置いてあったキャップを目深にかぶって、外を観察する天久真と、ホノカのやり取りが面白い。気づけば二人で一日だけ「恋人ごっこ」をすることになる。

二人の出会いの場面で印象的なのは、天久真の帽子の使い方だ。

最初、目深に帽子をかぶっていた天久真は、鼻の下あたりからしかカメラに写っていない。これは、ホノカの目線から「なんだか得体のしれない男」に見えているということを表していると思う。

対照的に、二人の距離がぐっと縮まる瞬間もある。その時は、帽子のつばが上がって、顔全体が見えるようになっている。二人の心の距離は、天久真の被った帽子が表していたように思えてならない。

見どころその3:古い風習と「いま」が融合する台北

天久真が冒頭で拾い上げた赤い封筒。Wikipediaによれば、台湾での「冥婚」という習慣を表すものだという。若くして亡くなった女性の遺髪などを封筒に入れ、地面に置いておく。亡くなった女性の家族がその封筒を見張り、拾った男性がいたら結婚を強要する・・・というものらしい。現在ではテレビニュースになるほど珍しいものであるとの記載もあった。

冥婚には世界各地にさまざまな形式があるようで、結婚させられる人は亡くなった人の供養をさせられる場合もあるし、殺されて一緒に埋葬されることもあるという。そこまで過激ではなくても人形を遺体とともに埋葬する場合もあるそうだ。

台湾の一般的な冥婚の習慣が、最終的にどういう形をとるのかまでは調べきれなかったが、若くして亡くなるということは、家族に深い悲しみを刻み込んでしまうということは理解できる。

だからこそ、ホノカは正面切って、ずっと追いかけてくる亡くなった女性の父(と思われる人)に「ごめんなさい」とまっすぐに言えたのだろう。

生きてる人は生きてる人で、幸せにならなくてはいけない。
でも、家族の気持ちは分かるからこその「ごめんなさい」。

イマドキの女の子に見えるホノカだが、「このまま結婚しちゃう」ことに少しの迷いを感じつつも、中身は地に足の着いた人なのである。真にお茶を奢られ、小さい声で「ごちそうさまでした」と言う。当たり前のことを当たり前にできる。こういう部分を見ていると、真と恋人ごっこをしても、最終的には「普通の人と結婚する」という決断になるだろうなと納得する。

池田エライザさん演じるホノカが、恋愛至上主義者のように見えて実は「無意識の現実主義者」だ、というところがこのドラマにリアリティを付加している。私はこのドラマを観て、池田エライザさんが気になり始めてしまった。出演作をチェックして、ゆっくり観ていくことにしようと思う。

冥婚のような古い習慣が残る一方で、台北はいまや日本の若い女性の海外旅行先として、かなり人気がある。おいしい料理、温泉、エステ、ショッピング。ごく近くで楽しめて歴史ある建造物などもたくさんある台北の街の魅力は、『tourist 台北編』の映像でも存分に感じられた。まるで友だちと現地を旅行したような気持ちになれるのも、このドラマの魅力の一つだろう。

終わりに

第1話のバンコク編が「仕事にも恋にも疲れた女性向け」だとすれば、第2話は「恋愛を思う存分楽しみたい女性向け」の話だと思う。

胸を締め付けるような恋をたくさんした後に、普通の結婚があっさりできるというのは結構なファンタジーだけれど、物語の世界なんだからファンタジーで全然問題ないだろうと思うのは、私だけだろうか。

そして、まだ感想を書いていない第3話のホーチミン編は、「家庭に疲れた女性向け」の話になっていると考えている。

第3話ホーチミン編については、また後日。

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