見出し画像

わたし史上・最高の興奮を映画で 「キンキーブーツ」 劇場版

ローラに、また会える。
目を閉じる。「Land of Lola」のイントロが頭の中に流れだす。ローラが目の前に颯爽と現れる。
思い浮かべただけで、目の奥が熱くなった。



「キンキーブーツ」を劇場公開すると聞いたのは、いつ頃のことだっただろうか。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、公開が延期になったと聞いたのが昨年後半だったと思うが、記憶が定かではない。

公開が2021年3月5日に決まったと聞いた時は、まだ先のことだなとボンヤリ考えた。
その頃の私は「天外者」を何度も観て、何度も涙していた。「森の学校」を観て、自分の子どもの頃を思い出していた。母の故郷で、伯父と山へイワナ釣りに出かけた日の、むせるかえる草の匂いと川の水の冷たさを感じていた。

「天外者」のロングラン上映に驚き、「森の学校」の公開劇場がどんどん増えていくことに胸を熱くし、「イリュージョニスト」に圧倒されて、二度目の「おんな城主 直虎」に泣かされていたら、いつの間にか「キンキーブーツ」の公開日を迎えていたのだ。

改めて、松竹のホームページを確認してみる。

ローラ役がマット・ヘンリーだということは、ウエストエンド公演ということだろうか。私の手元には、ブロードウェイ版とウエストエンド版と日本版の音源があるが、マット・ヘンリーの歌い方は子音の発音が英国っぽい(当たり前)ので、好きだ。ブロードウェイ版とウエストエンド版の両方を聴き比べて、私は両方の「Not my father’s son」を歌う真似をした。

私は歌が上手くない。というかはっきり言えば下手だ。家族は迷惑だったに違いない。しかし、我慢してくれたおかげで、ちゃんと私の耳にはブロードウェイ版だけじゃなくて、ウエストエンド版のマット・ヘンリーの声も残っている。

準備は万端だ。さて、「キンキーブーツ劇場版」の個人的な注目ポイントを、考えてみることにしよう。

ミュージカルの片鱗を映画館で

映画館で観るわけだから、舞台でミュージカルをリアルタイムで観るのとはだいぶ違うだろう。それでも、シンディ・ローパーの楽曲は変わらない。私と同世代の女性にとってシンディは、おそらくかなり衝撃的で、忘れようにも忘れられないアーティストだ。彼女の曲を一流のミュージカル俳優陣が歌うというだけで、心が躍る。

映画館なら音響も良さそうだし、演じる俳優さんたちの映像がアップで観られるのは、細かい表現もつぶさに観察できて、とても楽しみだ。

映画ならではの楽しみ方を、見つけて来ようと思う。

ローラを演じるのは「Huge undertaking for any actor」

”Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie”で、Associate ChoreographerのRusty Moweryが語っていた。三浦春馬さんだけではなく、世界じゅうでローラ役を演じたすべての役者さんは、「大仕事」をやってのけているのだ。振り付けを担当するスタッフが言うのだから、間違いないのだろう。

ウエストエンド版でローラを演じた、マット・ヘンリーに心からの敬意を表したい。どんなローラを魅せてくれるのだろうか。音源を聴いて、想像力をフルに働かせて、映画館へ行く日までテンションを上げておくことにする。

マット・ヘンリーを観て何を思うか

正直言って、映画館で観ていても、頭の中に絶対春馬ローラがチラつくだろうと思う。

2016年の、あの暑くて熱い夏の日を思い出す。なんだかよくわからないほど興奮して、気が付いたら私は立ち上がって、下手くそなステップを踏んでいて、笑顔の春馬ローラに全力で手を振っていたのだった。

マット・ヘンリーの演じたローラがどんなに素晴らしくとも、私の脳裏に焼き付いて離れずにいるのは、あの日の春馬ローラであることに変わりはない。

だが、これは「キンキーブーツ」。

あるがままの自分も他人も受け入れる。自分が変われば世界も変わる。「6つのステップ」を胸に刻み、チャーリーとローラから元気をもらい、また次の日から頑張る活力をもらう。そんな物語のはずだ。

『春馬ローラがもう観られない』という哀しみに浸るのは、キンキーブーツの世界観に合わない。そんなの、ちっとも「キンキーブーツ」っぽくない。

頭の中の春馬ローラは、きっとマット・ヘンリーにも「すごい!」と興奮気味に言うに違いない。劇場のスクリーンに映るローラからもらったものを、周りにも分けられたら良いなと思う。

終わりに 6つのステップ

・Pursue the truth.
・Learn something new.
・Accept yourself and you'll accept others, too.
・Let love shine.
・Let pride be your guide.
・You change the world when you change your mind.

私の大好きなローラが教えてくれた、6つのステップ。ローラが三浦春馬さんじゃなくても、6つのステップは変わらない。ローラはいつだって、元気をくれるだけじゃなくて、論語と同じように道しるべになってくれる存在なのだ。

とは言え、他のミュージカルやら何やら、観る予定が色々立て込んでいる。実際に観に行くのは、20日ごろになりそうだ。

日本中の、「キンキーブーツ」を愛するすべての人に届くように、たくさんの劇場で公開してもらいたい。そのために私ができることは、劇場に足を運ぶことだ。

可能な限り、何度でも。

画像1

実際に春馬ローラを観賞した時の記憶をたどったnoteはこちら


いただいたサポートは、わたしの好きなものたちを応援するために使わせていただきます。時に、直接ではなく好きなものたちを支える人に寄付することがあります。どうかご了承ください。